テレビ番組などの制作会社が加盟する全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)は12日、フジテレビに出していた要望書について、同日付で清水賢治社長から「誠実に顧慮し真摯(しんし)に対応してまいります」と回答を受けたことを明らかにした。

  • ATPの福浦与一理事長

    ATPの福浦与一理事長

「レギュラー番組の通常予算や本数の確保」など4項目を要望

ATPは1月30日付で、製作会社に不利益が及ばないよう特段の配慮を求める要望書をフジに提出。「レギュラー番組の通常予算や本数の確保」「局の都合による休止や仕様変更にともなう作業への対価の補償」「予算一律カットなどを行わず双方で適正な製作取引を目指す」「4月編成の見通しを早期に提示いただく」という4項目について要望していたが、「独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法等の関係法令を適正に遵守した上で、誠実に顧慮し真摯に対応してまいります」との回答があったという。

これを受け同日、取材に応じたATPの福浦与一理事長(IVSテレビ制作社長)は「基本的に我々としては安心した部分があります」と評価。さらに、「一つ一つの番組によって状況が変わってくるので、その対話をするための窓口もしっかり作っていただいて、その担当者も伺いました。各番組で何か問題があったときは(フジの)編成部で引き受けて、交渉に応じていただけるということを伺っております」と明かした。

放送局のイコールパートナーとして、テレビ業界の信頼回復に取り組む

ATPでは12日、フジの上記回答を報告した上で、「テレビジョンの信頼回復に向けて」と題した声明を発表した。内容は、以下の通り。

昨年、会員社の営業利益・経常利益はともに平均10%以上減となり、製作会社を取り巻<状況は厳しさを増しています。番組予算削減の流れはこの数年止まる気配もなく、二次展開収入につながる著作権の確保も困難な状況です。

一方でコンテンツ産業は日本の基幹産業として位置づけられ、さらなる国際競争力も求められています。テレビ番組製作会社にはこれまで以上に大きな期待が寄せられている今、ATPとして関係各方面に向けて以下の声明を発表いたします。

(1)放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン(第8版)を遵守する。(事前協議・著作権の帰属・適切な取引価格の設定・フリーランス新法対応など)

(2)制作現場から、あらゆる差別やハラスメントを撲滅する。(放送局・代理店・出演者・スタッフが関わるすべての場面で)

(3)各局ガイドラインや適切な働き方にもとづいた良質なコンテンツ製作をめざす。

ATPの歩みを振り返れば、民放番組の制作現場から日本のコンテンツ産業を支える製作会社の多くのトップクリエイターを輩出できた事は誇りでもあります。私たちは放送局のイコールパートナーとして、テレビ業界の信頼回復に取り組む所存です。共に切磋琢磨できる環境のなかでこそ、良質なコンテンツ製作が可能だと確信しています。引き続きのご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。