MBS/TBSドラマイズム枠で放送中のドラマ『マトリと狂犬』(MBS 毎週火曜24:59〜/TBS 毎週火曜25:28〜)で麻薬取締官・黒崎徹を演じる細田善彦にインタビュー。撮影の裏話や、主人公・梅沢恭之介役を演じる西畑大吾とのエピソードなどについて話を聞いた。
細田善彦自身にとっても新鮮な驚きがあった黒崎役
細田善彦の出演作は枚挙にいとまがない。試しに彼の出演作一覧を見てほしい。「あの作品にも出ていたのか」とハッとする人も少なくないはずだ。カメレオン俳優という表現があるが、細田もまた様々な役柄に擬態し、その作品の空気へと溶け込んでいる。『マトリと狂犬』で演じる黒崎徹役は顔まで違って見えるので驚いた。
「ありがとうございます。僕も自分じゃなく見える瞬間があってとても嬉しかったです。そういう感覚ってなかなか味わえないので、いろんな方に導いていただいたんだなと改めて思っています」
たたずまいや表情、内側から滲み出るもので別人のように見せる。そんな離れ業を作品ごとにやってのけるのだ。そのアプローチが俳優によって三者三様なのも奥深い。では、黒崎という人物像はどのように立ち上がっていったのだろうか。
「役を演じるにあたって、ちょっと声を変えたいなと最初に思ったんですよね。感覚的な話なんですけど、腹からしゃべるようにして演じました。それは撮影に入る前から決めていて。自分の黒崎像として、まっすぐで芯があって強いというイメージがあった。だったら声も強いほうがいいなと思って、そういうふうにセリフをはき出すことからはじめました」
主演映画『武蔵 -むさし-』(19)では役づくりのために約20kgの増量を行うなど、これまでも徹底した肉体改造を経験してきた。だからこそ、黒崎役は自身にとって新鮮な驚きがあったという。
「時代劇だと扮装もしますし、何から何まで変わるじゃないですか。なので、イメージは変わるんですけど、今回はスーツ姿で髪の毛を短くするくらいのことしかビジュアルとしてはしていないので、そのまま史上最も別人になっている気がします(笑)」
品川ヒロシ監督の持ち味を感じられシーンも見どころ
『マトリと狂犬』は、品川ヒロシ監督のこだわりを感じられるアクションシーンも見どころだ。多方向から切り取られる映像は贅沢で、格闘技的な美しさもありながら、痛々しい暴力が行使され、狂犬と呼ばれる刑事や裏社会の住人の戦闘に説得力を持たせる。
「撮影の数週間前から何度か練習をさせていただきました。品川監督の頭の中にはすでにイメージが浮かんでおられたので、監督が目指していらっしゃるラインにいかに到達するかということだけを考えていました」
『マトリと狂犬』は、シリアスな題材を扱いながらも、ふと肩の力が抜ける瞬間がある。しかもその笑いは、単なる緩和ではない。計算された質の高いおかしみとして機能している。お笑い芸人としても一流の品川監督の持ち味が存分に発揮されるシーンともいえるだろう。
「特に梅沢と黒崎の掛け合いは、台本を読んでる時点でクスッと笑える要素が多くて。黒崎のまっすぐでワイルドな感じと、客観的に見たときにクスッと笑える感じが同居しなきゃいけないんだなということはプレッシャーに感じました。ですが、現場で品川監督と会話のテンポについては常に話していましたし、西畑さんが本当にツッコミがうまいので、僕は何をしても大丈夫だっていう信頼がありましたね」
西畑大吾にポーチをプレゼント
西畑大吾のツッコミが、黒崎のまっすぐさを際立たせる。一方で、麻薬取締部の事務所シーンでは、木村祐一演じる課長のツッコミもまた、独特のおかしみを生んでいる。黒崎との応酬はテンポがよく、気づけばクスッとさせられる場面が続く。現場でも役者同士の笑わせ合いになっているのかと思ったが、聞けば、そうではないという。
「大真面目な空気でしたよ(笑)。でも、それがいいんですよね。木村さん、少路(勇介)さん、山谷(花純)さん、山下(永玖)さん、そして僕が、それぞれ自分の役と向き合っていたからこそ生まれたチーム感だと思います。撮影中は、すごくあたたかい人たちに囲まれているなという感覚がありました。きっとそれは僕だけでなく、黒崎にとっても、居心地がいい環境なんだろうなと思います」


