AIは人間の仕事を奪う存在なのか、それとも人間の魅力を引き出す存在なのか――。フジテレビのバラエティ番組『AI実験バラエティ シンギュラ』が、第52回放送文化基金賞のエンターテインメント部門で優秀賞を受賞した。AIを“競わせる相手”ではなく“遊び道具”として使い、芸人たちの未知の才能を引き出した点が高く評価された。
『AI実験バラエティ シンギュラ』は、“AI×テレビ”の可能性を広げるべく、AIを使用してさまざまな実験企画を行うバラエティ番組。2026年1月2日に単発特番として深夜帯で放送され、大喜利のお題に対して、脳内でイメージした回答を生成AIを使って答える、これまでの大喜利とは一線を画す「脳内大喜利」などが話題を呼んだ。
その後、5月14日には2回目の特番を全国ネットで放送。今回、第1回の放送がエンターテインメント部門・優秀賞を受賞した。
同賞では、「人間とAIの相乗効果で新たな笑いを創り出した。特に『脳内大喜利』では、AIを人間と競わせるのではなく、遊び道具として使うことで、芸人たちの未知の才能を引き出すことに成功した。AI活用の新たなステージを切り拓く新機軸のバラエティである」と評価された。
企画・演出のフジテレビ飛田将斗氏は「2026年、AIは急速に社会へ浸透し、今では目にしない日はないほど日常化しました。“人間の仕事を奪う存在”として認識されることもあるこの技術を、“人間の魅力を引き出す存在”として描くバラエティ番組を志しました」とコメント。
続けて、「まずはレギュラー化を目指すところからですが、進化するAIとともに二人三脚で新企画の開発に取り組むことで、テレビ業界に新しい風を吹き込んでいきたいです」と意気込む。
さらに、「初めて企画・演出を担当した番組で、このような大変名誉ある賞を受賞できたことは、番組に関わっていただいた全てのスタッフ・出演者さまのおかげです。そして視聴者の皆さまにも心より感謝申し上げます」と感謝を述べ、「過去の放送回はTVerにて配信中ですので、人間の能力がAIを圧倒する“逆シンギュラリティ”をぜひご覧ください」と呼びかけた。
「放送文化基金賞」は、視聴者に感銘を与えた優れた番組・配信コンテンツや、放送文化、放送技術の分野で顕著な業績をあげた個人・グループに贈られるもの。フジテレビでは、同局が開発した「ISDB方式の現行テレビ放送を対象としたアドレッサブルTV技術とその偽情報対策技術の開発」も、放送技術部門を受賞している。
【編集部MEMO】
『AI実験バラエティ シンギュラ』企画・演出の飛田将斗氏は、マイナビニュースのインタビューで今後の展望として、レギュラー化への強い思いを語り、「AIの強みは“学習”できるところです。継続すればするほど番組としてのデータや知見が途切れずに蓄積されて、AIがこの番組に合わせて進化する姿が見えてくると思うんです」と力説している。
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