第50期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は挑戦者決定トーナメントが進行中。9月11日(水)には三浦弘行九段―豊島将之九段の一戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、角換わり腰掛け銀のねじり合いから抜け出した三浦九段が96手で勝利。本戦3連勝でベスト8入りを決めています。

角換わりの実力勝負

三浦九段は屋敷伸之九段、池永天志六段に勝って迎えた3回戦、豊島九段は本局からの登場です。振り駒が行われた本局は両者の息が合って角換わり腰掛け銀に進展、後手の三浦九段は△5二金型と呼ばれる旧型の陣を敷きました。最先端の研究勝負は回避されて午後からはじっくりとした読み合いに入ります。

先手の豊島九段が自陣角を打ったのは局面を落ち着かせることで一歩得の実利を主張する狙い。対する三浦九段は積極的に駒をぶつけて戦線拡大を目指します。相手の狙いを殺し合うじりじりとした押し引きは続きますが、やがて抜け出したのは三浦九段のほうでした。手裏剣の歩で先手陣を乱したのが好機の利かしです。

手筋駆使して華麗に着地

三浦九段に好手が続きます。自陣の金を桂で取る手を許したのは痛いようでも、手にした桂を5筋に据えればむしろ反撃力が増した格好。豊島九段としては薄そうに見えた後手玉に寄りがなかったのが誤算でした。豊島九段はやむを得ず自陣に手を戻しますが、ここから三浦九段の満を持しての反撃が始まります。

垂れ歩から手裏剣の歩の手筋の連発で先手玉を翻弄したのが華麗な決め手。終局時刻は18時35分、自玉の寄りを認めた豊島九段が駒を投じて三浦九段のベスト8入りが決まりました。三浦九段は次戦で近藤誠也七段と対戦します。敗れて今年度3勝13敗と不振の豊島九段ですが、ファンは「ずっと応援します!」「努力が報われてほしい」とエールを送りました。

水留啓(将棋情報局)

  • 去年は本戦1回戦で近藤七段に敗れている三浦九段、次戦でリベンジを果たせるか

    去年は本戦1回戦で近藤七段に敗れている三浦九段、次戦でリベンジを果たせるか