MリーグのオフシーズンにABEMAでは「Mトーナメント」が開催される。
詳細は上にある通りだが、本当にざっくり説明すると「2戦を戦って、トータル上位2名が勝ち上がる(1stステージに限り、1位通過はジャンプアップする)」システムだ。
言い換えると、4人中2人は脱落することになる。
毎週月曜と金曜日の15時から配信されており、月曜は全編無料。
金曜日は途中からプレミアム会員限定配信となるのだが、
今日は、そのプレミアム配信の中から、魚谷選手の闘牌を取り上げたい。
日本プロ麻雀連盟、魚谷侑未。
二つ名は、「最速マーメイド」。
画像を拡大しないと読めないくらいビッシリと細かい字で、獲得タイトルが並んでいる。
物凄い実績を持つ、屈指の実力者だ。
Mリーグで魚谷は、セガサミーフェニックスに所属していた2019-20シーズンにMVPを獲得。
しかし、
手が届きそうだったチーム優勝は、最後の最後に指先からすり抜けていった。
このとき、セガサミーフェニックスは総合2位であった。
今、魚谷侑未はMリーグの舞台にいない。
2023-24シーズンを最後に、チームを離れたのだ。
そんな中、ファンも、そして魚谷本人も、
Mリーグの舞台で戦うことを熱望している。
画像にあるように、「Mリーグの舞台で戦うMトーナメント」にかける気合いは、並々ならぬものがあるだろう。
試合が始まった。
1戦目、魚谷は2着。
2戦目は、初戦3着の石原が東場の親番で突き抜けていく、魚谷にとっては苦しい展開となった。
しかし、
魚谷は落ち着いていた。
魚谷侑未は麻雀を打っているとき、本当にいい表情をする。
そして、全身全霊を込めて麻雀を打っていることが伝わる打牌選択をしていく。
そのひたむきさと真剣さに心打たれて「応援したい!」という気持ちになったファンもたくさんいる。
このMトーナメントで窮地を迎えても、
「Mリーグスタジオの水には慣れている」
と言わんばかりに、あらゆる戦術を繰り出す魚谷。
東4局にリーチを打ったあとは、
総合4着目の徐から出たアガリ牌2萬を見逃して、徐の親番を終わらせない作戦をとった。
ノーテン罰符によってライバルである石原との点差を詰めつつ、局は進めない作戦だ。
かくして、もう一度やってきた東4局。
魚谷が見つめる先にある、1本場の配牌は、
悪い。
こんなにも悪いことがあるだろうか、という手だ。
魚谷は、真ん中の5索から切り出して、マンズの染め手や七対子、あるいは国士無双を狙っていった。
この手が、望外の伸びを見せる。
中盤には、9筒を引き入れ、これで国士無双のリャンシャンテンとなった。
手にあるタンヤオで使える牌、6筒と8萬が入れ替わればテンパイだ。
しかし、ここからが国士無双は難しい。
なんせ、欲しい牌の種類が限られていて、少ないのだ。
魚谷が欲しいのは、西、中、9萬。
この時点で、9萬は3枚切れであった。
数巡後、
赤5萬をも切っていく魚谷。
真ん中の牌を引いてきても、要らないのだから切るほかない。
ここで役満をアガれば、一気に突き抜けることが出来る。
欲しい牌が残っている限りは、決して諦めるわけにはいかない。
次の巡目には、
「チー」
こちらもあとがない親番の徐が、魚谷の捨てた7萬を鳴いて、テンパイをとってきた。
魚谷の役満が流されてしまうかもしれない。
さらなる荒波が、魚谷を襲う。
この牌だけはまだ見えていなかった、
魚谷の欲しい西が場にバタバタと切られはじめたのだ。
西は2枚切れ、中も2枚切れ、そして9萬は3枚切れ。
苦しい状況だ。
しかし、
魚谷の表情に焦りはなかった。
そこへ、
トータルトップにいるHIRO柴田にも、役アリのダマテンが入った。
待ちは4-7萬。
魚谷をはじめ、徐も止まりようがない牌だ。
「もうダメか――」
と思われたその瞬間、
魚谷のもとに中がやってきた!
役満のイーシャンテンだ!
成就してほしい願いと、「そんなに上手くいくものか…」という疑いの気持ちとが混ざった、そんな表情に見える魚谷。
次のツモは、
西だ!
国士無双のテンパイ!
ところが、魚谷は、
なんとも言えない複雑な面持ちをしていた。
実は、
魚谷がテンパイする直前に、4枚目の9萬が石原によって切られていたのだ。
ロンと言われたら、国士無双にヒットしてしまう牌だ。
石原はそのリスクも考慮して「9萬を打つ」選択をとった。
実は、魚谷の河には、1 9字牌が全く余っていなかった。
だからこそ、「まだテンパイしていないだろう」という読みが石原には働いたのだろう。
アガリ目のない、悲しみの国士無双テンパイ。
それでも、魚谷侑未は、
親に通っていない2筒を打ち抜いて、蜃気楼のように儚いテンパイをとった。
徐の仕掛けが苦しいなら、流局することもある。
ならば、テンパイしておいた方がノーテン罰符を払わなくて済む。
アガれなかった役満の陰に心惑わされることなく、さらなる選択でも攻めの姿勢を見せた魚谷。
しかし、この局は徐のアガリとなり、この半荘は石原がトップ。
魚谷侑未は1stステージで姿を消すこととなった。
インタビューで魚谷は、
惜しかった国士無双のことや、東場に「こうしていればチャンスはあったかも……」という振り返りについて話していた。
魚谷の堂々とした戦いぶりは、見る者の目に焼き付いたことだろう。
ここからは、私の独り言である。
――やはり、貴方にはMの舞台がよく似合う。
もう一度、Mリーグに帰ってきてくれないか。
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