3番目に注目されたシーンは20時40分で、注目度76.5%。中宮・藤原彰子の女房となるため、藤壺に上がるまひろ(吉高由里子)を一家が見送るシーンだ。

ついにまひろが藤壺へ出立する日がやってきた。外は雪がしんしんと降り積もっている。「では、行ってまいります」まひろが父・藤原為時(岸谷五朗)に頭を下げた。「うむ。帝にお認めいただき、中宮様にお仕えするお前は我が家の誇りである」為時は感慨深く言葉を発した。「大げさですねえ。俺、内記にいるから遊びに来なよ」と、いつも通りの軽い調子で口を挟むのは弟・藤原惟規(高杉真宙)だ。「中務省まで行ったりしてもいいのかしら?」「待ってるよ」あっけらかんと話す弟に、まひろの顔がゆるむ。「父上、賢子(福元愛悠)をよろしくお願いいたします」もう一度為時に頭を下げると、「頼みましたよ」と後ろに控えるいと(信川清順)を振り返った。「お任せくださいませ!」感極まったいとは、賢子を抱き寄せ力強くうなずいた。

その一方、賢子の表情はどこか晴れない。「身の才のありったけを尽くしてすばらしい物語を書き、帝と中宮様のお役に立てるよう祈っておる」「大げさだな…」「精いっぱい務めてまいります」親子3人の会話が続く。「お前が…おなごであってよかった」ふいに為時が言った。父の意外な言葉に、まひろの心は大きく揺れた。父は常々、頭脳明晰なまひろに、「おまえがおのこであったらよかったのに」と、残念そうに言い続けていた。そんな父が、まひろがおなごでよかったと言った。その場にいた者の目に涙が浮かぶ。しかし、まひろは泣くのを必死にこらえた。そして父に笑顔を向けた。

まひろは藤壺へ到着すると、そこからは女の園特有の異様な雰囲気を感じとった。まひろは奥の間で、彰子に仕える女房たちと対峙(たいじ)する。左大臣・藤原道長の肝煎りであたらしくやってくる中級貴族の娘とは、一体どのようなおなごなのか、どの女房たちの目も好奇心と嫉妬心があふれている。後方で控える赤染衛門ただ1人を除いては。

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「父が子のことを認める瞬間」に反応

ここは、父・為時の一言に視聴者の注目が集まったと考えられる。

これまでまひろは、あふれる学問の才能を持ちながらも、生かすことができずに過ごしてきた。賢子に学問を教えようとしても、父・為時や弟・惟規は否定的だった。しかし、まひろは周りに流されずに自分の信じる道を貫き続けた結果、ついにその文才は世間から求められるようになり、そういった状況を為時が素直に喜べる日がやってきた。

ネット上では、苦難の末に自分の居場所をつかんだまひろとその一家に、「ずっと男だったらって言われてきたまひろが本当に嬉しそう」「父が子のことを認める瞬間っていいよね」「惟規くんやいとさんの表情がよかった」といった優しいコメントがあふれた。しかし、まひろと賢子の間の溝は深まるばかり。母娘が本当に打ち解ける日はやってくるのだろうか。

そして、彰子に仕える6人の女房たちが初登場を果たした。そのうちの1人、「宰相の君」を演じる瀬戸さおりが話題となっている。瀬戸は、2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、トキューサこと北条時房を演じた瀬戸康史の妹で、兄と同じワタナベエンターテインメントに所属。福岡県出身の34歳で、女優の山本美月は義理の姉にあたる。まひろに強烈なプレッシャーをかける6人の女房たちだが、彼女たちはみな高い家柄の出身で、受領階級の出であるまひろを下に見ている。

彰子サロンにおける今後の見どころとしては、まひろの奮闘とのちにサロンに投下される核弾頭、平安のパリピギャル・あかね(和泉式部/泉里香)の活躍が挙げられるだろうか。女の園を舞台にどのような騒動が展開されるのか、来週が待ち遠しい。