――13年の間に視聴率の捉え方も変わって、「世帯」一辺倒だったのが、今は「個人全体」や若い世代を中心とした「コア」といった指標が生まれて重視されるようになってきました。『プレバト!!』は世帯や個人全体が強い番組ですよね。
編成的にはコアが高いほうがいいという傾向はありますが、『プレバト!!』にはしっかりスポンサーが付いてくれているので、営業的に堅調です。若い人たちにも見てもらえるように日々作っていますが、この番組は全盛期の『VS嵐』(フジテレビ)と『いきなり!黄金伝説。』(テレビ朝日)の裏で、3カ月以内に世帯10%行かなかったら打ち切られるというところでスタートしています。あの時、どこの層をメインターゲットにしようかと考えた時に、主婦層や3層(50歳以上)にしてなかったら番組はとっくに終わってたと思います。
世帯視聴率の時代に支持されて、視聴者との信頼関係が生まれて、芸能人の皆さんの頑張りで『プレバト!!』が育ってきた。これは番組がスタッフや局だけのものだけではなくて、視聴者と出演者の皆さんに大きく育ててもらえたということなんです。TBSは去年「LTV4-59」(男女4~59歳)という指標を導入しました。『プレバト!!』ももちろんそこは意識しているのですが、個人全体が強い番組として視聴者との関係性が構築されているのに違う指標を意識しすぎちゃうと、個性を無理やりねじ曲げることになりかねないんです。
――最近の各局ゴールデンタイムは2時間スペシャルを隔週で編成することが多いですが、『プレバト!!』は比較的レギュラー枠で毎週放送されていると思います。これも、視聴者との信頼関係において大事なことですよね。
最近は、1時間、1時間、2時間みたいなことも増えているんですけど、基本的には毎週のオンエアを楽しみにしてくださっている視聴者も多いと思います。かつては『プレバト!!』も隔週2時間だったのですが、3年目くらいから毎週放送するようになって、視聴率も高いところで安定するようになりました。毎週やっているのが一番のPRだという実感があります。
「テレビ離れ」の中で果たす『プレバト!!』の使命
――それも、数字で結果を残しているからこそできることだと思います。そうした中で、いわゆる「テレビ離れ」が進む現状があります。
最近、物心ついてから初めてテレビを1週間で1秒も見ない時があったんですよ。めちゃくちゃ忙しい4日くらいを過ごしたら「あれ? 今週は全くテレビを見れなかったから、この流れで1週間まで行っちゃおう」と思って、リモコンも1回も触らないという風に日常生活での企画にして。そしたら、めちゃくちゃ普通に問題なく生活できたんですね。
きっと僕よりもテレビが必要じゃない人たちがいっぱいいる中で、それでも毎週楽しみにしてくれている視聴者がいるというのはすごいことだなと思ったのと、テレビ離れ、地上波離れを起こさないためには、どの系列でもいいので1週間で1つでも「この番組を見たい」と思ってもらわなきゃダメなんだろうと。幸いにも1週間の中で『プレバト!!』を楽しみにしている方は何百万人もいらっしゃるので、せめてその人数を減らさないように作らなきゃいけないと思ったんです。
――以前、当時日本テレビの橋本和明さん、フジテレビの木月洋介さんと鼎談してもらった時に、水野さんがゼクシィの「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです。」というキャッチコピーにかけて、「地上波なんか見なくても楽しいこの時代に、それでも僕らはテレビを見てほしい」という気持ちで作ろうと会議で話しているとおっしゃっていましたよね。
はい。テレビと意図的に離れてみて、それを改めて実感しましたね。『新しいカギ』(フジテレビ)を楽しみにしている高校生もいるだろうし、それぞれの番組が得意としている属性と関係値を築いて、その総数が積み上がれば、テレビのリモコンを押すという行動が引き続きあるかもしれない。だから番組それぞれの使命は、今までの視聴者を1人も裏切らないことなんだと、改めて思いました。
