富士急グループの十国峠は5月13日、十国峠の山麓森の駅と山頂パノラマテラスをつなぐ鋼索鉄道設備「十国峠パノラマケーブルカー」に代わる新たな交通手段「スロープカー」を2027年夏から運行開始予定だと発表した。
十国峠は、神奈川県・箱根と静岡県・熱海の中間に位置する。同スロープカーは、嘉穂製作所が製作する跨座式斜面走行モノレールで、同方式では最大勾配50°まで対応可能な自走式モーター駆動のラック&ピニオン方式を採用している。地形に沿った柔軟なルート設計を実現し、勾配変化時も車内の床面を常に水平に保つ構造で、車椅子やベビーカーの利用者にも快適・安心な乗車体験を提供する。また、駅舎から車両までの動線をバリアフリー関連法令などに準拠して整備し、これまで自身での乗降が難しかった利用者もスムーズかつ安全に利用できるようにする。
乗車定員は80名(40名×2両編成)で、片道所要時間は約4分。デザインは、「箱根遊船 大茶会」「初島リゾートライン 金波銀波」などを手掛けたイチバンセンの川西康之氏が担当する。十国峠の"十国"にちなんだ十角形の切子をイメージしたフォルムに、床から天井まで届くフルハイトの大型ガラスを全周に配備し、360°全方向に開かれた大窓で移動中も箱根・伊豆の絶景パノラマを体感できる"動く展望台"として生まれ変わるという。
なお、今回の設備更新は、設置から約70年が経過したケーブルカーの老朽化により、部品の確保が年々難しくなっていること、ならびにそれに伴い将来的な安全性の維持が困難となる可能性が高まっていることを踏まえて実施される。
「富士急グループでは、箱根・熱海・十国峠エリアにおいて、観光・交通インフラの整備や地域づくりに取り組んでまいりました。今回の十国峠スロープカーの導入は、富士急行株式会社の創業100周年という節目の年にあわせ、こうした取り組みをさらに発展させていくための象徴的な一歩と位置付けております。これからも地域に根ざした観光・交通事業の担い手として、お客さまと地域に信頼され続ける企業グループを目指してまいります」(同社)

