テレビ番組などの制作会社が加盟する全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)は12日、一連の報道をめぐるフジテレビの状況を受けて福浦与一理事長(IVSテレビ制作社長)らが取材に応じ、制作現場で発生している影響などを明かした。
ATPは1月30日付で、製作会社に不利益が及ばないよう特段の配慮を求める要望書をフジに提出。この中で、「番組の中止や広告の差し替えにともなう自主返金作業などフジテレビを大きく揺るがす事態に対して、ATPには会員社から数多く不安の声が寄せられています。納品済み番組の緊急再編集、取材先のキャンセルによる急な内容変更など、その影響は製作会社だけでなく撮影・編集などの協力会社にも及びます。現場スタッフの疲弊につながる過重労働も避けなければなりません。零細企業も多いATP会員社にとって、番組終了や発注キャンセルが即倒産につながるケースも容易に想定されます」と危機感を示していた。
現在、ATP加盟社で今回の影響によって倒産の報告はないというが、不安や相談の声は10件程度寄せられているという。また、中居正広氏の騒動を受けた突然のレギュラー番組終了の影響は大きいといい、荻原伸之理事(ジッピー・プロダクション代表取締役)は「本来の番組改編は、4~5カ月前には終わる可能性があるということで局と話し合って、その後の対策をやっていくわけですが、こういった形で突然終わってしまうと、明日からどういう収入でやっていくのか、来季の収入予算をどうしていくかと考えなければいけない」と明かした。
中居氏の出演番組は、少なくとも3月まで続く予定だったものが1月で打ち切りになったケースもあるが、ATPからの「局の都合による休止や仕様変更にともなう作業への対価の補償」という要望に、フジテレビは12日付で「誠実に顧慮し真摯(しんし)に対応してまいります」と回答している。
一方で、フジテレビの番組について、福浦理事長は「今まで受けてくれていた取材先が受けられないなど、いろんな影響が出ていると聞いています。今まで通りの番組制作の環境を我々がスタンバイすることに、多少支障が出ているというのはたしかにあるようです」「特番などで放送を見合わせるかどうするか、検討しているものもあります。スタンバイしているものをキャンセルしなきゃいけないという動きが、今後出てくるかというところは、我々製作会社にとって不安です」とした。
取材に応じた松村俊二理事は、フジ・メディア・ホールディングス傘下の共同テレビ取締役だが、同社において番組制作以外での影響は現時点で発生していないと明言。また、製作会社各社に向けて、フジテレビからの企画募集が止まっているという状況にもないという。
なおATPでは毎年、放送番組を顕彰する「ATP賞テレビグランプリ」を開催しているが、今年に関してフジテレビの番組も当然エントリーを受け付けるとしている。