スポーツを頑張る子どもの熱中症対策。水分補給には気を配っていても、それだけで十分なのか気になる保護者もいるのではないだろうか。実際、調査では朝食や冷却対策など、熱中症予防につながる取り組みの実施状況に差が見られた。

大正製薬は、全国の小中高校生の子どもを持つ保護者814人を対象に実施した「子どもがスポーツをする日の朝食習慣および熱中症対策に関する実態調査」の結果を発表した。

スポーツをする日の朝食、約8割の保護者が意識

調査によると、子どもがスポーツをする日の朝食について、「毎回必ず食べさせている」と回答した保護者は61.7%(502人)だった。「ほぼ毎回食べさせている」の16.3%(133人)を合わせると、約8割が朝食を意識していることが分かった。

一方で、「時々食べさせている」は6.8%(55人)、「あまり食べさせていない」は3.8%(31人)、「把握していない」は5.5%(45人)となり、スポーツをする日の朝食習慣には家庭ごとの差も見られた。

熱中症対策の悩み、「水分補給をしない」が上位に

子どもの熱中症対策に関する悩みを尋ねたところ、最も多かったのは「特に不安や悩みはない」(216人)だった。

続いて、「子どもが水分補給をこまめにしない」(187人)、「暑さに弱い・体調を崩しやすい」(116人)、「無理をしてしまう(休みたがらない)」(109人)、「朝食をしっかり食べられない」(106人)が上位に並んだ。

熱中症対策、水分補給以外の実施率は伸び悩む

熱中症対策の実施状況についても調査したところ、「こまめな水分補給をさせている」が527人で最多となった。一方で、水分補給以外の対策については3〜4割程度にとどまる項目も見られた。

プレクーリングに役立つ「アイススラリー(流動性の氷状飲料)を飲ませている」は340人にとどまった。

また、「朝食をしっかり食べさせている」は292人、「体調が悪いときは無理をさせない」は255人、「十分な睡眠をとらせている」は246人、「スポーツドリンク/経口補水液を飲ませている」と「塩分を摂らせている」はそれぞれ241人だった。

専門家「朝食欠食は熱中症リスクを高める」

熱中症に詳しい済生会横浜市東部病院 患者支援センター長で医師の谷口英喜氏は、熱中症について「単なる暑さによる体調不良ではなく、水分と電解質のバランスが崩れ、体温調節機能が正常に働かなくなることで発症する」と説明する。

特に子どもは体温調節機能や発汗機能が未熟で、自ら適切なタイミングで水分補給することも難しいため、大人より熱中症リスクが高いという。

谷口氏は保護者が意識すべきポイントとして、「朝食欠食」の危険性を指摘。「朝食を摂らない状態は、軽度の脱水とエネルギー不足の状態で一日をスタートすることを意味する」とし、運動をする子どもには朝食を抜かせないことが重要だとしている。

朝食では、水分や電解質、糖質に加え、たんぱく質やビタミン類をバランスよく摂取することが望ましいという。

水分補給は「少量をこまめに」が基本

運動時の水分補給について谷口氏は、一度に大量の水分を飲むのではなく、「運動前・運動中・運動後に分けて少量ずつ補給することが重要」と説明する。

また、発汗によって失われる電解質や糖質も補う必要があり、30分以上の運動や高温環境下では、スポーツドリンクなど電解質を含む飲料の活用が有効だとしている。

さらに近年注目されているアイススラリーについては、体の内側から効率的に体温を下げることができ、水分や電解質の補給と深部体温の上昇抑制を同時にサポートできると紹介した。

帰宅後にも起こる「時間差熱中症」に注意

谷口氏は、スポーツ後の子どもの様子にも注意が必要だと呼びかける。

運動中は問題がなくても、暑熱環境にさらされた数時間後から翌日にかけて頭痛や倦怠感、吐き気などの症状が現れる「時間差熱中症」が起こる場合もあるためだ。

ぐったりした状態が続く、呼びかけへの反応が鈍い、まっすぐ歩けない、嘔吐を繰り返すといった症状が見られる場合は、重症化している可能性もあるため、速やかな受診や救急要請を検討すべきとしている。

指導者には「環境・行動・体調」の管理が求められる

また谷口氏は、スポーツ指導者が重視すべきなのは、環境・行動・体調を総合的に管理する視点だと指摘する。

暑さ指数(WBGT)を確認しながら練習内容を調整することや、子どもが喉の渇きを感じる前に水分補給を促すこと、顔色や動きの変化など体調のサインを見逃さないことが重要だという。

「熱中症対策は異変が起きてから対応するのではなく、起きる前に防ぐことが基本であり、そのための観察と判断が保護者や指導者に求められる最も重要な役割である」としている。