JR北海道は19日、新型車両737系の報道公開を実施した。老朽化したキハ143形(気動車)などの置換え用として製作された通勤形交流電車で、ワンマン運転にも対応。5月20日から室蘭本線の室蘭~東室蘭~苫小牧間を中心に運行開始する。

  • JR北海道の新型車両737系が報道公開された

新型車両737系は2両編成(1M1T)を13編成、計26両を製作する。車体はアルミ合金製、先頭部は鋼鉄製。車体前面は黒色をベースとしつつ、視認性向上のため警戒色のイエロー、JR北海道のコーポレートカラーであるライトグリーンの2色のラインを配した。

エクステリアデザインに関して、通勤・通学など地域の移動手段として日常的に利用されることを踏まえ、「優しさが感じられ、親しみやすく明るく若々しいイメージとして『さくらいろ』をイメージした淡いピンク色」の塗装を施している。

インテリアもエクステリアと同様、「優しさが感じられるデザイン」とし、乗降ドアを淡いピンク色で配色。車内はオールロングシート(一部優先席)の座席配置となり、シートに散りばめたドットのデザインは、道内に咲く色とりどりの花をイメージしたという。

  • 車体前面は黒を基調にイエローとライトグリーンのラインを配した。車体側面は淡いピンク色の塗装に

  • オールロングシートの車内。シートには北海道内の色とりどりの花をイメージしたドットのデザインが散りばめられている

737系の座席定員は1編成あたり93人(1号車49人・2号車44人)とされ、既存のキハ143形(座席定員96人)より微減となったが、立席も含めた737系の定員は269人(1号車136人・2号車133人)とされ、キハ143形(定員244人)より25人増加している。客室内をすべてロングシートとしたことで通路が広くなり、通勤通学時間帯の混雑緩和が図られる。H100形と同様、737系も乗客がボタンを押してドアを開閉し、乗降する方式を採用する。

バリアフリー化も推進。737系の客室床面はキハ143形より19cm低くなり、乗降口のステップをなくした。車いす・ベビーカー利用者や大きな荷物を持った利用者に配慮し、各車両の客室内中央部にフリースペースを設置。車いすスペース・車いす対応トイレは2号車に設置されている。

  • 客室内中央部にフリースペースを設置

  • 車いすスペース・車いす対応トイレも

  • 新型車両737系の運転台

最高運転速度は120km/h。ワンマン運転に対応した装置を搭載しており、JR北海道の通勤形電車では初とのこと。環境性能の向上も図り、照明をLED化するとともに、主変換装置にハイブリッドSiC(シリコンカーバイド)モジュールを採用。消費電力の低減を図った。

室蘭本線の室蘭~東室蘭~苫小牧間では、5月20日から新型車両737系が投入され、既存のキハ143形をすべて(札幌駅直通の2本も含む)置き換えるほか、H100形も一部を置き換える。電車化によって走行性能が向上し、東室蘭~苫小牧間の平均所要時間は現行の1時間10分から9分短縮され、1時間1分に。最大17分、最速列車は8分短縮され、東室蘭~苫小牧間を55分で結ぶ。

737系の投入により、現行の気動車列車66本のうち約8割が電車化される。これを受けて、朝の通勤通学時間帯を含む多くの列車で時刻・行先が変更に。東室蘭駅や苫小牧駅での接続が新たに増え、便利になるという。なお、737系は最大6両まで併結可能とのことだが、5月20日以降のダイヤにおいて、737系を使用する普通列車はすべて2両編成で運転を予定している。

  • 新型車両737系の運転台と、オールロングシートの車内

  • 新型車両737系の外観