仮面ライダー生誕55周年記念作として映画『アギトー超能力戦争ー』(監督:田﨑竜太)が2026年4月29日(水・祝)より全国劇場にて公開される。本作は2001~2002年にテレビ朝日系全国ネットで放送された「平成仮面ライダー」シリーズ第2作『仮面ライダーアギト』の「25年後」の物語だ。かつて「アンノウン」と呼ばれる未知なる脅威と戦った「仮面ライダーG3(G3-X)」装着員・氷川誠(演:要潤)が新たに「仮面ライダーG7」となり、人々を恐怖に陥れる「邪悪な超能力者」たちに立ち向かう物語を描く。
また、『仮面ライダーアギト』テレビシリーズの主人公であり、25年前に仮面ライダーアギトに変身してアンノウンに挑んだ津上翔一(演:賀集利樹)も「レストラン・アギト」のオーナーシェフとして登場するが、現在の彼はすでにアギトの力を失っているという。四半世紀の時を経て、氷川誠、津上翔一と、彼らをとりまく個性豊かなキャラクターたちが、迫りくる新しい脅威にどのような形で挑んでいくのか。予測不可能なストーリー展開にファンの期待も高まっている。
映画公開を記念し、マイナビニュースでは氷川誠を演じる要潤と、津上翔一を演じる賀集利樹の対談をお届けする。共に俳優として本格デビューを果たした『仮面ライダーアギト』テレビシリーズへの思いや、長年にわたって築かれた共演者との絆、そして25年の時を経て作られた映画にかける意気込みを語ってもらった。
「いまさら『アギト』?」と言われるかと思ったら…
――まず初めに、『仮面ライダーアギト』のその後を描く「新作映画」が実現した経緯から聞かせていただけますか。うかがった話によると、キャストのみなさんから製作側への逆オファーがあったそうですね。
要 『仮面ライダーアギト』放送から25年を迎えるので、何か「作品」としてやってみませんか? という提案を僕たちキャスト側からお話しして、白倉(伸一郎)プロデューサーをはじめとする制作サイドの方々が「やりましょう」と言ってくださったことが、映画実現のきっかけになりました。以前から『アギト』の警察チーム……僕と藤田(瞳子/小沢澄子役)さん、柴田(明良/尾室隆弘役)さん、山崎(潤/北條透役)さんの4人は、定期的に集まってご飯を食べているんです。そのなかで、『アギト』が25周年の節目を迎える今なら、僕たちキャストが集まって何かできそうな感じがするよねという話題で盛り上がり、「映画を作るというのはどうだろう」と誰となく言い出したのが始まりでした。
賀集:それで映画の企画が決まり、ほんとうにキャストのみんなが集まって映画を作れちゃうというのが、改めてすごいことだと思います。やっぱり25年間培ってきたキャスト、スタッフとの人間関係が大事だったというか、それがあったからこそできたことですね。
要:そうそう。25年も経って、いまさら『アギト』をやってもなあ、みたいな否定意見が出てくるかも……と思ったけれど、そういうのが全然なくて、みんなが同じ方向を向いていたのが大きかったですね。最初、白倉さんたちから「またまた、ご冗談を~」みたいに、流されてしまうんじゃないかって心配していたんです。「いいおじさんなのに仮面ライダーに変身してどうするの」とか(笑)。でも白倉さんに「スケジュールは大丈夫なんですか」と真剣に聞かれて、「え、本当にやるの?」とむしろこっちがビックリしてしまったくらいで……。映画を実現させるべく、具体的な話が進んでいくなかで、正直なところ意外さもありつつ、本当に映画を作ってくださるんだという感激がありました。
賀集:まさに僕らがふだんワイワイと、こんな作品を作りたい、できたらいいなって「夢」を語っていたところから、実現した企画ですよね。
――夢の企画といえば、17年前に『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(2009年)のラストで賀集さんが「仮面ライダーアギト/津上翔一」として「友情出演」され、ディケイド/門矢士(演:井上正大)に声をかける場面がありました。『アギト』終了から7年ぶりの再登場で、ワンカットですがファンから大きな反響が寄せられました。
賀集:そんなこともありましたね~。
要:今回の映画は、ワンカットどころじゃないですからね(笑)。
賀集:誰かひとりが他の仮面ライダーシリーズに「ゲストで出る」っていうレベルを超えているから(笑)。
要:最新の映画であり、同時に25年前の『アギト』のエッセンスを濃厚に感じられるようにしたいと思っていました。キャストのみんなが結集してくれたことで、その思いは作品の中に込められていると思います。
見た目は変わっても、中身は昔の『アギト』
――今回の映画で「氷川誠」「津上翔一」として共演された、お2人のお気持ちはいかがでしたか?
賀集:演じているという感じは、さほどなかったですね。そもそも『アギト』は僕のデビュー作で、当時は芝居のスキルがほとんどないまま津上翔一を演じたんです。100%ではないけれど、翔一の人物像は限りなく自分に近いものでした。だから、いくら月日が経っていても、特に意識をせず翔一になれるんだと思います。当時のキャストのみんなが周りにいるので、「懐かしいなあ」という感覚でしたし、自分の中では自然な感じで翔一を演じていました。
要:自然な感じ、というのは確かにありましたね。自分の心の中にずっと氷川誠という人格が存在していて、25年後のいま、表に出して演じている。まさにナチュラルな感覚で臨むことができました。
――『アギト』メインライター・井上敏樹さんによる映画の脚本は、かつての『アギト』を思わせるいくつかのオマージュシーンがある一方で、新キャラクターも多数登場して様々な角度から楽しめそうです。氷川と翔一の「25年後の姿」について、お2人から提案されたことはありますか。
要:キャスト同士では「こんな風にしたい」って、それはもうたくさんアイデアを出しました。たとえば「氷川が裏組織に関与」と見せかけて「実は潜入捜査」しているとか。みんなも思い思いのアイデアを語っていましたが、最終的には井上先生の手腕にぜんぶお任せでした(笑)。
賀集:僕自身は自分からアイデアは出していませんでした。出来上がった台本を読んで「翔一、こんな風になってるんだ……」と驚きましたけどね(笑)。翔一としてよかったなと思ったのは、今もなお「レストラン・アギト」を経営していたことです。
要:25年間、飲食店を続けられるのは、なかなかできることじゃないもんね。数年前にはコロナ禍とかもあったわけだし……。さすがです、津上さん! 敏腕経営者ですね(笑)。
賀集:いやいや~(笑)。でも翔一は基本ノンビリしているから、料理には自信があっても経営手腕は大したことないんじゃないかって思っていますけど(笑)。
要:翔一のレストランもそうなんですけど、今回の映画では「25年」という時間の流れを登場人物みんなが意識していて、あらゆるキャラクターが「今までにいろいろな出来事があって、何かを乗り越えてきたのかな」という背景を備えている、そんな風に思わせる部分が随所に見られます。
――レストランを続けていて、ある意味変わらない翔一がいる一方、氷川と警察チーム(小沢、尾室、北條)はみんな立場が変わっています。それでも、尾室が小沢さんにやりこめられたり、当時と関係性が変わっておらず、キャラクターの配置や動きの絶妙さを感じました。
要:みんな25年たって見た目は変わりましたが、中身は昔の『アギト』のころと変わらない。だからこそ、あのときの「続き」ができたという印象を強く感じました。
賀集:わかります。登場人物がみんな濃い個性を備えていた『アギト』という作品だからこそ成立した映画なんだなって思いますね。
要:警察チームの関係性が変わってしまっていたら、演じながらちょっと変な気分になっていたかもしれませんが、井上先生はその点、ツボをしっかり押さえていましたね。井上先生、僕らと一緒にご飯を食べたときに「お前ら、変わんねえな」とか、よく言っていましたし(笑)。キャラクターの地盤が固まっているからこそ、ストーリー上で自由自在に動くことができたんでしょうね。
賀集:「レストラン・アギト」には、翔一が居候していた美杉家(美杉教授、太一、風谷真魚)の方々がいつも食べに来てくれている……みたいな描写も、日常感があっていいですよね。あの一家は「レストラン・アギト」の一番の常連客。みんなのおかげであの店はやっていけているんです(笑)。
要:そうだったのか(笑)。
賀集:『アギト』のテレビシリーズでは、家事全般を翔一がやっていて、他に食事を作れる人がいなかったので、何かと理由をつけては翔一の店に来ていたんじゃないかって思っています。
要:美杉家が「レストラン・アギト」で食事をするくだりも『アギト』テレビシリーズと変わらない家族的な雰囲気があって、良いシーンになりました。
賀集:翔一も含めて、ずっとファミリーとして同じ時間を過ごしてきた4人の空気感を、ごく自然に作ることができましたね。
――テレビシリーズでは、真面目で不器用な氷川と朗らかで天然な翔一とのコミカルなかけあいがありました。映画でもそんな2人のやりとりがあるそうですね。
賀集:当時からの『アギト』ファンのみなさんに喜んでもらえそうなシーンがあります(笑)。こういうシーンも、特に気持ちを入れ込むことなく、いつもやっているような感覚でしたね。
要:まるで、昨日までずっとやっていたかのような雰囲気が感じられるかもしれません(笑)。僕らはみんな、意識的に昔を思い出して……みたいな芝居はやっていないんです。
賀集:氷川さんと(翔一が)出会った「場所」はずいぶん特殊でしたけどね。
要:刑務所ですからね(笑)。あのマジメすぎる氷川がどうして刑務所で服役しているんだろう? という疑問がまずわきますけれど、そこが井上脚本の狙いなんですね。何か罪を犯したのか、それとも冤罪なのか、氷川の置かれた状況から観客の興味をひきつける脚本の妙味です。
賀集:翔一も「今はアギトの力を失っている」という設定ですからね。情報が公開されたとき、ファンのみなさんから「翔一がアギトに変身できないんだったら、今回の映画ではどんな動きをするんだろうか」とか、心配の声があがっていました。本質は変わっていないけれど、人によっては置かれた状況が25年でかなり変わっている。そんな中で、どういう行動を取ることができるのかというところが、この映画の面白い部分だと思います。
――超能力者による、ホラーテイストの残酷描写がある一方で、懐かしいキャラクター同士の粋な会話の応酬や、おなじみの面々と新キャラクターとのやりとりなど、笑える部分もたくさんありました。
要:『アギト』といえば「群像劇」。アギト/翔一、G3/氷川、ギルス/葦原涼(演:友井雄亮)の3人と、彼らをとりまくサブキャラが織りなす複雑な群像ドラマが醍醐味じゃないですか。井上先生はよく「サブキャラが面白いからアギトは面白いんだよ」と言われていました。よく考えたら先生から僕ら3人(の仮面ライダー)は褒められたことがない(笑)。
賀集:みんなが複雑に入り組んで、助け合ったりぶつかったりするところが「アギト」というドラマの魅力。刑事を辞めて私立探偵になった北條さん(演:山崎潤)も、映画でめちゃめちゃ活躍しますしね。オリジナルキャストと、映画で初めて登場するキャストたちのやりとりも、すごく面白く描かれていました。
――本作では、主にドラマパートを東映京都撮影所、アクションパートを東映東京撮影所で撮られたとのこと。京都と東京で、雰囲気的な違いはありましたか。
賀集:大きな違いはありませんでしたね。京都撮影所のみなさんは初めてご一緒する方が多かったですけど、みなさん『アギト』テレビシリーズを観て研究してくださったりして、とても熱のこもった撮影ができました。中国から来られている方や、めちゃめちゃ仮面ライダーが好きだという方もいて、そういったスタッフの方々と一緒に作品作りができたのは、感慨深いものがありました。
要:子どものころ『アギト』を観ていた方が大人に成長し、今ではスタッフとして参加している、なんて話もよく聞きますね。そんなとき、25年という時間の「重み」を改めて実感します。
賀集:僕らも25年分、齢を取ったけど(笑)、それだけ月日が経っているからこそ、長い間『アギト』を好きでいてくれる人の存在をありがたく思います。
映画の見どころは? 要&賀集、まさかの同じ回答に
――本作の情報が発表されたときは、仮面ライダーファンのみなさんを中心に大きな反響がありました。お2人の周辺でもそんな声が聞こえてきたりしましたか。
要:別の仕事でご一緒したスタッフの方から「今度の映画、絶対観に行きます!」とニコニコした顔で言われたりしましたね。
賀集:そう言ってもらえると、嬉しいですよね。SNSとかでもファンの人たちが熱心にコメントしてくださって、期待されていることがわかります。
――映画をご覧になったお2人のご感想は?
要:「面白かった!」という感想しかないです。試写後のロビーがあんなに賑わう映画は珍しいくらい(笑)。みんな「ここが面白い」「あそこがよかった」と口々に感想を言い合っていて、幸せな空間でしたね。
賀集:いやあ、面白かったよね。最後はウルっとする感じもあって……。公開前の映画について話すときは、どうしてもネタバレになってしまう部分があるので、なかなか表現が難しいんだけど(笑)
要:昔の『アギト』が好きだった人たちにこそ楽しんでもらいたい。でも、その一方で「同窓会」映画を作るのではない、ということを強く意識しました。『アギト』を今まで知らなかった人がこの映画を面白く観て、さらにテレビシリーズに興味を持ってもらえるような、エンタメ性の強い作品を目指しました。
賀集:「身内」だけが楽しいってノリにはならないようにしたいって、撮影中みんなで言っていたよね。
――最後にお2人から、映画『アギトー超能力戦争ー』の見どころをお願いします。
賀集:いろいろな要素が詰まっていて、ひとつに絞ることができないので、見どころは「全部」というしかありません(笑)。25年経った『アギト』が、新しい彩りを加えた最新映画となって、戻ってきました。ぜひ思いっきり楽しんでいただけたらなと思います。
要:僕もすべてが見どころだと思っていますが あえて「氷川誠」的な見どころを言いますと、彼が新たに装着する「G7」がどんな戦い方をするのか、どんな敵と戦うのか……に注目してもらいたいです。25年もの間『アギト』を愛してくださった方たち、初めて『アギト』の世界に触れられる方たち、そして55年にわたる「仮面ライダー」シリーズのファンの方たち、すべてに向けて作られた作品です。いろいろな思いを込めてご覧になってくださるとうれしいです。どうぞよろしくお願いします!
プロフィール
要潤(かなめ・じゅん)
1981年2月21日生まれ、香川県出身。2001年「仮面ライダーアギト」で俳優デビュー、その後、テレビドラマ「新・愛の嵐」やNHK連続テレビ小説「まんてん」(いずれも2002年)、「GOOD LUCK!!」(2003年)などに出演。近年の主な出演作に、映画『キングダム』シリーズ(2019年ほか)、『【推しの子】-The Final Act-』(2024年)などがある。2026年はNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で明智光秀を演じるほか、映画『キングダム 魂の決戦』(7月17日公開)や、『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~CAPITAL CRISIS』(8月21日公開)など、話題作の公開が控えている。
賀集利樹(かしゅう・としき)
1979年1月16日生まれ、兵庫県出身。2001年「仮面ライダーアギト」で主演を務め俳優デビューを飾る。その後、「はぐれ刑事純情派」シリーズ(2002年ほか)、「年下の男」(2003年)、「瑠璃の島」(2005年)、NHK大河ドラマ「義経」(2005年)、などのテレビドラマや、「近松バイオレンス 崔版 女殺油地獄」(2004年)、「クロセンス」(2007年)などの舞台で主演を務め、映像や舞台などで幅広く活躍中。近年の主な出演作に、映画『YOKOHAMA 第1話「贋作」』、TVドラマ「精神分析医 氷室想介の事件簿3」など。仮面ライダーシリーズには『仮面ライダージオウ』(2018~2019年)のEP31、32で、津上翔一役として友情出演している。
(C)石森プロ・東映








