奈緒、吉田拓郎からもらった勇気――時代を変えていく使命を「託されているんだ」

――先日、『LOVE LOVE あいしてる』(フジテレビ)に出演された際、吉田拓郎さんに「若い人たちが活躍するのを見ていて、非常に刺激を受けたのは間違いない」と言われていましたよね。坪内さんも今回演じる和佳も、若くして漁業の世界に飛び込んで革命を起こしていきますが、若い人が何かを変えていく力を持っているんだというのを自覚されるところはありますか?

もちろん、自分より1年でも長く生きてきた方にはすごく学ぶことがあって、尊敬もしています。ただ、その人たちの意志を受け継いで時代を変えていくのは、若い自分たちに託されているんだということを感じる瞬間があります。年代が違うからこそぶつかることもきっとあると思うんですが、今回のドラマの中では、長く凝り固まった風習とか、しきたりみたいなものを誰が崩せるのかといったときに、やっぱり何かに飛び込んでいったり、周りを巻き込んでいける力を持っている若い世代なんだということを、すごく感じます。

だから、自分が大好きで尊敬する拓郎さんから「若いみんなのエネルギーが刺激になるから、感謝している」という言葉を頂き、ものすごく勇気になって、もっともっといろんなことに挑戦していこうとか、違う年代の方たちにも萎縮せず、自分の気持ちを話してみようという思いになれました。私には、そういう言葉をかけてくれる上の年代の方がいたんですけど、坪内さんの場合は1人で飛び込んで、反対される声もありながらも、世代の違う漁師さんたちと対等に話ができたというのは、やっぱりすごく心が強い方だなと思いますね。

――このドラマや映画の業界で、何か変えてみたいと思うことはありますか?

変えたいというよりも、まずは知りたいことがあって…。ドラマとか映画って、撮影に入ると1日仕事のことを考えずに休める日ってないんじゃないかと思うんです。「撮休」といっても撮影がないだけで、スタッフさんはその間に衣装合わせをしたり、いろいろ準備をされていたりするので、純粋なお休みを作れて、みんなが健康に働ける一番ちょうどいいスケジュールってどれくらいなんだろうというのを知りたいですね。予算の問題もあってなかなか難しいかもしれないですけど、ちょっとずつ働き方を変えていこうという風潮になっていると思うので、いつか誰にもしわ寄せがいかないスケジュール感で、もっと夢のある現場に行き着けたら、すごくいいなとは思いますね。

――それは、演者さん側から変えていくというのは難しいでしょうか。

私はまだ、監督をやりたいという気持ちは芽生えていないんですけど、今は俳優部の方でもメガホンを取る方がいらっしゃいますし、境界線がなくなってきてはいるので、どんなポジションであっても、それこそ“ファーストペンギン”のようにそういう声が1つあがれば、みんなの意識の中で変えていけることはあるのではないかと思います。なので積極的に同じ思いを持っている方とお話したいです!

■一番やりたいと思えるものに出会えた“奇跡”

――奈緒さんにとって、地元の福岡から単身上京するという挑戦は「飛び込んだ」という感覚でしたか?

そうですね。実は母親が、この仕事には最初反対していたので、そこを振り切って東京に出たんですけど、そのときは自分の中で「絶対納得してもらえるように、何か結果を残さなきゃいけない」という強い気持ちがありました。

もともとお芝居をやりたいとは思っていたんですけど、高校が進学校だったので、大学に行くものだとみんな思っていたと思いますし、私もとりあえず大学に行って、何か資格とかを取ってみんなを安心させたほうがいいかなと考えてたんですよ。でも、当時の福岡の事務所のマネージャーさんに「奈緒ちゃん、一番やりたいことって決まってるの?」と聞かれて、「お芝居なんですけど、とりあえず…」ってその時の気持ちを話したら、「一番やりたいことが決まってる人に『とりあえず』って必要なのかな?」と言われて、「本当だ!」と思ったんです。

一番やりたいと思えるものに出会えること自体が“奇跡”で、感謝しないといけないのに、そのことに全力を注がないというのはやっぱり違う、と思って上京することができたので、自分1人だったら東京に出る勇気がなかったかもしれないんですけど、当時のマネージャーさんをはじめ、周りの人たちが背中を押してくれて、今ここにいられるというのは、本当にありがたいです。

・ヘアメイク／竹下あゆみ
・スタイリスト／岡本純子

【衣装】
・スカート／ウジョー(エム)
・パンプス／フリーランス(ストックマン)
・イヤリング／ラ・キアーヴェ(ドレスアンレーヴ)
・シャツ／スタイリスト私物