2位の『東京サラダボウル』は緑色の髪をした警察官・鴻田麻里(奈緒)と、ワケあり中国語通訳人・有木野了(松田龍平)が、外国人にまつわる事件に向き合う社会派エンタテインメント。個人全体注目度で64.7%を記録し、見事2位にランクインした。
人気漫画『クロサギ』の作者である黒丸の『東京サラダボウルー国際捜査事件簿ー』を原作とする本作品は、70万人の外国人が暮らす東京が舞台。刑事と通訳人の目線で、異国で生きる人々の葛藤に出会い、日本社会からこぼれ落ちそうな人生を拾い上げていく姿が描かれている。第1話では、鴻田と有木野の出会い、そして2人が協力して失踪した中国人女性を探し出し、事件を解決するというストーリーが描かれた。
この作品は特に女性からの注目度が高く、67.0%という高い数値を記録している。奈緒演じる鴻田麻里の「緑髪」という独特な風貌や、強引ながらも優しい目線で人々に寄り添う、人情味あふれるキャラクターが女性に支持された要因ではないだろうか。
放送されている「ドラマ10」という枠は、「40~50代の女性をひきつけるドラマ」をコンセプトにスタート。これまでも数々の話題作を生んできたが、今クールも多くの女性がひきつけられたことが、視聴質データから読み取れる。このドラマ枠がターゲットとしている層に、見事刺さった結果といえるだろう。
また、このドラマの隠れた見どころともいえるのが、毎話登場する「異国料理」。第1話ではなんと、鴻田が「サソリ」を美味しそうに頬張る姿が描かれ話題となった。さらに、カエルや豚の脳みそ、第2話以降もカレーのバナナリーフ包み、フィッシュ春巻き、バインミーなど日本ではあまりなじみのない料理が多数登場している。
SNS上でも料理のシーンを楽しみにしている視聴者が多いようで、「珍しい料理の飯テロ」「出てくる料理が毎回おいしそう」との声が多数上がっている。
移民問題や外国人による犯罪が話題に上ることも多いこの時代に、このドラマを制作しようと決めたNHKの意気込みはさすが。プロデューサーの家冨未央氏は「少しでも相手への理解や思いやりが広がる未来を実現できるように」という願いを込めて制作していると語っている。
ストーリーを楽しみつつ社会問題について考えるきっかけを与えてくれる、NHKらしい良質なドラマなだけに、この先も多くの視聴者の関心を集めそうだ。
唐沢寿明&鈴木保奈美が地上波33年ぶり共演
3位の『プライベートバンカー』(テレビ朝日)は、唐沢寿明演じる凄腕のプライベートバンカー・庵野甲一が、金融知識を武器に大富豪の資産を守る、痛快マネーサスペンスドラマ。プライベートバンカーとは、富裕層の資産管理を行うスペシャリストで、顧客一人ひとりに専属でつき、資産運用や相続計画などをサポートする職業。ドラマ内の架空の職業かと思いきや、なんと実在する職業だ。
庵野が大富豪の顧客・天宮寺丈洋(橋爪功)から、大好きな団子屋を倒産の危機から救ってほしいという依頼を受けて、物語は動き出す。団子屋の社長・飯田久美子(鈴木保奈美)は、投資詐欺にあい、5億円もの借金を背負ってしまっていた。しかし庵野の金融知識を駆使した計画により、見事騙された5億円を取り返すことに成功。店の再建に向けて歩き出すことができたのだった。
この作品の魅力は、金融ドラマとサスペンスの融合にある。庵野がお金の問題を痛快に解決していく一方で、物語には天宮寺家の一族も絡み、本格的なサスペンス色も感じられる。
第1話のラストでは、天宮寺家の長男・努が血を流して倒れている姿が発見されるという、衝撃的なシーンが映し出された。第2話以降も、金融と一族の相続問題を絶妙に絡めながら、ストーリーが展開していく。
マネーサスペンスという、これまでありそうでなかった設定が特に男性視聴者の心をつかんだようだ。女性の注目度は61.9%で10位だった一方、男性注目度は65.1%で1位を獲得。男性の注目度の高さが全体での順位を引き上げる結果となった。世帯視聴率も7.4%で2位を獲得しており、視聴者の期待値が高かったことがうかがえる。
また、本作は豪華なキャスティングも話題になった。主演の唐沢寿明と鈴木保奈美は、1992年の大ヒットドラマ『愛という名のもとに』(フジテレビ)以来、地上波では33年ぶりの共演。夏木マリ、橋爪功といった大御所俳優が脇を固め、重厚なドラマを期待する視聴者も多かったことだろう。
さらに第1話の冒頭では、ZOZOの創業者である前澤友作氏が本人役としてプライベートジェットで登場し、SNSでは「まさかの本人」「違和感なさ過ぎてすごい」と大きな盛り上がりを見せていた。
物語は後半に差し掛かっており、天宮寺家の相続バトルはますます白熱している。緊張感が高まる展開に、今後も目が離せなくなる視聴者が多そうだ。