2025-26のMリーグ最終日。
あと2戦を残して、トータルスコアはこのようになっていた。
抜け出したEX風林火山を、他チームが追う構図だ。
賞金は上から、7000万、2000万、1000万、500万となっている。
2~4位のチームは、優勝が現実的でなくなった場場合に、方針を2着争いに切り替えるケースも出てくるだろう。
風林火山としては「BEASTまたは麻雀格闘倶楽部がトップ、かつ風林火山が4着」という並びにしなければ、大丈夫な状況だ。
そんな中、
EX風林火山は、選手兼監督の二階堂亜樹自らが「抑え」の役割で出場してきた。
ところが、東2局に事件が起こる。
テンパイしている亜樹が切った9萬に、
「ロン」
「12000」
黒沢の声がかかる。
ピンフ純チャン三色ドラのハネマン。
痛恨の放銃。
亜樹は4着目になってしまった。
それでも、
亜樹は冷静だった。
「雷電がトップなら、悪い結果ではない」。
もう一度スコアを確認してみよう。
Mリーグの順位点は、
1着+50 2着+10 3着-10 4着-30
である。1着のプラスが大きい。
だから、仮に風林火山が4着になっても、BEASTや格闘倶楽部が1着にならなければ、ポイント差が極端に詰まることはないのだ。
試合後のインタビューでも、亜樹は、
「このまま黒沢さんにトップをとってもらう」
ことを考えながら打っていたことを話している。
勝負所での放銃にも動じずに、亜樹は冷静に打牌を続けていく。
そして、南3局、
トータル3位にいる、KONAMI麻雀格闘倶楽部の親番。
この親を流すことが出来れば、風林火山の優勝がグッと近づいてくる、そんな場面だ。
亜樹の手は、6巡目に、
このような形となっていた。
亜樹は、
7筒を切った。
タンヤオも見えるが、真ん中の牌ばかりを持つと危険だ。
メンツ手は遠いので、あと2つトイツが出来ればテンパイする七対子の方を主眼として、ややスリムに構えた。
残した1筒は、下家にいるBEAST大介の現物である。
次の手番で、
2枚切れの白を持ってきた亜樹は、
ソウズのリャンメンに手をかけた!
守備力の高い字牌をたくさん抱えながら、あわよくば七対子でのアガリも目指そう、という選択だ。
次巡、
1筒が重なってイーシャンテンに!
字牌が3枚残っており、ガードの面もバッチリだ。
続いて、
ドラそばの7萬を持ってきた亜樹は、
ここで北をリリースする。
3枚場に出ている安全牌を捨て、危険でも重なりやすい数牌を残した。
次巡、
8筒を持ってきて、7萬と入れ替える。
対面にいる親の寿人が直前に4萬を打ってきたので、比較的安全なスジの牌を捨ててイーシャンテンをキープ。
その次に亜樹が持ってきたのは、
発だった。
これは、
(黄色の牌はツモ切り、白色の牌は手出しを表す。)
「1枚切れ」の牌だ。
親の寿人や、下家にいるBEASTの大介には通っていない。
亜樹は、
発を残して、2枚切れの白を打った!
絶妙な選択だ。
牌の守備力だけなら白の方が断然上だが、残り枚数を重視してアガリを狙った格好だ。
また、河を見ると、みな役牌の切り出しが早く、数牌中心の手を組んでいることが読める。
1枚切れの発は山にいる可能性が高いと同時に、他家にさほど危険ではないのだ。
8筒を打たなかったのは重ねたい気持ちも少しはあったのかもしれないが、真ん中の数牌が多く余っている下家の大介や、親の寿人へのダマテンケアがメインだろう。
重なりやすいと見た発と、危険と考えた8筒とを両方残す、攻守においてバランスのいい一打だ。
ちょっとでも弱気になった場合は、「未来になるべく安全牌を置いておきたい」気持ちから、8筒や発に手がかかってしまうことだろう。
2巡後に、
8筒が重なった!
亜樹は、「あのとき強気に残した発」待ちに構えた。
そして、
寿人からのロンアガリに成功する。
七対子赤の3200。
ライバルチームの親をヒラリとかわす、華麗なアガリであった。
亜樹の二つ名は「卓上の舞姫」。
冒頭でも紹介したが、亜樹は今年から選手だけでなく監督も兼任している。
選手起用をメインに監督としての役目を果たしてきたが、麻雀でも「俯瞰的な選択の精度」に磨きがかかった印象だ。
イーシャンテン段階で、「もっと安全な牌を持ちたい」と考えて8筒や発を切った場合には、この手は成就していない。
このまま、
黒沢がトップのまま、ゲーム終了。
亜樹は、
風林火山が有利な状況をしっかりと保ったまま、最終戦に出る勝又へとバトンを繋ぎ、
勝又がリードを守り切って、EX風林火山が2025-26Mリーグの優勝チームとなった。
この日は、パブリックビューイングも行われており、
涙するファンの姿も見られた。
麻雀を見るのは面白い。
秋までMリーグはオフシーズンに入るが、色々な対局がABEMAなどで配信されているので、ぜひチェックして欲しい。
強さを見せ続け、たくさんの人の心を動かした、
EX風林火山の選手のみなさんに、
「おめでとう」
そして、
「ありがとう」
の言葉を贈りたい。



























