仙台市交通局は27日、地下鉄南北線の新型車両3000系を報道関係者らに公開するとともに、地元小学生を富沢車両基地に招待しての新型車両内覧会を開催した。新型車両3000系は2024年秋頃の営業運転開始に向け、来月から走行試験を開始する。

  • 仙台市地下鉄南北線の新型車両3000系が公開された

地下鉄南北線は1987(昭和62)年の開業当初から1000系を使用し、2003(平成15)~2013(平成25)年度にかけて全21編成を改修。1000N系として現在も活躍している。開業から36年が経過し、2027年度に現行車両の耐用年数である40年を迎えることから、車両更新に向けた準備を進めてきた。2021(令和3)年3月、3種類の車両デザイン候補から市民による投票を実施。投票総数約1万3,000票のうち、「南北線車両からの進化」をコンセプトにしたデザインが約半数の支持を集めたという。

新型車両3000系はアルミ合金製・2軸ボギー車の4両編成。22編成製造する計画とされ、車体等の製造を日立製作所が担当している。今回公開された編成は、1号車から「3131」(Tc1)、「3231」(M1)、「3331」(M2)、「3631」(Tc2)。車体長は先頭車(1・4号車)21,750mm・中間車(2・3号車)20,000mm。車体幅は先頭車・中間車ともに2,886mm。車体高さは2号車のみ4,020mm、1・3・4号車は3,992mm。自重は1号車から32.0トン、36.4トン、35.8トン、31.9トンとのこと。

  • 地下鉄南北線の現行車両1000N系と新型車両3000系が並ぶ

  • 新型車両内覧会に地元小学生を招待。仙台市長の郡和子氏と記念撮影を行った後、職員が3000系の外観・車内について説明した

外観に関して、「くの字型」の先頭形状、「杜の都」をイメージしたグリーンのラインカラー、乗降口の扉窓における独特な小判型の形状など、南北線の現行車両1000N系のスタイルを継承。前照灯・尾灯を車体前面のラインと一体化させることにより、進化したイメージを創出している。前面窓は半面ブラックフェイス化し、精悍な外観を演出。運転士の視認性も向上させた。

車内はオールロングシートで、定員は各号車145名(座席45名)、4両合計で580名(座席180名)。内装はホワイト系とグリーン系で仕上げ、落ち着きのある明るさを車内色調の基本としている。座席の柄は定禅寺通のケヤキ並木をモチーフに、シンプルなグリーンの楕円を採用。座席の手すりを増設し、6席シートを2席ごとに仕切る縦手すりや袖仕切りなどに曲線を多用し、優しい印象を生み出した。客室貫通扉はガラス張りとし、仙台ゆかりの絵柄をランダムにプリントしている。

  • 新型車両3000系の車内。座席の柄は定禅寺通りのケヤキ並木をモチーフとしている

  • 乗降口付近の案内表示器はカラー液晶式に

  • 各号車に車いす・ベビーカースペースを設置している

  • 新型車両3000系の運転台

1000N系の車内案内表示器はLEDドット表示だったが、3000系の車内案内表示器はカラー液晶式で、案内情報が充実。車内カメラは各号車に4台設置し、セキュリティ向上を図る。車いす・ベビーカースペースは各号車に設置され、既存の1000N系(2・3号車に車いす・ベビーカースペースを設置)から2カ所増設となった。冷房能力が1.5倍に向上したほか、車体にアルミ二重構造とペアガラス窓を採用しており、静かな車内空間を提供。車両の低床化に加え、乗降口の床面を斜めに面取りしたことで、ホームとの段差を約2cm(現行車両1000N系はホームとの段差約6cm)に縮小した。ホームに隙間調整材を設けることで、ホームとの隙間も現行の約7cmから約3cmに縮小されるという。

3000系の性能に関して、最高運転速度は75km/h、加速度は3.5km/h/s、減速度は3.7km/h/s(常用最大)・4.5km/h/s(非常・保安)。主電動機は「三相交流かご型誘導電動機 全閉外扇式 1時間定格160kW 1,100V 104.5A 1,770rpm」、制御装置は「VVVFインバータ制御(ハイブリッドSiC素子) 回生ブレーキ付」、空気制動装置は「電空協調全電気指令式電磁直通ブレーキ、応荷重付、遅れ込め制御付、保安ブレーキ付」とされている。