大島は『ザ・ノンフィクション』で長らく「ボクらの丁稚物語」シリーズのナレーションを担当してきたが、今年の放送回は自身の出産時期と重なり、信頼する野呂佳代に託した。現在はドラマ撮影なども再開し、仕事と子育ての両立に日々奮闘している。
「子育てって、修行なんですよ(笑)。出産もAKB48の東京ドーム3日間公演より大変だったかも…って思うくらい(苦笑)。でも、だからこそ強くなれた。守るものがなかった時代は、『“安定”と“茨(いばら)”だったら、私は茨の道を進みます』と言ってましたけど、いまはもう、自分が倒れたら家庭が回らない。だからケガも病気もできないし、踏ん張る力が前より全然ついた気がします。そういうターンが自分にも来たんだなって。でも、毎日絵本を読み聞かせたり、子どもに向かって『ちょっと!』って大きな声を出したりしているからか、久しぶりの収録でも声の筋肉はそれほど落ちていなかったですね(笑)。日々の子育てが、いろんな意味で“いいトレーニング”になっているのかもしれません。感情の幅が広がったからこそ、出せる“声”がある気がしています」
「出産したばかりでも、こうやって声をかけていただいて…。わずか数時間でも自分だけのために時間を使える環境にあることに、すごく感謝しています」と話す大島。
「この仕事は、ある意味自分が商品でもあるので、どうしても自分中心の生活から、子ども中心の生活にシフトすることが、最初の頃は本当に難しくて…。もちろん、子育て自体も最高にクリエイティブだと思うし、仕事では経験できないようなクリエイティブをしているという意識もあります。とはいえ、ずっと家にいると、やっぱり疲れてしまうこともあるんですよね(笑)。出られるときは一回外に出て自分の心の声を改めて聞いてみることで、家に帰った時もいい状態でいられると思うんです」
「批判よりも応援を」母と娘の姿が教えてくれたこと
「十人十色。己を信じ精進せよ」――これは、大島が高校卒業の際に先生から贈られた言葉で、彼女の座右の銘でもある。人に寄り添う『ザ・ノンフィクション』にもピッタリだ。
「最近になって、よりこの言葉がしっくりくるようになったなって思います。自分が大切にしてきた言葉が、世の中と噛み合ってきた感じがして、ちょっとうれしいです」
今回のナレーションを終えて大島が強く感じたのは、「一生懸命生きる人の美しさ」。
「今の社会って、表面では多様性を掲げながら、まだまだ批判が多い。ジェンダーのことも、何かあるとすぐに炎上してしまう。でも、とものりさんは本当に美しかったし、彼女を支えるお母さんの姿もすごく尊かった。だからこそ、批判よりも応援の声があふれる社会であってほしいって、心から願いました」
番組のラストで、とものりさんは“ともみ”として、新たなスタート切る。生まれ変わった自分として、母とともに未来を歩き始めるその姿を、大島優子の優しい声がそっと包み込んでいた。
●大島優子
1988年生まれ、栃木県出身。06年からAKB48に所属し、14年に卒業。映画『紙の月』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞など、多数の受賞を果たす。その他、『スカーレット』『青天を衝け』(NHK)、『東京タラレバ娘』『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ)、『アンチヒーロー』(TBS)、『教場』(フジテレビ)、『七人の秘書』(テレビ朝日)などのドラマ、『闇金ウシジマくん』『ロマンス』『生きちゃった』『女子高生に殺されたい』『七人の秘書 THE MOVIE』『天間荘の三姉妹』などの映画に出演する。
