“恋人ファースト”がゆえに自分を見失ってしまった彼女・鮎美と“料理は女が作って当たり前!”な亭主関白思考の彼氏・勝男の、別れから始まる成長と再生のロマンスコメディ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(毎週火曜22:00~)が10月7日よりスタートする。第26回手塚治虫文化賞・新生賞の受賞歴を持つ谷口菜津子による同名漫画を原作に、TBSドラマ初主演の夏帆と、約6年ぶりのTBSドラマ出演となる竹内涼真がW主演を果たす本作。撮影真っただ中の2人が、撮影現場でのエピソードや演じる役柄への思いなどを語った。
――クランクインから早2カ月(取材当時)。役柄は馴染んできましたか?
夏帆:鮎美はハイスペックな男性と結婚して安定した人生を送るために、モテる努力をしてきた女性。私自身とは違うタイプの人なので、演じるにあたり自分なりにプランを立てて現場に入りましたが、実際にお芝居してみると思った以上に難しくて。でも今は、竹内くんや共演者の方々にヒントをいただきながら、鮎美との距離を少しずつ縮めていけていると思います。この髪もピンクに染めて2カ月くらい経つので、黒髪の方が違和感を感じるくらい馴染んでいて。鮎美は内面だけでなく見た目も今後いろいろと変身していくので、そこも楽しみにしていてほしいです。
竹内:勝男は、自分から周りに発信して、そこで起こったことや相手から返ってきた反応を通して、自分を理解していく人物です。僕自身そのプロセスをとても楽しみながら演じています。自分の中から湧き出てきた感情を、逃さずにキャッチして発信するという作業を繰り返すうちに、どんどん役が自分にフィットしてきているし、現場で面白いこともたくさん起きていて。勝男は鮎美と別れてから、鮎美の気持ちを理解するために料理に挑戦しますが、僕自身料理をあまりしないので、その部分も自分に重なっているなと。台所に立つ鮎美を外から見ているだけだったので、別れていざ自分で料理をしようと思っても、どこに何があるかも分からない。初めて彼女の領域に足を踏み入れたときに、自分のダサさ、無力さを知るというところは、すごく面白いシーンになっていると思います。
――演じる中で、鮎美と勝男という人物にどのような印象を持ちましたか?
夏帆:鮎美は勝男といる時も渚(サーヤ)と出会ってからも基本的に受け身。渚と出会い「私の好きなものってなんだろう。私が本当にしたいことってなんだろう」と思うようになりますが、常に相手に合わせて生きてきたので、自分というものがないんです。それもあり、ここまでお芝居をしていても、鮎美の“軸”はどこだろうと思いながら演じていて、でもそれはある意味正解なのかなと。後半にかけて、これから鮎美の自分らしさ、“軸”を見つけていけたらいいなと思います。
竹内:僕の勝男に対する印象は、結構日々変化しているかも。「こういう時、意外と感情的になるんだな」など、演じていて日々気づくことがたくさんあるんです。勝男は漫画だと絵のタッチもあって少しメソメソしている印象があるかもしれませんが、僕が演じる勝男は、その弱い部分を隠していて。日本人の男性って、本音を隠しがちなところがあると思うので、そういう部分を少し自分に近づけて、キャラクターを自分に引き寄せながら演じるということはしているかもしれません。
――撮影現場の雰囲気はいかがですか?
夏帆:約2カ月近く竹内くんといろんなシーンを撮ってきましたが、“別れ”から始まっている分、まだまだこれからだなという気がすごくしていて。不思議な感覚です。それぞれが別の場所で別のパートをずっと撮影していて、たまに会う感じなので。
竹内:付き合っている時の回想で楽しいシーンの撮影はありましたが、序盤に別れるので、最近たまに会って撮るのは大体気まずいシーン。本当に別れた2人みたいな感じ(笑)。
夏帆:まだ感情をぶつけあうようなシーンもあまりないので、後半がどうなっていくのか、私自身待っているところです。
竹内:あんまり見たことのない距離感の2人かもしれません。
――勝男の会社での後輩たちとのやりとりや、鮎美と渚のやりとりなど、コメディならではのテンポ感が大事になるシーンも多いと思いますが、撮影エピソードを教えてください。
竹内:コメディって全力でやらないとテンポ感が生まれないと思っていて。
夏帆:狙いに行ったら、っていうね。
竹内:そう。狙いに行ったらやりすぎてダメだし、その時点で見てもらえなくなると思っていて。だからコメディをやろうという意識を持たずに現場に入っています。120%全力だからこそ、すっ転んだ時に笑えるという状況を常に僕が作りたいんです。だから全力で真面目にやってます。
夏帆:私の場合は渚とのシーンも“受け”が多いので、自分からリズムを作ったり何かを発信したりすることが、序盤は特になくて。周りの人から刺激をもらってそこに反応していくことが多いので、自分から何かをできないもどかしさをすごく感じています。
竹内:だからそのうち、爆発するんじゃない?鮎美は。
夏帆:そう!爆発したいんですよ、そろそろ。これまであまり自分の気持ちを伝えるようなことがないので、演じる側としてはフラストレーションを感じていて。でもそれじゃダメだと鮎美は気づいていくと思うので…。
竹内:みんな、鮎美がいつ爆発するのか楽しみになる気がする。
夏帆:台本がまだなので、本当に爆発させてもらえるのか、分からないですけどね(笑)。
――ちなみに本作は“料理”をきっかけに変わっていく勝男と鮎美の関係性が描かれますが、ご自身がお互いに作ってあげたい料理があれば教えてください。
竹内:僕はカレーしかないです。
夏帆:得意料理なんですもんね。
竹内:僕の中ではカレーは“実験”。その時の気分で具を決めるので今の自分がもろに出ちゃうんです(笑)。夏帆さんは汁物が大好物らしいので、ちょっとスープっぽくしちゃおうかな。
夏帆:あー大好き。
竹内:この前、食材の値段を気にせずに買ったら1万7000円くらいになっちゃって(笑)。“発散カレー”ですね。
夏帆:竹内くんは肉より魚が好きだとおっしゃっていたので、普段あんまり魚料理は作りませんが、ちょっとチャレンジしてみようかな。焼き魚定食とか?
竹内:いいですね、最高!
――では最後に、第1話の見どころをお願いします。
夏帆:鮎美に関しては、第1話の段階ではまだ“ミステリー”なんです。鮎美はなぜ勝男と別れることを決めたのか。鮎美はどこにいるんだろう?という。
竹内:そうですね。勝男はものすごいスピードで自分がこれまで気づけなかったことに気づき始めて、どんどん回収していきますが、それと同時に鮎美は…。
夏帆:あの人はどこに行ってしまうんだろう…という感じで、第2話でそれが徐々に分かっていくという構成になっています。視聴者の方にとって、意外性のあるドラマになっているといいなと思いますね。
竹内:付き合ってきた中で溜め込んでいたものが一気に爆発した2人が、この先どこへ向かっていくのか。日常に溢れている男女ならではのもつれや、うまくいかないやり取りを楽しく、そしてキュートに表現しているので、その全力さにはきっと笑っていただけると思います。みなさんにこの2人を応援したいと思っていただける第1話になっていたらうれしいです。「国民のみなさん、僕たちを応援してください!」って感じです(笑)。
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