にんじんは、ただ焼くだけでも甘くなります。そのシンプルな工程にどんなスキルが詰まっているのでしょうか。
「レシピ通りには作れるけど、何も見ないで料理できるようになりたい」そんなときに必要なのは、レシピを覚えることではなく、”料理のしくみ”を理解することです。
味の素社の「調理科学」の知見を取り入れ、料理の工程を「なぜそうするのか」とひとつひとつ解き明かしながら、基礎を身につけられる一冊『はじめてさんも、あらためてさんも 料理のしくみがわかる本』。
今回はその中から、野菜の甘みを引き出す基本の一皿「にんじんステーキ」のレシピを紹介します。
塩と焼き目。ふたつの“調味料”で作る野菜のステーキ
トマトサラダに並ぶ、シンプルな一品。肉のステーキ同様、素材を大きく切って焼き、塩で調味すれば、主役級の「ステーキ」になります。野菜にはそれぞれにうま味があり、それを引き出すのが「塩」。糖を多く含むにんじんは「メイラード反応」が起きやすく、焼き目もおいしい調味料になります。じっくり焼けば、それだけでにんじんの甘味を十分に感じられるはず。調理によって引き出される、野菜の「持ち味」を体感してみてください。
材料(1人分)
・にんじん 1本(150g)
・オリーブオイル 大さじ1
・塩 少々
人数が増える場合、材料は人数分、倍の分量にして調整してください。量が増えると火が通りにくくなるため、加熱は十分に行ってください。
作り方
1.下処理
にんじんはヘタをとり、水で湿らせたキッチンペーパーで包み、ラップでくるんで電子レンジ(600W)で3~4分加熱する。竹串を刺し、かたい場合は様子を見て追加で加熱する。粗熱をとってから縦半分に切る。
●水分を保つ「キッチンペーパー」
火の通りにくい根菜は、電子レンジで加熱してから焼くことで、短時間で甘さを引き出せます。電子レンジは食品に含まれる水分子をマイクロ波で振動させ、加熱する機器。湿らしたキッチンペーパーで包むと、水気が飛ぶのを防げ、しっとりと仕上がります。さらにラップでくるむことで、水蒸気を閉じ込めて熱をとどめるので、まんべんなく火が通ります。
●にんじんは基本的に「皮むき不要」
にんじんの皮は薄く、収穫後に洗う段階ですでにほぼむけている状態。よって、調理の際には皮をむかなくても問題ありません。皮の下に香りの成分が多く含まれているので、むかない方が香りも強く残ります。表面がかたいときや、汚れが気になるときだけ、包丁で表面をこそいでとりましょう。
2.本調理・味付け
フライパンにオリーブオイルをひき、にんじんの断面を下にして中火にかける。
フライ返しなどで押しつけながら焼き、こんがりとした焼き目がついたら裏返して同様に焼く。器に盛り、塩をかける。
●「焼き目」も大事な調味料
にんじんに含まれるアミノ酸と糖が熱に反応して茶褐色の焼き色ができることを「メイラード反応」といい、香ばしいおいしさの素になります。電子レンジでやわらかくしてあるので、ここで焼くのは焼き目をつけるため。フライ返しなどでフライパンに押しつけることで、こんがりとした焼き目がつきます。
●味付けの塩は「最後」にかける
塩には「調理の塩」と「味付けの塩」があります。「調理の塩」は浸透圧によって食材から水分を出したり、たんぱく質の性質を変えて肉をやわらかくしたりするときに使います。今回は「味付けの塩」なので、最後にかけてください。
写真提供/味の素(株)
※本記事は、書籍の一部を抜粋のうえ掲載しています。




