テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、16日に放送されたNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(総合 毎週日曜20:00~ ほか)の第44話「空飛ぶ源内」の視聴分析をまとめた。
地本問屋と女郎を集めて派手に宴
最も注目されたのは20時29~30分で、注目度81.0%。喜多川歌麿(染谷将太)が吉原でクライアントに金を落とさせるシーンだ。
夜が更けた吉原で、歌麿は多くの地本問屋と女郎を集めて派手な宴を催していた。そこへ鶴屋喜右衛門(風間俊介)が風呂敷包みを携えてやってくる。歌麿は座敷で踊る女郎たちを制し、「おい。紙花、紙花まくやつぁいねえのかい?」と座敷を歩きながら叫ぶ。「私は…」西村屋万次郎(中村莟玉)は、居心地が悪そうに小さく首を振った。しかし、他の本屋たちは、歌麿の機嫌を損ねまいと、次々に紙花をまき始める。
女郎たちの歓声が響く中、歌麿はさらにあおる。「もういないのかい? まかないと何年後になるか分かんないよ!」場の熱気とは裏腹に、歌麿の目はうつろでむなしい。女郎たちはそんな歌麿の様子を気にも留めず、自分を描いてくれと熱心にせがむ。
「先生、まずはうちからですよね?」万次郎が心配そうに歌麿へ歩み寄る。喜右衛門が歌麿に声をかけ、紙花を渡した。歌麿自らまいたほうが盛り上がるという。その言葉に従い、歌麿は盛大にまき始める。「それと、こちらを」喜右衛門は風呂敷包みから1枚の絵を取り出し、歌麿に渡した。それは『歌撰恋之部』だった。歌麿が蔦重(横浜流星)への恋心を描いたものだ。
「悔しながら、さすがの出来でございますよね」喜右衛門がその出来栄えを褒めそやすが、歌麿はしばらくながめたのち、無表情のまま絵をびりびりと破り始めた。「歌麿さん?」とまどいながら喜右衛門が声をかけると、歌麿は鼻で笑い紙片を放り投げる。「こんなものは紙クズですよ」にぎやかだった座敷が、しんと静まりかえった。
「見ていて痛々しいな」
注目された理由は、闇落ちした歌麿に視聴者の関心が集まったと考えられる。
蔦重と袂を分かった歌麿は、自分なりに吉原への恩は返していくと宣言した。その一環として地本問屋たちを集め、大きな宴を開く。それは派手に遊んだ順に仕事を引き受けるという打算的なものだった。紙花が乱れ飛ぶ宴はかつての田沼時代のように華やかなものではあったが、歌麿には暗い雰囲気が漂っていた。さらに喜右衛門が差し出した『歌撰恋之部』を破り捨てるという、エキセントリックな一面も見せる。
SNSでは「歌麿なりの吉原への恩返しなんだろうけど、やり方がへたくそすぎないかな」「何か自分を安売りしているようで見ていて痛々しいな」「万次郎くんもこんな歌麿を見たくなかっただろうな」「本屋の集まる前で絵を破くなんて印象最悪じゃない?」と、歌麿の言動に視聴者のコメントが集まった。
万次郎は歌麿が西村屋で描いてくれるか心配していたが、史実では歌麿は蔦重が亡くなったあとの寛政末期に『忠臣蔵』を西村屋から刊行している。また鶴屋からも1793(寛政5)年頃に吉原の俄祭りを題材にした『青楼仁和嘉女芸者之部』、1797(寛政9)年頃に『錦織歌麿形新模様』を出した。作中では狂歌絵本『画本虫撰』以外には美人画を多く描いている歌麿だが、大黒天・布袋・恵比寿の三福神が相撲を取る場面を描いた『三福神の相撲図』や中国・唐代の魔除けおよび病除けの神・鍾馗を描いた『鍾馗図』など幅広いジャンルの絵を残している。

