JR東日本盛岡支社と岩手県北バスは、山田線盛岡~宮古間と、それに並行するバス路線「106バス」における共同経営について、国土交通省から認可を受けたと発表した。共同経営は4月1日から5年間実施予定。JR線の乗車券でバスを利用できるしくみが正式に導入される。

  • 山田線の盛岡~宮古間で運転される快速「リアス」

両社は2024年4月から、JR線のきっぷ・定期券で「106バス」に乗車できる実証実験を1年間の期限で実施していた。山田線盛岡~宮古間(上盛岡駅、山岸駅、上米内駅を除く)を有効区間とするJR線の乗車券類を持っている場合、JR線と「106バス」のどちらにも乗車できるしくみを試験的に導入。とくに列車の少ない時間帯や運休時の代替手段として機能し、今年1月末までの10カ月間で1日平均約34人がJR線の乗車券類でバスを利用したという。利用者の約8割が盛岡~宮古間の直通利用で、上り(盛岡行)の利用が下り(宮古行)よりも2割程度多いという傾向が確認されている。

利用者にとっては、利用する時間帯に都合が良い移動手段を鉄道・バスから選べるだけでなく、東北新幹線から盛岡駅でバスに乗り換える場合に必要だった初乗り運賃が不要となり、鉄道に乗り継ぐ場合と同じ運賃体系で乗車できるメリットもある。JR東日本は、この実証実験で公共交通の利便性向上が図られたと評価しており、岩手県北バスも地元利用に加えて仙台および首都圏からの利用者が多いことを挙げ、想定以上のニーズがあったと指摘している。

今回、地域における基盤的なサービスの提供維持を目的に制定された「独占禁止法特例法」にもとづき、共同経営が認可された。JR東日本盛岡支社と岩手県北バスは、それぞれの企業形態をそのまま維持しつつ、鉄道とバスの効率的なダイヤ設定や各駅に対応するバス停留所の整理など共同で行い、公共交通の利便性向上を図る。