第6話「鱗剥がれた『節用集』」では1775(安永4)年の様子が描かれた。
鱗形屋抱えの改となった蔦重は、花の井(小芝風花)や次郎兵衛(中村蒼)から青本がつまらないから読まないという話を聞いて、皆が読みたくなるような新しい青本を作ろうと考える。そんな中、鱗形屋が大坂の板元・柏原与左衛門の出版した『増補早引節用集』を『新増早引節用集』と改題した偽板を販売していることを知る。ことの真相にたどり着いた蔦重だが、密告することをよしとせず、成り行きを見守ろうと決意。だが結局、孫兵衛は長谷川平蔵宣以によって捕縛される。
一方、幕府では老中・田沼意次(渡辺謙)の奔走により、御金蔵の資金をようやく「明和の大火」以前にまで持ち直した。しかし、老中首座・松平武元(石坂浩二)が発案した「日光社参」が決行となり、さらなる出費が課せられる事態となる。
注目度トップ3以外の見どころとしては、お互いを思いやり、逢瀬を重ねる松葉屋の座敷持ち・うつせみ(小野花梨)と小田新之助(井之脇海)が挙げられる。座敷持ちは花魁に次ぐ地位であり、揚代もそれなりにかかる。平賀源内(安田顕)の助手として炭売りをしながら長屋で暮らす新之助の身分では頻繁に通うのは難しいだろう。それゆえにうつせみは自分が自腹を切っても、新之助に会いたいという手紙を蔦重に託した。2人の恋の行方はどうなるのだろうか。
そして、武元による意次へのハラスメントも話題になっている。意次は「日光社参」を回避しようと動いたが、今回は武元の根回しの方が上手だったようだ。SNSでは、「松平武元のうまくいったっていうニッコニコの笑顔が憎たらしい」「嫌味をふりまく武元に笑った」「イヤなじじい…ほんとたまらん」と、イヤミな性格ながら憎みきれない石坂武元へのコメントが集まっている。
なお、意次の「『高家吉良様』よろしくご指南願えれば」というセリフは、かつて石坂浩二が演じた1999年の大河ドラマ『元禄繚乱』の吉良上野介になぞらえたオマージュだ。
余談だが、武元と意次の年齢差はわずか5歳。また、将来抜き差しならぬ関係に発展する田沼意知(宮沢氷魚)と佐野政言(矢本悠馬)の初対面も描かれた。『べらぼう』公式サイトではすでにネタバレされているが、この2人はのちに衝撃的な事件の当事者となる。佐野家の家系図を池に捨てた意次の行動に、フラグ成立を感じた視聴者も多かったのではないだろうか。
きょう16日に放送される第7話「好機到来『籬の花』」では、今の倍売れる『吉原細見』を作り出せば、地本問屋仲間に加われる約束を取り付けた蔦重の前に西村屋与八)らが立ちふさがる。蔦重はお披露目直前まで、編さんを繰り返すが、妨害を乗り越えられるのだろうか。