14年間のOL時代を経て、売れた今だからこそ見えてきた、“働く意味”があった――。

2日に放送されたNHK Eテレの番組『スイッチインタビュー』(毎週土曜21:30~)で、俳優・佐藤二朗とタレント・大久保佳代子が対談。愛知県出身で同世代、さらに下積み時代には下北沢の小劇場界隈で顔見知りだったという2人が、50代を迎えた今の仕事観や人生観を語り合った。

  • 岩田絵里奈

    岩田絵里奈

佐藤は以前から、大久保について「自然体で無理せずそこにいるのに、ずっと力強く輝き続けている」と感じていたといい、今回の対談相手として熱望。大久保も「同志は言い過ぎだけど、似たような歩みをしてるんじゃないかという感覚がある」と応じ、初の本格対談が実現した。

現在54歳の大久保は、近年ポッドキャストやエッセイも人気を集め、飾らない言葉が多くの支持を集めている。一方で、自身について「万人に好かれたい病がある」と告白。「嫌われたくない=フラットに接してるのかもしれない」と本音を明かした。

テレビでは歯に衣着せぬ発言のイメージも強いが、「タクシーの運転手さんの態度がちょっと…と思っても絶対言えない」「悶々として溜め込むタイプ」と語り、パブリックイメージとのギャップものぞかせた。

さらに、「求められてるキャラ」を演じ続けてきた葛藤にも言及。「求められて下ネタを言った方がいいし、怒る方がいいと思って何年も怒ったりして。毎日テレビの仕事でそれを続けていたら、血となり肉となって、本当の自分が分からないっていうのがある」と率直に語った。

大久保は1992年、幼なじみの光浦靖子とお笑いコンビ・オアシズを結成。相方の光浦が先にブレイクする一方、自身はコールセンター勤務との二足のわらじ生活を続けた。26歳から14年間OL生活を送った経験は、今の価値観にもつながっているという。

「芸能人だから車に乗ってブランド物を持って、みたいな感覚は一切持たずに来てる。感覚的なものは、OL時代からあんまり変わってない」と語ると、佐藤は「それが品があるってことだと思う」と納得。大久保も「持たないんじゃなくて持てない。そこに興味がさほどない」と笑った。

そんな大久保は、仕事へのモチベーションについても吐露。「呼ばれた仕事で80点は取りたいって頑張ってきた。それで仕事が増えて、ありがたいことにここまで来た」と振り返りつつ、「お金はしこたま貯まった(笑)」と笑わせた。

しかし近年、ファンから届く手紙や地方で声をかけられる機会が心境の変化につながったという。「“大久保さんの一言で落ち込んでいたのが晴れました”って言ってもらえたり、ロケ行った時に地方で“大久保さん応援してる”っておばあちゃんがうれしそうに手を握ってくれる。こんな喜んでくれるんだ」としみじみ。

そのうえで、「せっかくこういう仕事をしてるんだったら、テレビ画面の向こうの、日本列島の半島の先の方がちょっとでも笑ってくれたらいいなって思うようにやろうと日々思ってる」と語り、スタジオを包み込むような温かな空気を生んだ。

今年55歳になる大久保は「どんどん言葉が出てこない」と年齢による変化も実感しているという。それでも「得意分野って言われたら、しゃべることで人が喜んでくれる仕事。それはもうちょっと極めたい」と前向きな思いを口にした。

佐藤はそんな姿に「職業・大久保佳代子じゃないですか」と一言。50代になってなお進化を続ける大久保佳代子の現在地が、にじみ出る30分となった。

【編集部MEMO】
大久保佳代子は、1971年5月12日生まれ、愛知県出身。幼なじみの光浦靖子とお笑いコンビ・オアシズを結成し、長年にわたりバラエティ界の第一線で活躍。歯に衣着せぬトークと飾らない人柄で支持を集め、近年はエッセイやポッドキャストでも人気を博している。