東急電鉄は20日、大井町線の各駅停車用として新造した5両編成の6020系を報道関係者らに公開した。7月2日から1編成目(6151編成)の営業運転を開始し、2027年頃までに計18編成90両を順次導入。現在、各駅停車で活躍中の9000系・9020系をすべて置き換える予定としている。

  • 東急大井町線各駅停車用として新造された6020系6050番代。7月2日から営業運転を開始する

5両編成の6020系は「6050番代」とされ、今回公開された編成は1号車から「6151」「6251」「6351」「6451」「6551」。形式・種別は1号車から「クハ6120 / Tc2」「デハ6220 / M3」「デハ6320 / M2」「デハ6420 / M1」「クハ6520 / Tc1」になるという。先頭車の定員は各143人(座席定員は各45人)、中間車の定員は各155人(座席定員は2号車48人、3・4号車51人)とのこと。1編成あたりの定員は合計751人(座席定員は合計240人)ということになる。

すでに大井町線で活躍している急行用の7両編成をはじめ、2018年に導入された田園都市線の2020系、2019年に導入された目黒線の3020系からなる「2020系シリーズ」と同様、新たに導入される6020系6050番代もコンセプトカラー「INCUBATION WHITE」(美しい時代へ孵化していく色)を基調に、丸みを帯びた先頭形状とし、やわらかみのある顔をイメージしたデザインとなっている。車体前面・側面に大井町線のラインカラーであるオレンジ色の帯を施した。

  • 両先頭車に営業運転開始の記念ヘッドマークシールを掲出。急行用の7両編成と識別しやすくするため、車体前面に「5CARS」ステッカー、側面のドア横に青色のステッカーを貼付した

一方で、大井町線急行用の7両編成と同一のエクステリアデザインとなるため、車体前面の窓上に5両編成を示す「5CARS」ステッカーを掲出し、側面のドア横に青色のステッカーを貼付するなど、各駅停車用の5両編成であることを識別できるようにしている。

車内はロングシートの座席配置で、背もたれの高いハイバック仕様を採用して座り心地を高めた。荷棚は従来より低い位置とし、荷物の積み下ろしがしやすい形状に。車いす・ベビーカー利用者に配慮し、フリースペースを全車両に設置する。ドア上にデジタルサイネージ(17インチ液晶ディスプレイ×2台、1両あたり16台)を配置し、多言語案内の充実を図るとともに、ニュースや天気予報など充実した情報サービスを提供する。

大井町線の各駅停車のみ停車する九品仏(くほんぶつ)駅は、ホーム長が4両分しかなく、車両長より短いため、5両中1両(5号車)のドアを開けない仕様で運用している。新たに導入する6020系6050番代でも、5号車のドアに「このドアは九品仏駅では開きません。ご注意ください」と記したステッカーを掲出していた。その他、車内の快適性を高めるため、パナソニック「ナノイー」方式の空気清浄機を設置。冷房・暖房機能の向上で車内環境を改善する。

  • 車内の座席は背もたれの高いハイバック仕様を採用。各号車にフリースペースも設置する

  • ドア上にデジタルサイネージを設置

  • 九品仏駅でドアが開かないことを示すステッカー(5号車)

  • 6020系6050番代の運転台

環境性の向上も図り、車内の全照明と前照灯・尾灯にLEDを採用したほか、低騒音型の主電動機や駆動装置を採用し、高効率半導体素子を用いた制御装置による主電動機の高効率駆動も実現。現行の9000系と比べて車外・車内の騒音を約10%低減し、使用電力も約40%削減するという。安全面にも配慮し、車両機器の状態監視が常時可能な大容量情報管理装置を採用することで、車両故障の未然防止を図り、運行のさらなる安定化を実現。踏面ブレーキとディスクブレーキの併用でブレーキ性能も向上したとのこと。