日常やビジネスシーンで目にする言葉の一つに「肝要」がありますが、読み方や意味を正しく理解していますか? 本記事では、「肝要」の意味や由来・語源について解説します。
また、「肝要」と「重要」の違い、類語、言い換え、英語表現をご紹介。さらに、「肝要」を使った例文をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「肝要」とは
「肝要」は「かんよう」と読む言葉です。ここでは、「肝要」の意味や由来・語源について解説します。
「肝要」の意味
「肝要」を辞書で調べたときの意味を確認してみましょう。「肝要」は以下のような意味を持っています。
意味: 非常に大切なこと。最も必要なこと。そのさま
上記を踏まえて、「肝要」の由来・語源を次の項目で確認してください。
「肝要」の由来・語源
「肝要」は肝臓の「肝(きも)」と扇の「要(かなめ)」を組み合わせてできた言葉です。「肝」は内臓の主要部分を指す言葉でもあり、人間にとって重要な部分となります。
扇の「要(かなめ)」とは、扇の骨に使われる釘のことです。骨を閉じるために末端に近いところに穴を開けて、そこに要(=釘)がはめ込まれています。「要」は扇を開閉するための重要な部分です。
「肝要」という表現は、肝臓の「肝」と扇の「要」という、重要な部分を組み合わせてできました。そのことから、「非常に大切なこと・最も必要なこと」という意味の言葉となったのです。
「肝要」と「重要」の違い
「肝要」に似た言葉として「重要」があります。ここでは、「肝要」と「重要」の違いを解説します。「重要」の意味は次の通りです。
意味: 物事の本質・根本・成否に大きく関わること。極めて大切なこと。そのさま
上記の意味から、「重要」も大切な物事を指す言葉だということがわかります。しかし「重要」よりも「肝要」のほうが重んずべき程度が高いとされています(※)。また、「肝要」は目的がハッキリしている場合に使用されることが多く、主に文章を書くときに使われる言葉です。
※「重要」に加えて、「大事」や「大切」と比較しても「肝要」のほうが重んずべき程度が高いとされています。
「肝要」の類語・言い換え
ここでは、「肝要」の類語・言い換えをご紹介します。「肝要」の類語・言い換えを、より細かな意味合いで分けてみると次の通りです。
極めて重要であるという意味での類語・言い換え
「極めて重要である」ときに使われる「肝要」の類語・言い換えは次の通りです。
■重要(じゅうよう)
意味: 物事の本質・根本・成否に大きく関わること。極めて大切なこと
例文: 今日の会議では、会社の今後を左右する重要な話し合いをする予定です
■重大(じゅうだい)
意味: 普通ではない事柄。大変な影響や結果をもたらす状態
例文: 私たち家族にとって重大な局面を迎えている
■大事(だいじ)
意味1: 価値あるものとして、大切に扱うさま
意味2: 重要で欠くことのできないさま。ある物事の存否にかかわるさま
例文: 受験生にとって今が大事な時期なので、心身の不調に気をつけてください
■大切(たいせつ)
意味: 最も重要で重んじられるさま。重要であるさま
例文: 私は昨日、大切な書類をコンビニのコピー機に置き忘れてしまった
■決定的(けっていてき)
意味1: 物事がほとんど決まっていて、動かしがたいさま
意味2: 完全であるさま
例文: エースのゴールが決定的な一撃となった
■肝心・肝腎(かんじん)
意味: 最も重要なこと
例文: 時間がないのに肝心な話をしてくれなくて困っている
省かれてはならない重要なことという意味での類語・言い換え
「省かれてはならない」という意味で使われる類語・言い換えは次の通りです。
■不可欠(ふかけつ)
意味: 無くてはならないこと。必要なこと
例文: 企業に不可欠な条件のひとつとして〇〇が挙げられます
■必要(ひつよう)
意味: 無くてはならないこと。どうしてもしなければならないこと
例文: 今日は母親と一緒に新生活に必要なものを買いに行く予定です
■須要(すよう・しゅよう)
意味: 無くてはならないこと。どうしても必要なこと
例文: 彼は災害を受けた地域に須要な物資を届けたことで感謝状をもらった
「肝要」の英語表現
important
importantには「重要な」「重大な」という意味があります。
意味: 試合に勝つためには日々の練習が肝要となる。
essential
essentialには「欠くことのできない」「非常に重大な」という意味があります。
意味: 私たちにとって肝要なのは現実を受け入れるのに意識を向けることだ。
「肝要」の使い方・例文
ここでは、「肝要」の使い方をご紹介します。次の例文を参考にしてください。
- 洗濯物の部屋干しで肝要なことは、しっかりと乾かすことです
- 各分野のトップレベルになるためには、忍耐と努力も肝要です
- 世界的に猛威を振るう感染症の後遺症対策は、国や都道府県のほか、医療、福祉、企業の連携が肝要だと考えます
- 冷静な判断と行動は、災害などの緊急時に肝要なことです
- 投資においてはタイミングを外さないことが肝要であるとされています
- 住宅地に公共施設を建設するときは、住民へ丁寧な説明を行い納得してもらうことが肝要です
- 親の死後、子ども同士で揉めないためにも遺言書の準備は肝要だといわれています
- 隣国と良好な関係を続けるために肝要といわれているのは、外交力の強化です
「肝要」の意味を理解して使いましょう
「肝要」は 「非常に大切なこと」や「最も必要なこと」という意味を持つ言葉です。内臓の主要部分を指す「肝(きも)」と、扇の骨に開けた穴にはめる「要(かなめ)=釘」を組み合わせてできました。どちらも重要な部分であるため、非常に大切なことを指す言葉が「肝要」です。
「肝要」と似た言葉として「重要」があります。「重要」は「極めて大切なこと」という意味を持ちますが、重んずべき程度がより大きいのは「肝要」です。また、「肝要」は主に文章で使用されることが多い点も把握しておきましょう。「重要」以外の類語・言い換えもこの機会に覚えることをおすすめします。
本記事で「肝要」の英語表現や例文も確認して、「肝要」を正しく使えるようになってくださいね。