東京・上野の隣、御徒町。御徒町駅の目の前に、創業100年を超える老舗のスーパーマーケット「吉池」がある。
新鮮な魚介を中心に、青果・精肉・惣菜や酒類など、選り抜きの商品を取り揃えている。その品揃えの確かさに、都内の飲食店関係者も通う、玄人好みの店だ。現在は地上9階・地下2階の本社店舗のうち、地下1・2階と9階に売り場とレストランを置いている。
そんな吉池だが、創業者が新潟県出身ということもあり、都内では珍しい、新潟県の特産品を多数揃えている点も特徴だ。今回は筆者が店内で見つけた美味いもの・珍しいものを勝手に10点厳選してみた。ユニークさ、美味さを基準に選び抜いたので、ご紹介しよう。
新潟の「そば」も侮れない!
まずは、新潟県内で流通している乾麺のそば2種類からご紹介。
みのりそば(298円)
新潟名物の「みのりそば(へぎそば)」は、海藻の「布海苔」をつなぎに使うことで、喉越しよく食べられるのが特徴だ。絶対条件ではないとのことだが、通常のそばと比べて平たく幅広な「平打ち」の仕上げになったものが多いという。
また、茹でたそばを「へぎ」と呼ばれる木製の四角い器に、一口大に丸めて盛りつけることから「へぎそば」と言うのだとか(この盛り付けを「手振り」と呼ぶそうだ)。薬味として、ワサビの代わりにカラシを使うこともあるとのこと。我が家には「へぎ」がないので、普通に皿に盛って食べることにした。
妻有そば(298円)
もう1つは、平打ちタイプのそばではないが、つなぎに布海苔を使用した「妻有そば」(200g・298円)。テレビ番組で「生麺に近い乾麺」として「茹で上がりのよさ部門」で1位を獲得したこともあるという逸品だ。
せっかくなので、筆者の近所のスーパーで購入してきた生麺タイプのそばも一緒に並べて食べ比べてみた。
まず「みのりそば(へぎそば)」だが、布海苔の繋ぎが生み出す喉越しがくせになる美味しさ。蕎麦らしい香りも感じられる。そして「妻有そば」に関しては、「みのりそば(へぎそば)」よりも麺が細いが、こしが強く、香りや喉越しも素晴らしい。正直、生麺タイプよりも生っぽいと感じるくらいだった。生麺タイプも決して悪くないのだが、この2つと比べると特徴に欠けるという感じ。
さらに、茹でた後の「蕎麦湯」も飲んでみたのだが、「みのりそば(へぎそば)」も「妻有そば」も、非常に濃厚で美味い蕎麦湯が飲めた。生麺タイプのそばだと、保存料としてクエン酸などの酸や酒精が使われていることがあり、これらは体に害があるものではないが、蕎麦湯として飲んだときに若干雑味として感じられる。一方、乾麺ではそうした保存料が必要ないため、ストレートな蕎麦湯の美味さを感じられるのだろう。てっきり生麺のほうが蕎麦湯向きだと思い込んでいたので、ちょっとした驚きだった。
そばといえば長野(戸隠)・岩手(わんこ)・島根(出雲)という印象だが、新潟のそばもまったく侮れないですよ。
新潟は豆腐もうまい!
五頭山の麓に湧く清らかな水をたっぷりと使い、天然にがりを使用したこだわりの豆腐を作ることで知られる「川上とうふ」(280円)も吉池には入荷している。今回はその中からもめん豆腐と、緑豆を使った「五頭のしずく」(450円)のおぼろ豆腐を食べてみた。
まず木綿豆腐だが、味が濃厚なのはもちろん、豆腐自体が非常にしっかりしている。ちょっと箸で突いた程度では全然崩れない。充填豆腐しか知らないと、ちょっと別物の食品に映るかもしれない。水をしっかり切って料理に使えば、豆腐の姿がしっかり残った味わい深い一品になるだろう。
もう1つの「五頭のしずく」は、青豆を使ったおぼろ豆腐。こちらは一転して実にふわふわと柔らかな食感で、青豆の香りや味もしっかり楽しめる。どちらも冷奴として醤油だけでいただいたのだが、同じ豆腐でも素材や製法でこんなに変わるのか、といった感想。阿賀野の豆腐、絶品です。
自家製パン「オンディーヌ」
地下1階には自家製パンを販売する「オンディーヌ」が入っている。小さめのコーナーと侮るなかれ、常時20〜30種類のパンを陳列しており、すぐに食べられる惣菜パンの数も多い。今回は人気の惣菜コッペパン(吉池の表記では「こっぺぱん」)3種と、食パン2種を食べてみた。
コロッケ(280円)
まずはこっぺぱんから。「コロッケ」は惣菜パンとしては定番の商品だが、吉池の惣菜コーナーのコロッケがそのまま挟まれているというもの。定番品だけあって安定した美味しさだ。
ジャージー牛乳クリーム(160円)
続いて「ジャージー牛乳クリーム」。優しいこっぺぱんの生地と、ほの甘いミルククリームの組み合わせがあとを引く。そのままでもいいが、ここにミックスフルーツの缶詰などを挟んでも面白そうだ。
フィッシュサンド(330円)
最後に「フィッシュサンド」。白身魚(ホキ)のフライは肉厚で食べ応えたっぷり。1つで満足感があるので、昼食などにおすすめだ。
続いて食パン2種。
クリーミー食パン(350円)
通常の食パンでは牛乳を使うところを、クリームも使って練り上げたのがこの「クリーミーブレッド」。数年前に流行した、500円〜1000円近くする高級食パンと同系統の製品だが、普通の食パンより一回りほど小さめに焼き上がっているおかげか、350円とリーズナブルである点がうれしい。
生で食べてみると、明らかに甘く、食感はもっちり・しっとり。実に美味い。このもっちり感は、生地の一部を熱湯で練り上げ、餅のようにした生地を加えた「湯種製法」を採用しているからとのこと。
軽くトーストしても美味いが、これは買ってきてすぐに生で食べたいかもしれない。ジャムなどを塗ってもいいだろうが、できればそのまま、パン自体の味を堪能したいタイプだ。お手頃価格で高級食パンが楽しめる、かなりおすすめの一品だ。
オレンジブレッド(270円)
オンディーヌでは食パンコーナーに日替わりのパンが並ぶのだが、火曜日のパンがこの「オレンジブレッド」。
オレンジピールを練りこんであり、爽やかなオレンジの香りと味が漂う。生でも行けるが、軽くトーストすると、何も塗らなくてもマーマレードのような香りと味がアクセントとなってサクサクと食べられる。日替わりパンは毎日14時の焼き上がりということだが、タイミングがあえばぜひ他の曜日も含めてチャレンジしてもらいたいところ。
話題の「ぼだっこ」もあります!
食料品コーナーの一角では、秋田県の伝統食として有名な「ぼだっこ」も販売されていた。ぼだっことは、大辛の塩鮭のことで、通常の塩鮭の塩分濃度が1〜6%程度(甘塩〜中塩)であるのに対して、塩分濃度が10%以上という「激辛」であるのが特徴だ。
ご飯のお供としてはもちろん、酒の肴などにも人気だが、秋田県内のスーパーでは、白米に5gのぼだっこの欠片を載せただけの弁当が販売されており、これがSNS上でバズったのも記憶に新しい。関東では売っているところを見かけないので、購入してみた。
普通の塩鮭のように焼いてみると、驚くほど塩が吹き出してくる。95gの切り身に対して約10gの塩分が含まれている計算なので、さもありなん、だ。
肝心の味だが、確かにしょっぱい! 今時の甘塩鮭とは一線を画す塩分だ。しかし昭和生まれの筆者にとっては、「あー、昔こういう大辛の塩鮭、たまにあったわ!」という感じ。しょっぱい中にも濃厚な鮭のうま味があり、その相乗効果で米が進む進む。5gで茶碗1杯にはちょっと足りなかったが、それでも2かけほどむしり取っただけで茶碗が空になった。これ、おにぎりにしたら最高です。
新潟の底力を御徒町で堪能
吉池はアメ横のすぐ隣という立地からか、非常に充実した品揃えと、こだわりの新潟産商品の品揃えが大変ユニークだ。今回紹介できなかった特産品も数多い。ただし、こうした特産品は季節性も強く、また入荷も限られているので、行けば必ず置いてあるというわけではないのが難しいところ。一期一会を楽しむつもりの探検感覚で訪れてみてほしい。きっと新たな驚きがあるはずだ。
















