毎日同じ時間に放送する帯番組で大切にしていることを聞かれると、高橋氏は「『めざまし』は、“新情報のシャワーで、心のスイッチをONに”というキャッチフレーズをスタッフ内で共有しています。生活に必要な情報をインプットしていただきながら、1人の方が見る時間は30分から40分だと思うのですが、その中で“今日も一日生きよう”と心のスイッチが入るような番組を目指しています」と紹介。

石村氏は「日本に住む皆さんにちょっとでも元気をという思いは『めざまし』さんと一緒だと思うんですけど、それを水卜以下スタッフみんな本気で思っていて、朝にちゃんと希望があることを届ける責任をすごく感じて作ってます。それと、初代の総合演出が、“これから日本の未来を担う子どもたちが朝見てくれているというのは、こんな素晴らしいことはないんだ”とすごく言っていて、そこはすごく大切にしています。例えば、離婚とか不倫とか、“『ZIP!』として放送する価値があるのか”というネタはやらないし、見終わった後に少しでもスマイルになれる番組であり続けようというのは、表現の1個1個でもすごく大切にしてます」と意識を述べた。

“朝に元気を”という思いは、当然『ラヴィット!』も同様だが、小林氏は「キャッチコピーの“日本でいちばん明るい朝番組”を追求していて、まずは出演者・スタッフが全力で楽しむというのを大事にしています。朝早くからADたちがリハーサルを楽しんでやっていて、サブ(副調整室)でも笑い声が絶えないです(笑)」と際立っている。

そんな放送を続けていると、思わぬ反応が。「最近頂いた手紙で、不登校で学校に行けずに毎日泣いてた小学生の女の子が、『ラヴィット!』を見て涙が笑顔に変わって学校に行く勇気が出たというのがあって、ものすごくうれしいですね。他にも、介護でヘトヘトになってるお母さんの支えになっているとか、これこそ生活の一部になっている帯番組をやっている価値なんだろうなと思っています」と手応えを語った。

朝の情報番組には世代をつなぐ役割がある

「テレビカンファレンス2023」のテーマは、「今、あらためて、テレビ」ということで、最後に「今、あらためてテレビとは何か」という質問が投げかけられた。

フリップに「今」と書いた石村氏は「同じ世代でも価値観がバラバラなって一つにまとまるものがない中で、テレビは世代間も超えて一つの価値観や言語を共有できる唯一のメディアだと思うんです。だからこそ、しっかりやらないといけないという責任にもなっています」という姿勢。

「無限の可能性」と書いた小林氏は「『ラヴィット!』をやって痛感したのが、私たちが言うのも変なのですが、改めてテレビの力はスゴイなということなんです。番組の小道具を並べる展示会をやったら行列になったり、代々木第一体育館でイベントをやったら1万人の枠に10万の方が応募してくださるとか、想像を超える熱量を感じています。テレビ転換期と言われて久しいですが、転換期だからこそ地上波だけでなく、配信やSNS、イベントなどを駆使しながら皆様に複合的に面白いものを届けていくと信じられないパワーになっていく。TBSはいろいろな番組でそういうチャレンジをしていきたいと思っていますので、よろしくお願いします」と呼びかけた。

そして、「世代をつなぐ」と書いた高橋氏は「スマホで簡単に情報がどんどんカスタマイズされていく中で、しっかり取材をして信頼のあるニュースを日々伝えておりますので、それを世代を超えて話してほしいんです。お父さんから娘さんに“今こういうことが起きてるんだよ”、逆に息子さんからお母さんに“今こういうのが流行ってるんだよ”と伝えていく装置というのが意外とない中で、それが朝の情報番組にはまだある。この価値は大きいと思っています」と、果たす役割を力説した。