第14話「蔦重瀬川夫婦道中」では1778(安永7)年から1779(安永8)年の様子が描かれた。

鳥山検校に離縁された瀬以は、蔦重(横浜流星)とともに歩む将来を考えるが、耕書堂への悪影響を懸念し身を引き姿を消した。鳥山検校と瀬以が、愛する人との関係に決着をつける姿は切なすぎた。蔦重も瀬以と夫婦となることをやっとのことで駿河屋の親父さまにも認めてもらったというのに、一方的にフラれてしまい不憫でならない。

注目度トップ3以外の見どころとしては、エレキテルの効果を疑われ闇落ち寸前の平賀源内が挙げられる。足抜けしたうつせみ(小野花梨)の担保にエレキテルを奪いとったいね(水野美紀)だったが、体調を崩した松崎に試したところ、全く効果はなかった。源内メイドのエレキテルも本当に医療効果はないのだろうか。源内のもとを訪れた蔦重に見せた、弥七を恨む源内の負のオーラは、これまでの源内の明るいイメージをくつがえすほどのインパクトがあった。史実でも源内は弥七を訴えているが、この行為がのちに源内の運命を大きく狂わせることになる。

次に、瀬以に刃を向けた松崎が挙げられる。座頭金に手を出した松崎の両親は首が回らなくなり自害し、松崎は吉原へ売られてきた。そのため、松崎は当道座のボスである鳥山検校の妻・瀬以に恨みを抱き凶行に及んだ。

松崎を演じる新井美羽はトップコートに所属する東京都出身の18歳。大河ドラマは2017年『おんな城主直虎』以来2度目の出演となる。『直虎』では主人公・井伊直虎の子供時代・おとわを好演した。『直虎』ではおとわを密かに守っていた傑山を市原隼人が演じていたが、『べらぼう』では親の仇となってしまった。

また、大文字屋市兵衛(伊藤淳史)が、神田に屋敷を購入しようとしたことを発端に、吉原者が四民の外と定められたシーンにも注目が集まっている。町名主に断られた市兵衛は奉行所に訴えるが、逆に「見附内の土地を買わない」という証文を提出するように言い渡される。自分の行動で吉原の立場を悪くしたと頭を下げる市兵衛を、かつてバチバチにやり合っていた若木屋与八(本宮泰風)がフォローを入れる姿に、SNSでは、「カボチャの旦那と若木屋がすっかりマブダチになってるの最高!」「この2人はやっぱり学園物のキャラだな」と、2人の友情を称賛するコメントが集まった。

見附とは城や城郭の出入り口に設けられた施設で、 外敵や不審者の侵入を防ぎ、城下や街道の治安を維持するための見張り所としての役割があった。赤坂見附・四谷見附など、その名残が地名として残っている。

きょう13日に放送される第15話「死を呼ぶ手袋」では、蔦重はついに自分の店を構え、様子のおかしい平賀源内と遭遇する。一方、江戸城では「手袋」が原因となる重大な事件が勃発し、田沼意次を震撼させる。

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