第10期叡王戦(主催:株式会社不二家)は段位別予選が進行中。9月9日(月)には四段戦の岡部怜央四段―小山怜央四段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、角換わり腰掛け銀の研究勝負から抜け出した岡部四段が133手で勝利。幸先のよいスタートを切りました。

大きかった振り駒

今期の四段戦予選は15名からなる山を勝ち抜いた1名が本戦トーナメントに進むもの。両対局者は勝ち上がりまでに4連勝が必要です。振り駒で先手となった岡部四段は迷いなく角換わりを志向、後手の小山四段も腰掛け銀で応じて盤上は最先端の定跡勝負の様相です。持ち時間1時間の早指しらしくテンポよく進みます。

右玉に組み替えて千日手辞さずの姿勢を示した小山四段と対照的に、岡部四段は積極的な指し回しで先手番の利を具体化しにかかります。右辺で交換した桂をじっと自陣三段目に打ったのが「桂は控えて打て」の格言通りの好手。桂頭攻めを起点とした右玉攻略がわかっていても後手には適当な受けがありません。

岡部四段が攻め切り快勝

首尾よく仕掛けを得た岡部四段はその後も軽快な手順でリードを拡大します。先に打った桂が後手玉を守る要の金と交換になったことで攻めの成功が明らかに。この直前に指しておいた香打ちの犠打もそつない利かしで、これにより後手の飛車筋が止まって反撃を恐れる必要がなくなりました。

終局時刻は16時6分、最後は自玉の詰みを認めた小山四段が投了。全体を振り返ると先手番らしい積極的な指し回しを見せた岡部四段の快勝譜となりました。敗れた小山四段は感想戦で認識が甘かったと振り返ります。勝った岡部四段は次戦で小山直希四段―山川泰熙四段戦の勝者と対戦します。

水留啓(将棋情報局)

  • 岡部四段はこれで直近9連勝、加古川青流戦では決勝に進出と充実の様子

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