北村匠海が主演を務めるフジテレビ系ドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』(毎週月曜21:00~ ※FOD・TVerで見逃し配信)の第4話が、4日に放送された。
本作は、海辺の町で教師になるという“なんとなく”の動機で、とある田舎町の水産高校に赴任してきた新米教師が、同じく“なんとなく”日々をやり過ごしてきた生徒たちと出会い、高校自慢の「サバ缶」を宇宙食にするという夢に向かっていく、実話をもとにした青春学園ドラマ。
第4話にして早くも“2期生編”へ突入。愛着の湧いた1期生たちは卒業してしまったのだが、新たに登場した生徒たちが、前世代の“夢”を引き継ぎ、ひたむきに奔走するその姿は、1期生の熱量をさらに大きな感動へとつなげる、まさに“新章”となっていた。
1期生たちを卒業させた意味が、より鮮明に
続編における新メンバーの加入や、朝ドラなどで幼少期から青年期へ移行した際、戸惑いが生まれてしまうのは当然のことだろう。なぜなら、それまで積み上げてきた世界観が一度リセットされ、視聴者側も、慣れ親しんだキャラクターや空気感から、新たなドラマへと再び気持ちをアジャストしていかなければならないからだ。それまでの物語に強く共感していたなら、なおさらである。
その点において、本作が第3話で活躍した1期生たちを卒業させ、第4話から早々に新たなステージへ突入したことには、不安も大きかった。愛着の湧いた生徒たちともう会えない寂しさ。彼らの手で最後まで“夢”を成し遂げられないもどかしさ。そして何より、新章が始まることで、再び“サバ缶を宇宙へ!”という工程をなぞる、“同じことの繰り返し”になってしまうのではないか…そんな物語構造への懸念である。前回ラストの“卒業”があまりにも爽やかで、美しかったからこそ、今回の第4話には大きな不安を抱えたままだった。
しかし、そんな不安は杞憂だった。
今回の主要メンバーは、前世代から大きく人数を減らした“たった3人”。だが少人数だったからこそ、それぞれのキャラクターを自然に、しかし明確に立ち上げることができていた。何より、“夢の続き”が再び受け継がれていく過程そのものが、実にドラマチックだった。
だからこそ、1期生たちを卒業させた意味が、より鮮明になる。夢は誰か一人のものではなく、次の世代へと受け継がれていく。その構造が見えたことで、1期生編とはまた違った感動が生まれていたのだ。
また、男女3人という関係性の中に、ほんのりと切ない三角関係を漂わせていた点も良かった。これは前メンバーにはなかった要素だが、“高校生”を描く以上、やはり“恋”は避けて通れない。その青春の機微が加わったことで、“2期生編”の空気感はより瑞々しいものになっていた。
地味になりがちな物語をデコレーションする映像演出
とはいえ、今作が描いている事象は、とにかく地味だ。
今回描かれたのは、前回熱狂のうちに一区切りを迎えた“夢”が、実は2年間も止まっていたという現実。そして、その停滞から再始動へ向かうまでの、極めてゆるやかな動機づけ。さらに、1期生たちが果たせなかったサバ缶の“粘度問題”に再び向き合う、という展開である。
もちろん、“粘度問題”を解決したという結果だけを見ればドラマチックだ。しかし本作は、そこをクライマックスには据えなかった。焦点を当てたのは、“夢を引き継ぐ”という“尊さ”そのものだったのだ。
本来なら、このストーリーラインは地味である。ましてや地上波ゴールデン、それもフジテレビの看板枠“月9”だ。この地味さを真正面から見せ切るのは、かなり勇気のいる選択だっただろう。しかし今作には、“サバ缶=地味”と、“宇宙へ行く=夢”を一直線につなげる強烈なギミックがある。
手の届くような日常と、はるか遠い宇宙。その距離が遠ければ遠いほど、“夢”は鮮明になる。どんなに地味なものでも、その先に夢はつながっている。そんなロマンを、誰にでもわかる形で描き出しているのだ。
さらに印象的なのが映像演出である。宇宙映像だけでなく、さまざまな“丸”を宇宙に見立ててつないでいく遊び心あるカットの数々。それらが、地味になりがちな物語をカラフルにデコレーションしている。リアルすぎれば埋もれてしまいそうな世界観を、ほんの少しだけファンタジックに浮かび上がらせる。だからこそ逆説的に、このドラマの“現実”はより鮮明になるのだ。
何度も言うが、このドラマを観ていると、心が洗われる。忘れていた感情を思い出させてくれるし、明日への活力にもなる。だからこそ、どこまでも“地味”な物語であるにもかかわらず、不思議と見続けたくなってしまうのだ。












