『ディアマイベイビー~私があなたを支配するまで~』 金曜24時12分~ テレ東系
出演者:松下由樹、野村康太ほか
寸評:「ゆがんだ愛情を描いた狂愛サスペンス」と掲げているように、往年の大映ドラマを思わせるコンセプト。深夜帯だけに松下の怪演に手加減はなし。母性でも依存でもない謎の狂愛を見せ、あえて美魔女を選ばなかったキャスティングが効いている。無垢さと脆さがにじむ新人俳優役の野村もハマリ役のムード。サイコものはハマる人にはハマる。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】
『なんで私が神説教』 土曜21時~ 日テレ系
出演者:広瀬アリス、渡辺翔太、岡崎紗絵ほか
寸評:数々のヒット作を生み出した日テレ“土9”らしい学園ドラマ。無職生活から脱却するために教師になり、したくないのに説教をせざるを得ない状況に追い込まれてしまう…。“リアル学校エンターテインメント”と掲げているが、「いかに説教せずどう指導していくか」を追求する教育現場のリアルとは真逆の感がある。週替わりのテーマは、イジメ、教室内二股、不登校、家庭の経済的問題、モンペなど、おおむね過去の学園ドラマを踏襲。解決に導く主人公の説教は、『学校のカイダン』『最高の教師』と同様に演説のような長さで見る人を選ぶ。学校を牛耳る「あの人」、学校改革委員会、退学候補者リストなどの設定も含め、日曜劇場のようなエンタメ化を意識しすぎた感がある。
採点:【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
『ムサシノ輪舞曲』 土曜23時~ テレ朝系
出演者:正門良規、高梨臨、高地優吾ほか
寸評:「10年間の片思い」「10歳の年の差恋」「お隣さんとの恋」「ライバル登場で三角関係」とクラシックな少女漫画的な筋書きが目白押し。あまり考えずに“キュン”を楽しむSTARTO恋愛ドラマ枠「オシドラサタデー」の王道と言っていいだろう。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 期待度☆】
『ミッドナイト屋台~ラ・ボンノォ~』 土曜23時40分~ 東海テレビ・フジ系
出演者:神山智洋、中村海人、剛力彩芽ほか
寸評:こちらも若いSTARTOアイドルをそろえた作品だがモチーフは料理。味覚を失った凄腕フレンチシェフと味覚が鋭い落ちこぼれ僧侶が屋台を営むというゆるさが売りか。ポイントは、屋台ならではの温かさと心に染みる説法をどう表現するのか。アイドルドラマとして見るだけでなく、夜食テロとして料理メインで見るのもアリ。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 期待度☆】
『キャスター』 日曜21時~ TBS系
出演者:阿部寛、永野芽郁、道枝駿佑ほか
寸評:“テレビ局の報道”は近年の連ドラにおけるホットワードだけに、焦点は「エンタメ巧者の日曜劇場がいかに差別化するか」。同枠の象徴的主演俳優である阿部が型破りなキャスターを演じるだけで見どころになるが、肝は二転三転させる各話の脚本だろう。ライティングルーム形式の脚本が板についてきた感がある一方、視聴者も慣れはじめているだけに、「意外な展開」「予想の斜め上」のハードルは上がっている。さらに各話のエピソードだけでなく、全話を貫くテーマとして、テレビ局と政治の闇をどこまで鋭く、リアルを交錯させながら盛り上げていくのか。序盤は助演の存在感が薄く、主演頼みのムード。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
『いつか、ヒーロー』 日曜22時15分~ ABC・テレ朝系
出演者:桐谷健太、宮世琉弥、長濱ねるほか
寸評:20年間昏睡状態だった男が目を覚まし、児童養護施設の教え子たちと再会して、生きづらい世の中と腐った大人を叩きのめす…。現在“復讐エンタメ”というジャンルは深夜帯のトレンドだけに、初回からニーズとのズレを感じさせられる。ブラック企業、ヤングホームレス、シングルマザーなどの描き方も露悪的すぎで感情移入しづらく、汚れた身なりでボロボロの主人公は日曜夜の視聴にフィットしないか。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 期待度☆】
『ダメマネ! -ダメなタレント、マネジメントします-』 日曜22時30分~ 日テレ系
出演者:川栄李奈、安田顕、千葉雄大ほか
寸評:崖っぷちタレントのために奮闘する新人マネージャーの物語と思いきや、フタを開けてみたら“毒舌の元天才子役VSムチャぶり上司”の図式だった。作品最大の魅力は、窮地を負けん気の強さと演技力で乗り越えていく痛快なヒロイン。川栄らしい思い切りのいい役作りでハイテンポな物語を進め、クライマックスの“演技”は迫力がある。芸能界の物語だが、芸能事務所やテレビ局の描写を見れば、リアルより笑い寄りなのは明白。小劇場舞台のようなドタバタ劇の楽しさがある。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】