4月19日から6月15日に奈良国立博物館で開催される奈良国立博物館開館130年記念特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」の音声ガイドナビゲーターを務める俳優の岡田准一にインタビュー。オファーを受けたときの心境や日本文化に対する熱い思いなどを聞いた。

  • 岡田准一

    「超 国宝―祈りのかがやき―」の音声ガイドナビゲーターを務める岡田准一 撮影:山本倫子

同展では、奈良博や奈良の歴史に関わりの深い国宝を中心に、未来の国宝ともいうべき重要作品など、日本が世界に誇る名品の数々を紹介。国宝約110件、重要文化財約20件を含む約140件の仏教・神道美術を展示する。

岡田は「音声ガイドのお話をいただいたときは光栄なことだなと思いました」とオファーを受けたときの心境を明かす。

「日本文化のために自分ができることをしたいと思い続けてきて、『時代劇も文化の継承だ。時代劇ができるようになってくれ』と役者の大先輩に言われて、そうなれたらいいなと思ってずっと時代劇を作ってきたという経緯もありますし、歴史好きというのもあって、日本文化に貢献できる活動をしたいと思っていたところ、ナビゲーターという形でお仕事できて光栄に思いました」

そして、展示される国宝について「百済観音、七支刀、重源上人の木造の像など、よくぞ残っているなと。形を保って朽ちずにあるというのは奇跡だと思います」と述べ、それらを紹介する音声ガイドの収録では「感情をどれだけ込められるか」ということを意識したという。

「役者の自分がやる意義というのは、きれいに聞こえるということよりも、『見てください。美しいでしょ!』という思いを込めて信仰や美しさを伝えられるということだと思うので、感情を込めてやらせていただきました」

時代劇をきっかけに日本文化に興味を持ち、歴史も好きで、「中学のときは社会の先生になりたかった」という岡田。「『どっちかというと体育だろう』とよく言われるんですけど」と笑い、「日本文化や伝統工芸が好きで、ずっと見ながらお酒が飲めるタイプです」と、どれほど好きか語る。

時代劇で数々の侍を演じ、武術も極めているが、刀の意味や作法にも興味を持ったという

「刀は自分のことを斬りやすく相手に渡したら作法になって、あなたのことを信じるという意味が足されるんです。役者なのでそういうことに興味があって、日本文化は相手を思うというか、相手がいてこそなんだなと思い、さらに美術にも興味を持つようになり、東寺とかに行くようになって、仏像などを見るようになりました」

そして、運慶・快慶の像を見て、体のことをちゃんとわかって作っていると感じ、さらに心惹かれたという。

「それまではプロポーションが細かったり女性的なものもありましたが、運慶・快慶あたりから、人間の鍛えられた可能性が込められていると感じる鎌倉美術になってきて、座禅の組み方も今に伝わる座禅の極意をちゃんとしていて。そういうことをやり続けた人たちがたどり着く境地を美術として落とし込んでいるんだなと思いました」