音楽家の青葉市子が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、2日に放送される『花子と大助 ~1450日ぶりのセンターマイク~』。がんと闘い続ける夫婦漫才コンビ、宮川大助・花子が悲願だったなんばグランド花月(NGK)のセンターマイクに復帰するまでを追った作品だ。
この2人の姿に「もう一心同体ですよね」と感じた青葉。さらに、漫才への思いやセンターマイクへの執念を見て、自身の音楽活動にも大きな刺激となったようだ――。
■収録中に「舞台袖から見守るような気持ちに」
2018年3月、妻・花子(当時63)が、症候性多発性骨髄腫で「余命半年」の宣告を受けた。花子は立つどころか、下半身がマヒし、足を動かすことすらできなくなってしまう。それでも花子が過酷なリハビリにも耐えられるのは、再び、大助とともにNGKの「センターマイクの前に立ちたい」という願いからだった。
一進一退の闘病生活が続き、昨年秋には意識を失い心肺停止寸前に陥ったことも。そんな多くの危機を乗り越え、1,450日ぶりにNGKの舞台に上がることになる…。
大助・花子夫婦の闘病を追ったシリーズは、地上波では3回目の放送。いずれもナレーションを担当してきた青葉は「私はずっと2人と一緒にいるわけではなく、限られた期間をまとめて見せていただいているのですが、それでも一緒に立ち向かっていくような気持ちになります」と心境を語る。
また、「事前に(ナレーションの)台本を読んだときから、花子さん・大助さんが舞台に上がるときの気持ちでブースに入ろうと思っていたので、“読ませていただきます!”という気持ちで収録していました」と臨んだが、「読んでいるうちに舞台袖から見守るような気持ちになりました」と、思わず感情移入していたそうだ。
■花子にとって漫才は「生物的に必要なレベルなのでは」
NGK復帰前の特別興行の記者会見で、花子が「生きるってしんどい」と本音を漏らす場面がある。これについて、青葉は「こんなことは口にしたくないですけど、人は必ずそのうち命を終えるわけですよね。それまでどうやって生きていくかという中で、つらさをないものにせず、ちゃんと受け止めたということなんだと思いますが、あの言葉を発した花子さんのことを思うと、一言で感想は言えないです。すごい言葉だと思いました」と話し、「隣にずっと一緒にやってきた大助さんがいたからこそ、言えたのかもしれないですね」と推察する。
前回の収録後のインタビューで、この夫婦の関係を「肉体的としては個々にあるんだけど、一緒に生活して一緒に支え合っていくうちに、精神的にはどっちがどっちか分からなくなるくらい交ざり合って支え合っている」と表現していたが、今回の映像を見て、「おふたりはずっとそうだったとは思いますが、さらに1つになっていると思いました。もう一心同体ですよね」と感じたそう。
また、花子が漫才を「天職」と言っていたことについて、「大切なパートナーと40年一緒にやってきたことは、仕事とかそういうものではなく、もう息をしたいとか、お腹が空いたとか、生物的に必要なレベルのことなんじゃないかと思いながら見ていました」と受け止めた。