ブラックマヨネーズ・吉田敬と霜降り明星・粗品の冠バラエティ番組『吉田と粗品と』(読売テレビ毎週水曜24:59〜 日本テレビ25:29〜)が18日(24:09〜)、初の全国ネットで生放送される。今回の生放送はインターネットでの同時配信や見逃し配信はなし。最近の主流とは逆を行くその時間限りのテレビ生放送にこだわった理由や、番組立ち上げ時の裏話を、中埜勝之チーフプロデューサー(読売テレビ)に教えてもらった。

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『吉田と粗品と』初の全国ネット&生放送は見逃し配信なし

――『吉田と粗品と』が6月18日に初の全国ネットで放送されます。さらに、生放送という形を取った背景を教えていただけますか?

『吉田と粗品と』は去年の10月から始まった番組なんですけど、業界の方だったり、僕の周りの知人だったり、本当によく観てくれていて、「面白いね」と言ってもらえることが多かったんです。そこから、この番組をどう広げていこうかと考えていたときに、何か話題化できないかなと思っていました。

そんなとき、深夜の全国ネット枠で放送できることになったので、それなら単純にいつも通りのものを流すのではなく、何かできないかなと考えて。そこでまず、生放送をやりたいという思いがありました。

深夜バラエティの生放送って、昔はたくさんあってワクワクするものだったと思うんですけど、今はいろんな事情もあって少なくなっていますよね。吉田さんと粗品さんが深夜に大阪のテレビ局に来て、生で相談に乗るというのは、すごくワクワクするなと。

自分はチーフプロデューサーの立場ではあるんですけど、一人の番組ファンとして何が観たいかを考えたときに、この2人が生放送で何をノーカットでしゃべるのか、そのトークが観たいと思ったんです。そこから生放送を企画したというのがまず第一歩ですね。

――TVerでの見逃し配信がないのも、今では珍しいですよね。

今のレギュラー放送は深夜1時台なので、視聴率というより、いかにTVerでたくさんの方に楽しんでもらうかが大事だと思っています。認知度が上がればお気に入り登録数も増えるし、再生数も伸びる。じゃあ、生放送をどうしたら一番認知拡大につなげられるだろうかと、社内で立ち話をしていたんです。

例えば、生放送後も15分くらいカメラを回して、未公開シーンを加えた完全版をTVerで配信する。今ならそれが一番ベタなやり方だと思うんですけど、もっと話題になる方法はないかなと考えたときに、逆に全部やめてみようという話になって盛り上がりました。

生放送をやる意味って、やっぱりテレビの前に座ってもらうことだと思うんですよね。すごく時代に逆行するようなことを言っているのかもしれないですけど、チャンネルをつけて、みんなでワクワクしながら観るという昔ながらの体験に戻ってもらう。それなら、配信がないこと自体が逆に気になるんじゃないかと。

生放送後の配信はありませんが、放送後からTVerでは期間限定で厳選エピソード10話を観られるようになっています。生放送をきっかけに過去回を観てもらって、番組の認知が広がっていったら面白いなと思ったのがきっかけですね。

――生放送で、しかも見逃し配信がないことについて、吉田さんと粗品さんの反応はいかがでしたか?

僕が生放送をやる意義や、今回はTVer配信をなくしたいという話をしたときに、お二人とも「いいですね」と言ってくださいました。もちろん、反TVerということでは全くなくて、むしろTVerで回していきたいという思いはあります。ただ、今回の生放送に関しては、そういう形でやれたらいいなと思っています。

吉田と粗品に話した番組の方向性

――改めて番組内容についてもお話をお聞かせください。『吉田と粗品と』は、視聴者のお悩み相談に乗りながらも、吉田さんと粗品さんの持論を聞けるところがとても面白いと私は思っているのですが、この方向性についてはお二人とお話されましたか?

番組が始まる前の打ち合わせで、お二人に伝えたことがあるんです。この番組は、悩みを解決する番組ではないんです、と。お二人に無理やり解決策を出してもらうというのは違う気がしていて。「こうするべきだ」「ああするべきだ」と言うことに、少し押し付けがましさを感じる部分もありました。

だから、この番組は悩みに寄り添う番組なんだということを大事にしていきましょうとお伝えしました。悩みって、別に具体的な解決策がなくても、友達同士で2時間ぐだぐだ話を聞いてもらうだけでスッキリすることもあるじゃないですか。

そういう感覚で、お二人に相談者の悩みに寄り添ってもらう。もちろん解決策が出ることもあるけれど、それ以上に寄り添うことを大事にしてもらえたら、この番組は一番面白くなるんじゃないかと思って提案させてもらいました。

――特に印象に残っている回はありますか?

最近だと、キャバクラの店長がキャストに恋をしたという相談の回ですね。あれは最高に面白かったです。粗品さんのアイデアと吉田さんの意見が分かれながら、相談者を巻き込んで「どうするべきか」を考えていったのですが、相談者の方が粗品さんのファンだったこともあって、最終的に「粗品さんの言う通りにやります」となって。すると吉田さんが「いやいやいや、早まるな!」みたいな(笑)。

3人のグループ感みたいなものが生まれていて、収録中もめちゃくちゃ面白かったですし、すごく印象に残っています。意見は分かれているけれど、決していがみ合っているわけではない。それぞれの意見があって、相談者もそこに乗っかるというか、共感する。その感じがすごく良かったなと思います。

――私は個人的に「お悩み相談」という枠組みもとてもいいなと思っているのですが、吉田さんと粗品さんに視聴者の悩みを聞いてもらう番組にしようと思ったのは、どのような狙いがあったんですか?

構成作家さんと深夜に話していて「悩み相談の番組を作りたい」というところから始まったんです。くだらない悩みから重い悩みまで、世の中にはいろんな悩みがありますよね。その悩みを誰に聞いてもらったら一番説得力があるだろうと考えたときに、吉田さんと粗品さんだなと思いました。相談者に忖度せず、それでいて寄り添うことができるんじゃないかと。

吉田さんには吉田さんの考え方があるし、粗品さんには粗品さんの考え方がある。毎回同じ意見を言ってほしいわけではなくて、対立してもいいと思っていました。ただ、お互いへのリスペクトを持ちながら、相談者に矢印が向いている。その上で寄り添うコメントが出てくるのは、このお二人なんじゃないかと。

この番組は、お二人じゃなかったら成立しないと思っています。吉田さんと誰かでもダメですし、粗品さんと誰かでもダメ。だからこそ、「ぜひお二人にお願いしたいです」とお声がけさせていただきました。

『吉田と粗品と』の編集で大切にしていること

――吉田さんが結婚されて家庭を持たれてからのトークも新鮮だなと思いながら、番組を観ています。

お子さんを持たれたことで、例えばPTAのママ友付き合いに悩んでいる相談者に対して、自分の奥さんがPTAをやっていたときの苦労話を例に出しながら、「こうしたら関係が良くなるんじゃないですか」と話されていたときに新鮮だなと感じました。

また吉田さんだけではなく粗品さんもなんですけど、ほかの番組では聞けないようなプライベートな話までしてくださっている。そこはすごくありがたいですし、この番組の魅力でもあるのかなと思っています。

――編集で意識している点はありますか?

基本的に1本あたりの収録時間は30〜40分くらいあって、実際に使える尺は20分ちょっとなんです。つまり15〜20分くらいはカットしなければいけないんですが、お二人がしゃべっていると本当に面白いんですよね。だからむしろ、「これも使いたい」「あれも使いたい」ということで編集に苦労するんです。

演出のディレクターに「あの部分使わなかったんだ?」と聞くと、「そうなんです。どうしても入らなくて」と言う。それに僕も「確かにあそこまで入れたら尺を超えるよな」と納得する、みたいなことがよくあります。

ただ、単純に面白いトークだけをつなげればいいというわけではなくて、相談者とのやり取りの中で生まれる感情の機微もあるので、そこは大事にした編集にしたいなと思っています。

――生放送では、それが全部観られるわけですね。最後に6月18日の生放送で中埜さんが視聴者に注目してほしいポイントを教えてください。

やっぱり、相談者の悩みにどう寄り添うのかですね。生放送でノーカットだからこそ聞けるお二人の考え方や価値観であったり、そこから派生する生きざまや経験談だったりを楽しんでいただきたいです。

たぶん、「なんやこの話」というような、相談とは全然関係ない話も飛び出すと思うんですよね。でも、それが生放送の良さでもありますし、僕ら制作側が想像できる範囲を絶対に超えてくるお二人だと思っています。この生放送でしか見られないトークを、ぜひ楽しんでいただきたいです。

(C)ytv

■プロフィール
中埜勝之
1982年生まれ。大阪府出身。同志社大学卒業後、2006年に読売テレビ放送入社。『情報ライブ ミヤネ屋』『大阪ほんわかテレビ』『ダウンタウンDX』などを経て、2025年10月に『吉田と粗品と』を企画する。これまで担当した特番は『後藤&河合はウリふたつ!?』『ツッコミ芸人総会』『浜田新聞社』『ゴールデンタッグ』『全力シャカリキ調査団』『THE恐縮オファー』など。