草なぎ剛が主演を務めるカンテレ・フジテレビ系ドラマ『終幕のロンド-もう二度と、会えないあなたに-』(毎週月曜22:00~ ※FODほかで配信)の第4話が、3日に放送された。
妻の死をきっかけに“遺品整理人”となったシングルファーザーの主人公が、遺品整理や生前整理を通じて、残された家族へのメッセージをひも解いていくというヒューマンドラマ。第4話で描かれたのは、“死”と相対したとき“人はどう変化してしまうのか?”だ。その揺らぎをまざまざと示した回であった――。
“共感”から大きく外れて映ってしまうリスク
今回のあらすじを振り返ってみると、お笑い芸人を夢見ていた息子を事故で失い、遺品整理を依頼した父の稲葉(六平直政)だったが、訪問したスタッフらの振る舞いが気に入らず、怒鳴り散らしては作業が進まない。やがて彼らの丁寧な仕事ぶりを目の当たりにし、息子の思いを知ることとなり、最後は笑顔で感謝を伝えるのだった。
一方、当初は母・こはる(風吹ジュン)に反発していた真琴(中村ゆり)だが、余命を知らされたことで気持ちが一変。夫・利人(要潤)から用意された設備豊かな病室から母を連れ出し、母が望む最期を彼女自身の手でかなえようとする。
この2つのエピソードにおいて、共通していたのは、感情の“極端な変化”だ。
気難しい父の稲葉は息子の生きた証に触れた途端、憑きものが落ちたように心を開き、真琴も母の余命を知るや頑なだった姿勢がほぐれ、“病院から連れ出す”という大胆な行動にまで踏み切った。
これらの“極端な変化”は、見方によっては近年のドラマにおいて必須と言っていい“共感”から大きく外れて映ってしまう可能性がある。しかも今作では、そんな変化を意図的に強調するような劇画的な演出が施されており、表層だけを追えば視聴者が置いていかれても不思議ではなかった。
「遺品整理人」という仕事の本質とは
しかしそうした“極端な変化”をも、まるで何もなかったかのように、全てを吸収してしまうのが、やはり樹(草なぎ)の存在だ。彼のおかげで、死に直面した人々の心が追いつかず、結果として“極端さ”へと振れてしまうことが、むしろ自然なのだと思えてくる。そして、その揺れを受け止め、寄り添う姿こそが「遺品整理人」という仕事の本質なのだと気付かされるのだ。
また“後悔”という観点で先の2つのエピソードを見比べてみると、色合いの違いが際立つ。
稲葉は生きているうちに息子を理解できなかった“後悔”を抱える人物だったのに対し、真琴は、母に後悔してほしくない、いやむしろ自分が“後悔したくない!”という強い思いからあの行動に移った。同じ“後悔”でも、その矛先が異なっていたことで深みが増し、それぞれ“死”に直面した人物たちの、極端な変化ではあるがそれこそが人間らしい機微にも思えた。
だからこそ、このドラマは“極端な変化”だから“共感できない”という単純な評価はできないのだ。
しかし、第1話から続く御厨家の面々は、いまだ“極端”なキャラクターとして映っている。彼らが今後、樹や真琴と共に、どのように“死”と向き合い変わっていくのか――その行方を見届けたいと思わせる第4話だった。
















