女優の宮崎あおいが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、23日・30日に2週にわたって放送される『あの日 僕を捨てた父は ~孤独な芸人の悲しき人生~』。ゲーム芸人・フジタ(本名=藤田真也)と、かつて自分を捨てた父との再会を追った作品だ。

父親に対して恨みを持って生きてきたフジタだが、番組で描かれるのは、認知症になった父に本気で寄り添い、支えていく姿。そこから宮崎は、“憎しみからは何も進まない”ということを、改めて感じ取ったという――。

(注)…宮崎の「崎」は正しくは「立つ崎」

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した宮崎あおい

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した宮崎あおい

■本当にリアルに勝るものはない

幼い頃から没頭してきたゲームの腕でファンを魅了するフジタは、小学校入学直前に母親がクモ膜下出血でこの世を去り、父親と2人で暮らすことになった。しかし、その父が同級生の母と恋仲になって家を出てしまい、小学2年生で独り暮らしを始めることに。自分をこんな目に遭わせる父を憎み、その苦しさと寂しさを紛らわすために、ゲームに熱中してきたのだ。

それから約35年が経った2021年、突然フジタを呼び出した81歳(当時)の父親は「自分が死んだら全財産をお前に遺す」といい、遺言状を書きたいと言い出す。だがその直後、父親が認知症であることが判明。フジタは憎んでいた父を世話することになるが、そこに内縁の妻となった同級生の母との関係も絡み…。

収録を終えて、「毎回『ザ・ノンフィクション』を見て、語りを担当させていただいて思いますけど、本当にリアルに勝るものはないなと。『家族ってどういうことなんだろうな』とも思いました」という宮崎。歴代の同番組収録の中でも、驚異的なハイペースで進行したが、「前半はちょっと緊張して、手をひざの上に置いて読んでいたんですが、“こういう回なんだ”と自分の中で納得して、だんだん落ち着いて読めるようになっていきました」と、つかんでいった。

  • ゲームに囲まれた部屋で過ごすフジタ (C)フジテレビ

■芝居では想像がつかない父子の応酬

フジタについては、「お父さんとの関係で本当にすごい過去を背負いながらも、今はあれだけ寄り添って、支えてあげている姿を見て、とても優しいし、強い方だと思いました」と印象を持ったのと同時に、「どうしてそういう気持ちになれるのかが気になりました。(怒りを爆発させて)壁を殴ってしまうところがありますが、一歩間違えてしまえば、あの怒りがお父さんに向いていたとしても全然おかしくないですよね」と想像を超えた部分も。

「2人が強く言い合う場面がありますが、同じような言葉の応酬でもだんだん言い方が変わって感情が爆発する。お芝居でしようと思ってもちょっと想像がつかなくて、人ってリアルではこうなるんだと思いました」と驚かされたそうだ。