放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少委員会は、2025年度のテーマ「次世代に戦争と平和をどう伝えていくか」のまとめを公表した。戦後80年の節目に、若い世代が戦争番組を「怖い」と感じて距離を置く現実や、「子どもたちはテレビを見ませんからねえ」という教育現場の声も紹介。そんな中でも、アニメ表現や同世代の視点を入り口にする工夫など、“若者に届く伝え方”のヒントが示された。

  • BPO事務局が入る千代田放送会館

    BPO事務局が入る千代田放送会館

同委員会では、2025年が放送を含む既存メディアへの信頼が揺らぎ、世界では戦争や虐殺が連日報じられる年だったと指摘。その上で、中高生モニター会議や有識者を招いた勉強会、沖縄での教員・放送局との意見交換会などを実施し、若い世代に戦争と平和をどう伝えるかを多角的に検討した。

中高生モニター会議では、VRを活用して戦争の実相に迫る番組を視聴。これまで「戦争報道は怖いから見たくない」との声もあった中で、参加した中高生は全員が最後まで視聴し、制作者の思いに対して活発に質問する姿も見られたという。委員会は、「怖い」という感情自体が戦争の悲惨さの本質を捉えている一方、そこから視聴の忌避につながれば、歴史を学び平和を考える機会まで失いかねないと整理した。

また、中高生からは「アニメなどでは抵抗感や違和感がない」との声も上がったといい、委員会は若い世代に戦争番組を見てもらう工夫の必要性とともに、番組制作のヒントになる可能性を示した。

今後、戦争と平和を次世代に伝え続けていくために放送は何ができるのか、という問いかけに、「子どもたちはテレビを見ませんからねえ」という答えが教育現場の先生から返ってきたという。ただ“テレビ離れ”といわれる世代でも、中高生モニターの報告からは「テレビの取材を受けてうれしい」と感じたり「人気タレントが来たから母校がテレビに映るかもしれない」と盛り上がったりして、放送番組とのつながりを喜ぶ姿が垣間見えた。

これを踏まえ、スマートフォンやSNSが情報取得の中心となる時代を踏まえながらも、「放送番組がそれでも伝え続けなければならないことは何か」「どうしたら若い世代に伝わるのか」という問いに、制作現場が真剣に向き合う必要があると提起した。