東武鉄道は、新型特急車両N100系「スペーシア X」の記者発表会を7月15日に実施。車内で使用する各種座席も会場に展示した。全6種類のシートバリエーションから、利用者それぞれの旅行スタイルに合うシートを選べるようにするという。

  • 「スペーシア X」記者発表会の会場にて、「プレミアムシート」など各種座席を展示

「スペーシア X」は6両固定編成を4編成、計24両を導入し、東武日光・鬼怒川温泉方面の先頭車となる1号車を「コックピックラウンジ」(カフェカウンター併設)、2号車を「プレミアムシート」、3~5号車を「スタンダードシート」、5号車の一部を「ボックスシート」、浅草方面の先頭車となる6号車を「コンパートメント」「コックピットスイート」として使用。記者発表会の会場では、全6種類のうち「プレミアムシート」「スタンダードシート」「ボックスシート」「コックピットスイート」の座席が展示された。

「プレミアムシート」は横3列(2列+1列)の配置となる予定で、2列タイプを会場に展示。シートはオレンジ系で配色され、ダークグレーのじゅうたんの上で映える色として選ばれたという。東武鉄道では初とされるバックシェル構造により、後部座席を気にすることなく背もたれを倒すことが可能。電動リクライニングを採用し、手もとのボタンで前後にリクライニングできる。

ネックサポート式可動式枕の横に読書灯を備え、大型インアームテーブルも搭載。ドリンクホルダーもあり、コンセントも設置した。シートピッチは現行「スペーシア」より広い120cmとなる予定。快適性・プライベート性の向上したラグジュアリーな空間となる。

  • バックシェル構造の「プレミアムシート」。大型のインアームテーブルや読書灯なども備える

  • 「スタンダードシート」は機能性を高めた座席に。背面テーブルにパソコン等も置ける

「スタンダードシート」は横4列(2列+2列)の配置に。観光・ビジネスのさまざまな使い方を想定し、コンセントと背面テーブルを設置したほか、肘掛け脇に小型のインアームテーブルを用意した。背面テーブルは「リバティ」で使用されているものより大きく、パソコン等も収まるサイズに。インアームテーブルは六角形で、エクステリアデザインや愛称ロゴのモチーフにもなった鹿沼組子の意匠を取り入れている。シートピッチは現行「スペーシア」と同じ110cmとなる予定。窓をシート1列に対し1つの個窓とするなど、居住性・機能性の向上も図る。

「ボックスシート」は1席分のみ会場に展示されたが、実際の車両では5号車の車端部(4号車側)に4席を設置する予定。2つのシートを向かい合わせにし、シートの通路側にパーティションを設けることで、プライベート性を高めた半個室の空間とする。1席あたりの横幅が約80cmと広く、大人でもゆったりと利用できるほか、1席を大人と小さなこどもで利用することも可能。「ボックスシート」にもコンセントが設置されており、車窓風景を堪能しながらのテレワークにもおすすめとのこと。

  • 「ボックスシート」は1席あたり幅約80cm。コンセントも設置されている

  • 「コックピットスイート」は「走るスイートルーム」をコンセプトにデザインされ、「スペーシア X」における最上級のシートに

「コックピットスイート」は「スペーシア X」における最上級のシートで、6号車の運転席側に設置。前方および側面の窓からの展望を広く見渡しつつ、贅沢な旅のひとときを楽しめるという。プライベートジェットをイメージし、「走るスイートルーム」をコンセプトにデザインされ、11平方メートルの広々とした個室で最大7名まで利用可能。ソファは固定せず、自由に動かせるものを採用する一方で、列車が急停止しても動く心配がないように設計するとのことだった。

「スペーシア X」では他にも、伝統的な「スペーシア」の個室をアップデートさせた「コンパートメント」、「時を超えるラウンジ」をコンセプトに、気品高く落ち着きのある空間を提供する「コックピットラウンジ」を用意。スペースごとにデザインの異なる車内空間とし、何回乗っても発見がある車両編成をめざしたという。「コックピットラウンジ」併設のカフェカウンターでは、クラフトビールやクラフトコーヒーをはじめ、日光らしい味覚や組み合わせを楽しめる車内限定商品をそろえる予定。記者発表会の会場にて、「コックピットラウンジ」のVR体験も行われた。

  • 「コックピットラウンジ」のVR体験や、車両設備の展示なども行われた

LCDディスプレイの車外表示器に加え、「コンパートメント」の照明や「コックピットスイート」「コックピットラウンジ」で使用する飾り照明など、「スペーシア X」で使用する車両設備の展示も。「コンパートメント」の照明は、ホテルの客室をイメージした重厚感のあるデザインに。「コックピットスイート」「コックピットラウンジ」の飾り照明は、日光東照宮・陽明門の柱に刻まれた「グリ紋」を想起させるデザインで、車内から日光らしい上質な演出を施すという。

「スペーシア X」は浅草~東武日光・鬼怒川温泉間にて、2023年7月15日から運行開始する予定。毎日2~4往復の運行を予定(4往復の運行日は週末を中心に設定予定)し、観光に便利な時間帯の発着ダイヤを検討している。特急料金は「プレミアムシート」2,520円、「スタンダードシート」1,940円。各種特別座席を利用する場合、「スタンダードシート」の特急料金に特別座席料金を加算する必要があり、「コックピットラウンジ」の特別座席料金は1人用200円・2人用400円・4人用800円、「ボックスシート」の特別座席料金は1室400円、「コンパートメント」の特別座席料金は1室6,040円、「コックピットスイート」の特別座席料金は1室1万2,180円となっている。

  • 会場に展示された「スペーシア X」の「スタンダードシート」

  • 会場に展示された「スペーシア X」の「プレミアムシート」