3番目に注目されたシーンは20時42分で、注目度72.7%。蔦重が鱗形屋の傘下に入る決意をしたシーンだ。

「お互い、うまくやっていこうぜ」蔦重は鱗形屋抱えの改になりたいと鱗形屋の主人である孫兵衛に伝えると、孫兵衛は蔦重を歓迎した。版元への道を絶たれた蔦重は、九郎助稲荷で花の井(小芝風花)と語り合う中で、唐丸を当代一の絵師にするという唐丸との約束を守るため、今は鱗形屋という長いものに巻かれる決意を固めたのだった。そして、須原屋市兵衛の本屋に奉公に上がれという助言に従い、孫兵衛からの申し入れを受けることにしたのだ。

『吉原細見』の改、入銀本以外にも、吉原に人を集めるためのものを作っていきたいと意気込みを見せる蔦重。鱗形屋の傘下に入るのは不本意ではあったが、ゆくえ知れずとなった唐丸といつか2人で夢をかなえるためと思えば、こんな屈辱などどうということはない。新たな一歩を踏み出した蔦重の足取りは、思いのほか軽かった。

「めげない蔦重の熱い思いに心を打たれました」

ここは、新たな一歩を踏み出した蔦重に、多くの視聴者がエールを送ったと考えられる。

鱗形屋と西村屋の策略によって、『雛形若菜初模様』をかすめ取られた蔦重。普段は前向きな思考の蔦重だが、今回は珍しくふてくされる一面も見られた。しかし、「我が心のままに生きる」「わがままを通しているからきついのは仕方ない」という平賀源内の言葉に胸を打たれ、弟のようにかわいがっていた唐丸との別れを経て、蔦重はしがらみを捨てて、鱗形屋の傘下に入る決意を固めた。

SNSでは、「横浜流星くん演じる蔦重はカラッとしたさわやかさが最高だね!」「成果を横取りされても、めげない蔦重の熱い思いに心を打たれました」「蔦重が絡まると再会できる未来を祈っているのが、本当に切ない」「蔦重が鱗形屋さんに仕えるって決めた時の心情、すごく考えさせられた」と、本来のポジティブさを取り戻した蔦重を応援する多くのコメントが寄せられた。

蔦重こと蔦屋重三郎を演じる横浜流星だが、大河ドラマ初出演にして、いきなり今作『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の主役に抜てきされた。今を代表するイケメンでありながら、ストイックな役作りに定評があり、2022年のドラマ『DCU』では、ダイバー役のためにダイビングライセンスを取得したり、2023年映画『春に散る』では、ボクシングのプロテストに合格してC級ライセンスを取得したりしている。

『べらぼう』でも、粋でさわやかな江戸っ子を自然に表現しており、ネットでも、「顔の良さに目がいかないくらい演技がすごい」「横浜流星、綺麗な顔してお芝居も良いの最強すぎる」「べらぼうに顔がいい」「横浜流星さん、役を生きてる」と、ビジュアル・演技の両面で流星群(※横浜流星のファンネーム)を中心に多くの視聴者の支持を獲得している。

鱗形屋からの帰り道では、少年とすれ違った際に思わず振り返ってしまうなど、唐丸を失った心の傷はまだ癒えてはいないようだが、次回以降の蔦重、横浜の活躍に期待が高まる。