話を白洲に移すと、最初にレギュラー出演したゴールデン・プライム帯のドラマは2014年秋の『ごめんね青春!』(TBS系)。続く2015年冬の『学校のカイダン』(日本テレビ系)、同年春の『She』(フジ系)と3クール連続で学園ドラマにレギュラー出演を果たした。
各事務所の有望株が集結する学園ドラマの中でもイケメンぶりは引けを取らず、キャスティングされやすかったのは間違いないだろう。白洲は若手俳優の中でも「どの世代にも通用する正統派のハンサム」などと言われていたが、だからこそイケメン以外の設定が薄い役柄が多くなりやすいのが難しいところ。優男か性悪か、どちらにしても視聴率獲得のために必要な存在であり、出演作が多い割に俳優としては評価されづらいところがあった。
ただ、21年の『私の夫は冷凍庫に眠っている』(テレビ東京系)で妻に殺されるが翌日普通に帰ってきた謎の夫、『リコカツ』(TBS系)で愛を信じない毒舌の恋愛小説家、『どうせもう逃げられない』(MBS)でデザイン賞を総ナメにした伝説のデザイナーという強烈な設定の役柄を連続で演じて評価を上げる。
さらに22年の『個人差あります』を経た23年は『大病院占拠』(日本テレビ系)で武装集団「百鬼夜行」に情報をリークする警察の裏切り者、『帰ってきたぞよ! コタローは1人暮らし(テレ朝系)では訳あって1人暮らしする6歳男児から「母親誘惑男」と敵視される謎の男。
24年の『君が心をくれたから』(フジ系)では五感を失う主人公に寄り添う市役所職員、『ギークス~警察署の変人たち~』(フジ系)では主人公に隣人として接するが実は警視庁の超エリート監察官。
25年は『パパと親父のウチご飯』(テレ朝系)で妻に不倫され1人で4歳児を育てるがトラウマで包丁を持てないシングルファーザー、『すべての恋が終わるとしても』(ABCテレビ・テレ朝系)で報われない恋に振り回されてヒロインに救いを求める先輩社員。
さらに今年3月にはドキュメンタリードラマ『3.11~東日本大震災15年 福島第一原発事故 命の戦い~』 (フジ系)で主演として原発に近い病院で孤立しながらも懸命に対応する医師を演じた。
いわゆるイケメン俳優は「感情表現が乏しく見える」「役柄のリアリティに欠ける」などの課題を突きつけられがちだが、もはや白洲にその不安はないのではないか。むしろ感情を抑えた演技でも視聴者に喜怒哀楽を感じさせられる俳優に近づいているのかもしれない。
近年、過酷な設定を背負う難役を立て続けに演じ続けたことで、いよいよゴールデン・プライム帯の連ドラ主演に待ったなし。その際は「ターニングポイントは『個人差あります』だった」と言われても驚きはない。
日本では地上波だけで季節ごとに約40作、衛星波や配信を含めると年間200作前後のドラマが制作されている。それだけに「あまり見られていないけど面白い」という作品は多い。また、動画配信サービスの発達で増え続けるアーカイブを見るハードルは下がっている。「令和の今ならこんな見方ができる」「現在の季節や世相にフィットする」というおすすめの過去作をドラマ解説者・木村隆志が随時紹介していく。