国土交通省と北海道庁は3日、「北海道新幹線札幌延伸に伴う鉄道物流のあり方に関する有識者検討会議」の中間とりまとめを公表した。北海道新幹線札幌延伸時にJR北海道から経営分離される予定の函館本線函館~長万部間(通称「海線」)について、少なくとも延伸開業の時点では線路を維持し、貨物鉄道の機能を確保することが必要であると結論づけた。
この検討会議は、北海道新幹線の札幌延伸にともない生じる鉄道貨物輸送の課題について解決策を検討するため設置された。学識経験者、経済団体、鉄道事業者らで構成され、2023年11月から6回にわたって関係者ヒアリングなど行ってきた。
今回、「海線維持が必要」との結論に至った大きな理由として、他の輸送モードへの完全な代替が困難であることが判明したことが挙げられる。会議では、鉄道貨物の全量を船舶輸送で代替した場合、輸送が最も集中する9月に北海道発の貨物で約6割、北海道着の貨物で約5割しか代替できないとの試算結果が示された。トラックドライバー不足を考慮すれば、この割合がさらに広がることも想定されるとしている。ヒアリングに参加した関係者も、トラックおよび船舶の輸送余力に制約があることや、5トンコンテナによる鉄道貨物自体にニーズがあり、輸送モードが限られるとサービス品質に影響が出ると指摘したという。
あわせて輸送手段が寡占状態になることで、コスト上昇の懸念があるとの声も聞かれた。環境性能に優れ、全国ネットワークで輸送している貨物鉄道は、カーボンニュートラルや食料安全保障の観点からも重要な役割を果たしており、機能を維持すべきとの意見が多かったという。これらの点を総合的に勘案し、「少なくとも北海道新幹線札幌延伸開業の時点では、海線の貨物機能を維持する必要がある」と判断した。
一方で、海線の貨物鉄道機能を維持する上で、多くの課題が残されていることも指摘した。旅客輸送を行わずに貨物専用の路線として存続する場合、全国初の事例となるため、解決すべき課題が多岐にわたる。具体的には、JR北海道から分離される線路などの鉄道施設を誰が保有するのかという「保有主体」の問題、毎年度数十億円規模にのぼる「維持管理費用」を誰がどのような割合で負担するのかという問題、施設の維持管理を担う数百人規模の「要員の確保・育成」などを大きな論点として挙げている。
こうした現状と課題を踏まえ、海線の貨物鉄道機能をどう維持していくかは全国的な物流ネットワークに関わる問題であり、「北海道内の関係者だけではなく、全国的な貨物鉄道ネットワークを担うJR貨物を所管する国も含めた役割分担のあり方を考えるべき」と提言した。
今後の進め方については、北海道新幹線の札幌開業が当初の2030年度末から2038年度末頃へと遅れる見通しとなったことから、検討の時間軸を整理するとともに、引き続き課題解決に向けた議論を継続していく方針を示している。
