テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、10日に放送されたNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』(総合 毎週日曜20:00~ ほか)の第18話「羽柴兄弟!」の視聴分析をまとめた。

  • 『豊臣兄弟!』第18話より (C)NHK

    『豊臣兄弟!』第18話より (C)NHK

「鋭いのか、バカなのか。豪胆なのか思慮深いのか」

最も注目されたのは20時28分で、注目度76.5%。宮部継潤(ドンペイ)による家臣登用試験・三ノ関が行われたシーンだ。

一ノ関、二ノ関を通過した者たちが堂に入り座禅を組む。「わしがよしと言うまでみだりに身動きしてはならぬ。心を無にし、雑念を振り払うのじゃ」宮部継潤は志願者たちにそう言い残し堂を出ると、小一郎(仲野太賀)と藤吉郎(池松壮亮)に軽くうなずきかけた。するとそれを合図に堂内に煙が注入される。堂内の石田三成(松本怜生)、平野長泰(西山潤)、片桐且元(長友郁真)は状況を察し、どう動くべきか考えを巡らせていると、「か、か、火事じゃ! 何しとるんじゃ、早う逃げよ! 何しとるんじゃ!」と、藤堂高虎(佳久創)が慌てて避難を呼びかけてきた。

多くの志願者が高虎に促され脱出すると、長泰と且元もそれに続く。だが、途中で且元はふと踵を返した。避難した長泰は煙を堂に送り込む者たちを見つける。「お主は動いたか」継潤の呼びかけに「はははっ、やはり煙はまやかしでございましたか。よし!」と長泰は笑顔で答える。すると別の扉から何かを抱えた且元がせきこみながら勢いよく飛び出してきた。「そなたは何を持っておる」継潤が尋ねると、「あっいや、まやかしの煙であろうとは思いつつ、万が一にはと思い御本尊と経典を持ち出してまいりました」且元の返答に継潤は満足そうにうなずく。

すると、座禅を組んだままの三成を抱えた高虎が堂内から飛び出してきた。「おい、こいつ火事だというのに逃げようとせんのだ! さっきから呼びかけても全く返事をせん! 煙を吸ったのかもしれぬ。医者を呼んでやってくれ!」と、高虎が必死に訴えかける。それを見た継潤は「もう動いてよいぞ」と三成に告げると、「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」と三成は激しく息を吐いた。三成は律儀に継潤の言いつけを守っていたようだ。高虎はその様子を見て、ようやく火事が見せかけであると気づいた。

「鋭いのか、バカなのか。豪胆なのか思慮深いのか」試験を見守っていた藤吉郎がつぶやく。「バカはバカでもバカ正直なのじゃ」小一郎は、短気なのは素早く知恵が回る証しであり、その考えに皆がついていけず何度も主君を変えてきたと見抜いていた。「あやつのこと、よう分かっておるの」と藤吉郎が笑う。「正しいことをやろうとしてなかなか皆に分かってもらえんかった男を、わしはよう知っとるからのう」小一郎は兄を見て思わせぶりに笑った。

  • 『豊臣兄弟!』第18話の毎分注視データ推移

    『豊臣兄弟!』第18話の毎分注視データ推移

「この三成、イメージ通りですごいな」

このシーンは、羽柴家の将来を担う新しい才能の登場に、視聴者の注目が集まったと考えられる。

北近江を与えられた藤吉郎は長浜城を築き、年貢や役を免除するという小一郎の施策もあり、城下町はわずかな期間で多くの人々が集まり大いに栄えた。しかし、百姓から成り上がった兄弟には子飼いの家臣が少なく、統治に手が足りない。そこで竹中半兵衛(竹中半兵衛)の助言に従い、家臣の登用試験を行う。一ノ関では胆力と観察力を、二ノ関では計算力を、そして三ノ関では判断力が試された。

SNSでは「いかにもドラマ的な演出だけどそれぞれの長所短所が明らかで分かりやすくていいな」「この三成、イメージ通りですごいな」「高虎くん、ガタイがいいだけじゃなくて洞察力も判断力もすごいな」と、後の羽柴家を支える面々にコメントが集まった。

半兵衛の進言で始まった登用試験だが、史実では半兵衛の没年は1579(天正7)年。作中の4年後に迫っている。病弱だったと伝わっている半兵衛だから、自身に何かあった時を想定していたのかもしれない。

長浜城は、戦国時代に豊臣秀吉が築いた城。1573(天正元)年、浅井氏滅亡後に北近江を与えられた秀吉が、拠点として築いた。琵琶湖に面した水運の要衝にあり、商業都市としても大きく発展した。小谷城で使われていた資材が一部転用されているが、1615(元和元)年頃に廃城となった際に今度はその部材の多くが彦根城へ転用されたと伝わっている。現在の天守閣は1983年に再建されたもので、内部は歴史博物館になっている。