日本気象協会が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクトは、本格的な暑さを迎える前に事前に体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」の大切さを広く知ってもらうことを目的として、各地域で暑熱順化が必要となるタイミングの目安を示す2026年「熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線(第2回)」を、プロジェクト公式サイトで2026年6月11日に公開した。本調査および情報公開は、各地域で暑熱順化が必要なタイミングに合わせて繰り返し行われており、2026年の暑熱順化前線としては今回が最終報となる。

  • 2026年「熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線(第2回)」

    2026年「熱中症ゼロヘ 暑熱順化前線(第2回)」

梅雨時期の気温低下でリセットされる「暑さに強い体」

暑くなる前からできる熱中症対策の一つに、暑さに強い体づくりがある。暑さに強い体を作るためには、バランスの良い食事や十分な睡眠に加え、体が暑さに慣れる「暑熱順化」をすることが大切だ。暑熱順化ができていないと、体の熱をうまく外へ逃がすことができず、熱中症になる危険性が高まる。暑熱順化には個人差もあるが、数日から2週間程度かかるため、暑くなる前から余裕をもって体を暑さに慣れさせることが求められる。

  • 暑熱順化による体の変化

    暑熱順化による体の変化

「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線」は、軽い運動や湯船につかる入浴などで意識して汗をかき、体を暑さに慣れさせる暑熱順化を始めるタイミングの目安を示している。

梅雨の晴れ間や梅雨明け後など、体が暑さに慣れていない状態で急な暑さを迎えるタイミングでは、特に熱中症への注意が必要だ。また、一度、暑熱順化ができていても、数日暑さから離れると、その効果は薄れてしまう。梅雨で雨が降り気温が下がると、それまでに暑熱順化した体も元に戻ってしまう可能性がある。そのため、無理のない範囲で、暑熱順化をするための運動や活動を続けることが大切となる。

2025年には、梅雨明け前後の期間において、熱中症による救急搬送者数が「約2.1倍」に増加した。2026年も、梅雨明け後は暑さが厳しくなることが予測されるため、暑さへの警戒が必要だ。

  • 日常生活でできる暑熱順化をするための動きや生活

    日常生活でできる暑熱順化をするための動きや生活

本プロジェクトでは、暑熱順化を始める目安となるタイミングとあわせて、暑熱順化の具体的な方法を、公式サイトやX(旧Twitter)の公式アカウントで随時発信していくという。

最高気温が40℃以上の酷暑日も? 気象予報士が警告する今夏の傾向

日本気象協会所属の気象予報士・防災士・熱中症予防指導員である久保智子によると、この先の気象傾向は以下の通りだ。

6月から8月は、上空の偏西風が日本付近で平年よりやや北を流れ、太平洋高気圧の本州付近への張り出しが強まるため、日本付近は暖かい空気に覆われやすいという。気温は全国的に平年より高く、今年の夏も猛暑になる見込みとのことだ。早い時期から適度な運動を行い、バランスのよい食事や十分な睡眠をとるなど、暑さに負けない体づくりを心がける必要があると呼びかけている。特に梅雨明け後は、昨年に匹敵するような猛烈な暑さが予想され、東日本や西日本を中心に、最高気温が40℃以上の酷暑日になる所もありそうだという。無理せず休憩をとり、のどが渇く前に時間を決めて水分を補給するなど、万全な熱中症対策が求められる。

また、秋にかけてエルニーニョ現象が続く見込みで、夏の後半は西日本を中心に台風や前線の影響を受ける時期があるだろうとしている。湿度が高く、蒸し暑い日が多くなるため、室内を快適に保ち、体の中に熱がこもらないように衣服を工夫するなど対策を徹底してほしいとのことだ。

救急搬送者が1万人を突破した2025年のデータが示す梅雨明け後の恐怖

2025年の夏の振り返りとして、2025年の梅雨明けは、沖縄・奄美地方では6月7日〜6月9日ごろ、九州・四国・中国・近畿・東海・関東甲信・北陸地方では6月27日〜6月29日ごろ、東北地方では7月18日ごろとなった。

総務省消防庁の発表によると、各地の梅雨明け前の週(6月23日〜6月29日)と梅雨明け後の週(6月30日〜7月6日)を比較すると、熱中症による救急搬送者数は4,772人から10,187人へと増加し、「約2.1倍」となった。また、東北地方が梅雨明けした後の7月22日〜7月28日も全国的に厳しい暑さとなり、救急搬送者数は10,997人と、2025年で最も多い週となった。

  • 熱中症による救急搬送者数

    熱中症による救急搬送者数