• 苦しそうに階段を上がる花子 (C)フジテレビ

花子にとってのセンターマイクに立つことの執念は、同じようにステージに立つ身として、「私もこの息が続く限り、音楽を続けていきたいと思わされました」と強く共感。その上で、「“やりたい”のではなくて、“やるんだ”と。もうそこで息をするのと同じくらいのことだという決意を感じて、自分も背中をパシン!と叩かれているような気持ちでした」と背筋を正したという。

この「ステージに立つこと」の意味について、「いろんな捉え方があると思うのですが、そこで何かを表現することによって、1人や2人じゃない、たくさんの人の力を循環させる役割もあると思うんです」と解釈し、それだけに「花子さんと大助さんにはもっとたくさん笑わせてほしい、漫才をいっぱい聞きたいと思いました」と願った。

実際にナレーション収録中、大助・花子の漫才の場面が流れると、「マイクをオフにしながら、めっちゃ笑ってました(笑)」と楽しんでいたそう。事前に台本上の文字で見たネタと、映像で見るものは全く違い、「映像と声と間合いと時間の取り方と、本当に職人だなと思いました」と感服した。

■「2人のエネルギーが花火のように舞っている」

改めて、今回の見どころを聞くと、「おふたりの生きざまがノンフィクションでそのまま映し出されていて、自分も花子さん・大助さんの人生の中に入って体験するような気持ちだったので、そんな形で見ていただければと思います。そして、2人のエネルギーが花火のように舞っているので、それをキャッチして『よし、生きるぞ』という日々の気合いになっていけばいいなと思います。きっと、おふたりもそういう気持ちで生きていらっしゃると思うので」と紹介。

また、画面の隅々まで細かく観察していたようで、「小さい気づきなんですけど、本番の舞台に出ていかれるときに、カエルのイヤリングを付けていたんです」と、娘・さゆみが“舞台に帰る”という思いを込めてプレゼントしたアクセサリーを発見。ほかにも、「手に力が入り続けるようにと編まれていた幸せをつかむ“ハッピーハンド”や、クレヨンしんちゃんの犬のパジャマとか、全部かわいいんです(笑)」といった花子の一面も印象に残っているそうだ。

  • 青葉市子

●青葉市子
1990年生まれ。2010年にファーストアルバム『剃刀乙女』を発表以降、7枚のソロアルバムをリリース。最新作は、『アダンの風』。弾き語りの傍ら、ナレーションやCM、舞台音楽の制作、芸術祭でのインスタレーション作品発表など、様々なフィールドで創作を行い、α-STATIONのラジオ番組『FLAG RADIO』に出演。第77回毎日映画コンクールでは、『こちらあみ子』で音楽賞を受賞した。