政界を追い出された星野茉莉(黒木華)が、市井に生きる政治素人のスナックのママ・月岡あかり(野呂佳代)をスカウトし、東京都知事選に挑む姿を描く、カンテレ・フジテレビ系ドラマ『銀河の一票』(毎週月曜22:00~)の第2話が、27日に放送された。

本作は第1話で、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に軽く触れられていた。第2話が放送された今、『銀河鉄道の夜』と『銀河の一票』の共通点やテーマ、そしてどのような展開が待ち受けているのか、考えてみる。

  • (左から)黒木華、野呂佳代 (C)カンテレ

    (左から)黒木華、野呂佳代 (C)カンテレ

【第2話あらすじ】都知事選出馬を懇願されるも…

「都知事になってください」「私はあなたに賭けたい」。都知事選への出馬を茉莉に突然懇願され、戸惑うばかりのあかり。ほかに適任者がいるはずだと断るが、茉莉は一歩も引こうとしない。

茉莉には思惑があった。最大与党・民政党の幹事長として絶大な影響力を持つ父・鷹臣(坂東彌十郎)から絶縁され、あらゆる後ろ盾を失った今、自分が政界に戻る方法はただひとつ。あかりを選挙に勝たせて都知事に押し上げ、自分を副知事に指名してもらうしかない――。

「誰でもいいわけでもない」「あなたなんです」とまっすぐに思いをぶつけてくる茉莉に心を揺さぶられながらも、あかりはスナック「とし子」を辞めるわけにはいかないと出馬を固辞。それでもなお食い下がる茉莉を、とある場所で暮らす先代のママ・鴨井とし子(木野花)のもとに連れて行く。

そして、とし子の店であかりが働くことになった10年前のいきさつを打ち明ける。あかりは自暴自棄で自殺をしようとしたところを、とし子に救われた。その恩人であるとし子は現在は介護施設に。認知症も患っていた。そのとし子のスナックを守りたい。ゆえに、「この店を辞めるわけにはいかない」と告げたのだった。

納得した茉莉は、あかりの候補擁立をあきらめることに。そんな時、茉莉は生活拠点となる賃貸の審査に落ちてしまう。そんな茉莉を快く自宅へ招き寄せるあかり。都知事選挙までの50日間、滞在してもいいと優しい言葉をかける。

そのあかりとの共同生活。ともにアイスをシェアしているあかりが、「私なんかよりももっと人の上に立てる…(人は他にもいる)」と言いかけた時、茉莉は言う。「上じゃなくて、前です」。政治家というものは市井の人々と同じ目線で立ち、その先頭を進み、導くものだと熱い想いを語る。

そんな折、とし子の成年後見人を務める弁護士の竹林圭吾(中山求一郎)が現れ、スナックを売却すると告げられる。

  • (C)カンテレ

    (C)カンテレ

『銀河鉄道の夜』という物語とテーマ

まず『銀河鉄道の夜』とは、どのような物語なのか。この小説を貫く問いは、「真の幸せとは何か」ということだ。物語は、病気の母を持つ貧しく孤独な少年ジョバンニの登場から始まる。

そのジョバンニは、ある夜、町の「ケンタウル祭」の日に丘に登ると、突然銀河鉄道に乗っていた。そこで親友のカムパネルラと再会し、2人は夜の銀河を旅していく。白鳥座、鷲の停車場、南十字星……様々な星の駅を巡りながら、乗客たちと出会い、別れを繰り返す。やがてカムパネルラは消え、ジョバンニは現実に引き戻される。戻ってみると、祭りの夜にザネリが川に落ちたところを助けようとしたカムパネルラが、そのまま溺れ死んでいたことを知る。

ここで宮沢賢治が語りたかったことは、「自分一人が幸せになることでなく、すべての生命が幸せになること……そのために自分を犠牲にすることこそ、ほんとうの幸福だ」ということ。ジョバンニは孤独な少年だが、カムパネルラとの旅を通じて他者との深い絆・共感こそが魂を救うことを理解するようになる――。