女優の大島優子が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。今回担当したのは、3日に放送される「母ひとり子ひとりの物語~息子が娘になる日~」。トランスジェンダーとして「女性になる」決意をした若者と、その背中を支える母の2年にわたる愛と葛藤を描いた物語だ。
今年5月に第2子を出産したばかりの大島。2児の母としての視点、そして、性別適合手術を受けたトランスジェンダーの友人を持つひとりの女性としての経験が、ナレーションに深みを与えている。収録を終えた彼女に作品に込めた思いを聞いた。
「何度も死のうと思った。でも、かわいく見られたい」
新宿・歌舞伎町のリングに立つ22歳のプロレスラー、エチカ・ミヤビ。本名は「とものり」という。デビューから1年。エチカはリング上で「女になって必ず帰ってきます」と宣言した。10日後に、タイで性別適合手術を受けることを決意していた。
心と体の違和感に苦しんできた10代の頃。ヒゲを生やし、“男らしさ”を演じてきた過去。しかし違和感は拭えず、心は壊れていくばかりだった。「何度も死のうと思った。でも今は、かわいく見られたい。素直になりたい」――その言葉に、大島は胸を打たれた。
「映像を見て、本当にいろんな感情になりました。私にも(性別適合)手術を受けたトランスジェンダーの友人がいたりもするので、彼女の覚悟に重なる部分がたくさんありましたし。それと同時に、私も2児の母になったので。母親としての視点においても感じるものがありました」
子どもを信じて「支える」母親への憧れ
とものりさんは、手術費用200万円を貯めるため、夜はキャバクラで働きながら、プロレスの練習も続ける日々。睡眠時間はわずか2~3時間。リングで見せる笑顔の裏には、壮絶な覚悟と努力があった。
そんなとものりさんを支えるのは、母・かずよさん。未婚で出産を決意し、精神科の看護師として働きながら実家で暮らし、祖母とともに女手ひとつで育て上げてきた。観客席で涙を流しながらとものりさんを見守るかずよさんの表情には、さまざまな感情がにじんでいた。
「本当にたくましくて、すべてを前向きに捉えて、しっかり受け止める心を持っている。あのお母さんありきの親子というか、そこが“軸”になっている親子だなって思いましたね」と大島は感嘆する。
「『“育てる”から“支える”に段階的に変わった』と、かずよさんはお話されていましたが、私自身はまだ子どもが小さくて、“育てる”フェーズなので。“支える”というような境地に行きつくのはまだ先ですが、ああいうお母さんを見ていると、こんなふうに子どもを信じて、そっと支えられる母親になりたいなって思わされました」
