3番目に注目されたシーンは20時17分で、注目度76.5%。のちにブームとなる、女性の大首絵の企画段階のシーンだ。

夜の耕書堂では、蔦重が市中で流行している相撲絵・武者絵と、歌麿の絵をじっくりと見比べている。「それ、歌さんの絵ですか?」てい(橋本愛)が尋ねた。「ああ。今、女絵を出せば間違いなく目を引く。それにこの大きさ。女の大首絵なんて見たことがねえだろ」と蔦重が答える。しかし、ていは役者絵ではなく女絵で成り立つのか懐疑的に感じていた。蔦重は今までは皆、女の顔は同じように描き表情もないので、大きくしても面白くないから誰もやらなかったと分析する。

しかし、「今の歌麿なら、表情も出せる女の描き分けができる。つまり女の大首絵が描ける。喜多川歌麿は当代一の絵師になる」と言って目を輝かせた。「歌さん、やってくださるでしょうか」ていは率直な不安を口にする。蔦重は目を伏せ考えを巡らせた。「まぁ案思だな。こういう時は案思しかねえんだよ。あれやこれを吹き飛ばしちまうぐれえやりてえって思うような」蔦重の頭の中では、すでに全てが解決しているような口ぶりであった。

蔦重の発想力とていの賢妻ぶりが話題に

ここは、現在でも圧倒的な人気を誇る大首絵誕生秘話に、視聴者の注目が集まったと考えられる。

身上半減を受けた蔦重は耕書堂を再建するために、過去に出版した人気の本を再印本として売り出した。また、それまで存在していなかった女性の大首絵を世に出すことを思いつく。しかしその絵を描けるのは仲たがいをした喜多川歌麿だけだった。女性の大首絵を描くというだけでは説得の材料としては弱く、蔦重は歌麿に響く案思を考えることになる。

SNSでは「追いつめられているときに、革新的なアイデアを出してくる蔦重はやっぱり逆境に強い男だな」「おていさんはおきよさんを失ったばかりの歌麿が美人絵を描いてくれるか心配してるのかな。本当に心配りができる人だね」「悩んでいる蔦重の相談にのってくれるおていさん、本当にいい奥さんだね」と、空前のブームを前に、蔦重の発想力とていの賢妻ぶりが話題となった。

大首絵とは江戸時代に流行した浮世絵の様式で、人物の顔や胸元を大きくクローズアップして描いた版画。役者絵や美人画に多く用いられて、観る者が表情や個性を間近に感じられる構図が特徴だ。もともと勝川春章などが役者大首絵を描いていたが、後に喜多川歌麿が美人画に取り入れ大きく話題となった。

歌麿の大首絵には狂歌絵本『画本虫撰』でも使われた雲母摺が多用され、人物をより際立たせた。歌麿のほかでは鳥文斎栄之や栄松斎長喜が有名。ちなみに栄松斎長喜は鳥山石燕(片岡鶴太郎)の弟子なので、歌麿とは同門となる。浮世絵がヨーロッパへ輸出されるようになると、大首絵もそのインパクトの強さが注目され大きな話題となった。