• 箝口令(かんこうれい)とは

    「箝口令」とはどのような意味なのでしょうか

ニュースの報道などで使われることのある「箝口令」。

日常生活ではあまり使用されないため、意味や読み方、使う状況を想像できない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「箝口令」について、意味や類語・対義語、英語表現をご紹介します。「箝口令」の使い方を知って、ニュースなどをより深く理解できるようになりましょう。

箝口令(かんこうれい)とは? どんな意味?

  • 箝口令(かんこうれい)とは

    箝口令とはある事柄について「言ってはいけない」という命令です

箝口令(かんこうれい)とは、ある物事について発言を禁止する命令のことです。「箝口」とは「黙って何も言わないこと」あるいは「人にものを言わせなくすること」を意味します。

箝口令と緘口令の違い

箝口令には「緘口令(かんこうれい)」という表記もあります。

「竹で挟む」という「箝」と「手紙に封をする」という「緘」という違いはありますが、どちらにも同じ「発言しない・発言させない」という意味があるため、どちらの「かんこうれい」を使っても同じ意味です。

ただし一般的には「箝口令」の使用頻度のほうが多いため、迷ったら「箝口令」を選ぶとよいでしょう。

「箝口令を敷く」とは?

「敷く」には、「隅々まで行き渡らせる」という意味があります。よって、「箝口令を敷く」とは、「ある物事に対して発言しないように広める」といった意味になります。

箝口令の類語

  • 箝口令の類語

    箝口令の類語には「オフレコ」「言論統制」などがあります

箝口令の類語には以下のものがあります。ニュアンスの違いを見極め、適切な言葉を使うようにしましょう。

オフレコ

オフレコとは、記者会見やインタビューなどで、記録せず記事として公表しないことを条件にする発言や情報提供のことで、「記録外」という意味の「off the record」の略です。

言論統制

言論統制とは、国家が公権力によって言論や表現の自由を制限することです。例えば、その時の政治権力を批判するような思想の新聞や本の発行を禁じたり、映画などの検閲を行ったりすることも言論統制の一種です。

口止め

口止めとは、秘密などが漏れてしまわないように口外を禁止することです。箝口令は命令というニュアンスがありますが、口止めには必ずしも上下関係があるとは限りません。秘密を漏らさないことを条件に与える金品、つまり口止め料のことを略して口止めと呼ぶこともあります。

部外秘・社外秘

部外秘とは、その組織などに関係のない人、あるいは会社でその部に所属していない人に対しては秘密であることを指します。社外秘も同様に、会社に所属していない人に対して明かしてはならない情報のことです。

秘匿

秘匿(ひとく)とは、人にわからないように隠しておくことをいいます。特に公的な情報を隠すことについて使われやすく、「情報源の秘匿」や「個人情報の秘匿」などの文脈で使用されることが多いでしょう。

他言無用

「他の人に話してはならない」という意味の言葉です。「他言」は他人に話すこと、「無用」は「してはならない」という禁止を表します。

隠蔽

隠蔽とは、人や物事などがみつからないよう故意に隠してしまうことです。物理的にものを覆い隠すことはもちろん、事実や証拠など、自分にとって都合の悪い出来事などが表へ出ないように意図的に隠すことも含む表現です。

箝口令の対義語

  • 箝口令の対義語

    箝口令の対義語は「オープン」「暴露」などです

箝口令の対義語には以下のものがあります。それぞれのニュアンスを知り、使い分けられるようにしましょう。

オープン

「開放的である」「誰に対しても隠し立てなく、開かれていること」また「それまで隠れていたものを公開する」というニュアンスで使用される「オープン」は、「箝口令」の対義語として考えられます。

開示

開示とははっきり示すことや、教えなどを解いて明らかに示すことを指します。「公文書開示請求」「個人情報開示請求」など、特に公的な機関において情報を明らかにすることに対して使われやすい表現です。

公開

公開とは、特定の人に限定するのではなく、広く一般の人に開放することです。場所への立ち入り、劇や像などの観覧、情報提供などについて使われるケースが多いでしょう。

漏洩

漏洩(ろうえい)とは、秘密などが漏れることです。意図的に漏らすことについても使います。

暴露

暴露とは、秘密などを明るみに出して人の目にさらすことをいいます。特に、隠されていた悪い事柄が暴かれることを表します。また、物理的に風雨などにさらすこと、あるいはさらされる状態にすることも指します。

口外

口外とは、口に出して他人に話すことです。特に秘密などを第三者に話してしまうことを指します。他言無用と同様、他人に話してはいけないことを「口外無用」ということもあります。

箝口令の使い方

  • 箝口令の使い方

    箝口令はマスコミなどに話すことを禁ずる際に使われます

箝口令は、例えば会社で不祥事が起きた場合、マスコミにそのことについて話さないように従業員に伝えたり、人事異動の情報などを外部に漏らさないようにしたりする際に使用されます。

箝口令を命じる際は「〇〇について箝口令を敷く」、命じられた際は「敷かれる」という言い回しが多く使われます。「敷く(しく)」とはここでは命令の効力を広く及ぼすこと、発布することを指します。

逆に箝口令を終わらせ、口外を許可する際の表現は「箝口令を解く」です。

例文

  • 新しいプロジェクトについて箝口令が敷かれた
  • 箝口令が出されているようで、事件の真相については誰も口を割ろうとしなかった
  • 箝口令が敷かれたため、正確な被害状況を知る人はほとんどいなかった
  • 事件から10年が経ち、当時の関係者が誰もいなくなったことでようやく箝口令が解かれた

箝口令の英語表現

  • 箝口令の英語表現

    箝口令の英訳は「a gag order」です

a gag order

箝口令を英訳すると「a gag order」です。「gag」は冗談やギャグと同じ綴りですが、ここでは「言論の抑圧」という意味を表します。

■例文
All the employees were under a gag order by the company.
(従業員全員が会社の箝口令のもとに置かれた)

hush up

「箝口令を敷く」を英訳したい場合は、「人に知れ渡らないようにする」「もみ消す」という意味の「hush up」がよく使用されます。

■例文
The matter was hushed up.
(その事件はもみ消された)

箝口令とは「秘密を話してはいけない」ということ

企業や個人にとって不都合になる内容を話さないように従業員などに命じる「箝口令」。

ニュースだけでなく、ビジネスシーンにおいても極秘のプロジェクトや人事異動などについて箝口令が敷かれることがあります。

「箝口令」の意味や使い方をマスターして、ビジネスシーンなどで活かしてみてくださいね。