3番目に注目されたシーンは20時34分で、注目度72.0%。田沼意次(渡辺謙)が当道座の処分について、十代将軍・徳川家治(眞島秀和)に報告するシーンだ。
「以上、8検校2勾当を闕所、不座といたしましたことをご報告申し上げます」意次は江戸城の大広間で意気揚々と家治に申し述べた。意次の隣にいる松平武元(石坂浩二)と、上座の徳川家基(奥智哉)の表情は意次とは違い曇っている。
家治が意次に接収した証文の処理について尋ねると、意次は適正な利息として処理し直して、改めて幕府が取り立てると返答した。それを聞いた家基は即座に反対したが、意次は検校たちが「官金」や「お上の金」の名目で貸し出していたため、お上の蔵へ接収することは道理だと説いた。意次の理屈に、家治は「道理に従い、苦しむ者たちを救いつつ幕府の金蔵も潤すと」と満足のようである。
「恐れながら、政は道理をうまく使わねばならぬかと」意次はこれ見よがしに家基の顔をのぞき込む。意次の不遜な態度に家基は爪を噛み、意次への憎悪を膨らませた。
「久しぶりに意次の晴れ晴れした顔が見れた」
ここは、座頭金事件の決着に視聴者の注目が集まったと考えられる。
これまで不可侵となっていた当道座を取り締まるという大博打に出た意次だが、思惑どおり当道座の既得権益を奪い、借金に苦しんでいた武士を救うことができた。また、困窮する幕府の財政の改善にもつながり、家治のさらなる信頼を得て、田沼一派の権勢もひとまずは安泰。意次はたいそう上機嫌な様子だった。
SNSでは、「うまくいってホクホクな田沼意次が微笑ましい」「意次さん『よいお年を!』がいい声すぎる」「久しぶりに意次の晴れ晴れした顔が見れた」などと、久々に明るい表情を見せた意次へのコメントが集まった。
今回、8人の検校と2人の勾当に下された闕所(けっしょ)とは、死刑および追放刑に付加された刑罰。田畑、家屋敷、家財などの財産を根こそぎ幕府が没収することを指す。寺社付の品物以外は全て没収された。また、妻が婚姻時に持参した金銭や田畑も対象となるが、妻名義となっている田畑は免除された。
闕所によって没収した財産を売却するための闕所物奉行という役職も用意されており、その売却額は牢屋の修理や与力・同心の駕籠代・旅籠代などの経費に回された。不座は当道座を除名されること。つまり検校たちはすべての財産を没収された上に追放され、当道座からも除名されるという非常に厳しい処分を受けたのだ。鳥山検校は約20万両の財産を保有していたと言われている。現代の価値にすると約200億円にもなる。
その他にも、神田橋本町に所有していた屋敷も没収されたが、のちにこの屋敷には平賀源内が住むこととなった。この屋敷の持ち主はもともと神山検校と言われているが、鳥山検校だったと言う説もある。この屋敷は亡霊が現れるウワサの絶えない凶宅であり、源内の運命にも大きな影響を与える。
また、怒りの形相で爪を噛む家基も印象的だった。江戸幕府の開祖・徳川家康はいら立ったり、不利になったりすると、親指の爪を噛んだと言われている。その癖が家基にも受け継がれたのだろうか。家基と意次の確執は今後どのような影響を及ぼすのだろうか。
