1996年10月から2001年3月まで放送され、KinKi Kidsと吉田拓郎がゲストと歌とトークを繰り広げるフジテレビ系音楽バラエティ番組『LOVE LOVE あいしてる』。21日(20:00~)に、5年ぶりの復活を果たすが、拓郎が最後のテレビ出演と決めたことから、自ずと「最終回」と銘打たれることになった。

今回の番組が実現する経緯や、KinKi Kidsや拓郎から感じる番組への思い、そして収録を振り返っての手応えなどを、フジテレビの三浦淳チーフプロデューサーに聞いた――。

  • 武部聡志(左)と吉田拓郎=『LOVE LOVE あいしてる 最終回・吉田拓郎卒業SP』より (C)フジテレビ

    武部聡志(左)と吉田拓郎=『LOVE LOVE あいしてる 最終回・吉田拓郎卒業SP』より (C)フジテレビ

■「みんなやる気満々。打ち合わせしませんか?」

5年前の放送から、三浦CPが拓郎と連絡を取り合う中で、要所要所で「またやりたいね」という話をしていたが、機運が高まるきっかけとなったのは、奈緒が『KinKi Kidsのブンブブーン』(20年10月24日放送)に出演した際、拓郎の大ファンであることをKinKi Kidsに話したことだった。

KinKi Kidsがそのことを拓郎に伝えると、拓郎も興味を持ち、「奈緒さんを交えて何かやりたいね」という話に。そして、今年の正月に堂本光一から「今年こそ『LOVE LOVE あいしてる』が実現することを心から願っています」と年始のあいさつを受け取った拓郎にスイッチが入り、堂本剛、篠原ともえらとも話をして、三浦CPに「みんなやる気満々。打ち合わせしませんか?」と連絡が入った。

KinKi Kidsの25周年に合わせて、拓郎は「90分のスペシャルをやりたい」と提案したそうだが、フジテレビは「120分でやりましょう」と枠を確保。こうして本格的に放送へ動き出すことになった。

拓郎は、昨年10月に三浦CPとやり取りした際、すでにラストのテレビ出演は『LOVE LOV Eあいしてる』にするという希望を示していたそうで、三浦CPは「拓郎さんの最後のテレビと、KinKiの25周年のお祝いという舞台を託されたことに、すごく重い責任を感じましたが、お涙頂戴というよりは、『LOVE LOVE―』らしくハッピーな感じで拓郎さんを送り出せたらなと思い、実現に向けて一段ギアが入りました」と振り返る。

■打ち合わせの翌日に歌詞が届く

今回の番組のために、KinKi Kidsが作曲、拓郎が作詞を手がける「Sayonara あいしてる」が披露される。この制作経緯は、拓郎の番組への思いが伝わってくるものだった。

「打ち合わせをしている中で、まだ何曲やるかというのも決まってないうちに、拓郎さんが『新曲作ろう。僕が作詞して、KinKiに曲書いてもらおう』と言ってくれたんです。しかも、リリースもせず、番組の1回のためにやろうと。これはすごいことなので、『ぜひお願いします!』と言ったら、もうその次の日には歌詞を送ってくれたんですよ。最後のアルバムを作って、これから先に曲を作るということはないはずだったのに、何か曲を作るという目標ができたことで、ものすごいアドレナリンが出たのではないでしょうか。本当にびっくりしました」

さらに、「本番2週間前にリハーサルを行ったのですが、リハーサル後に拓郎さんが、音楽監督の武部(聡志)さんに直接アレンジの変更も連絡して、歌い分けとかもどんどん変えていったんです。この曲に対しての熱量を感じましたね」と回想。

こうして迎えた収録本番では、「僕もこれまでいろいろ番組を作ってきましたが、やっぱり制作側が“こうしたい”と考えているのを上回ることが起きるのが、一番ワクワクする瞬間なんですけど、それが今回は『Sayonara あいしてる』という楽曲でした。この日のこの番組のために生まれた曲というのが、グッときましたね」と興奮を隠せない。